それはあなたの金メダルじゃない

「柔道で金メダル、体操でも金メダル取って気持ちのいい朝だ」というコメントを見かけた。

私はテレビを持っていないので、オリンピックの様子もよくわかっていないのだけれど、とにかく金メダルになった選手がいたという事だ。

でも、ちょっとだけ違和感がある。

金メダルを取った時だけ人はほめそやすけれど、そこまでの過程は知らない人がすごく多いし、応援どころか金も出していないし、って状態の人のほうが圧倒的に多いと思うんだけど。

そんな無関係な多数の人を集約させてしまう「帰属意識」ってすごいなって思う。思うけど、そのために優秀な選手をいけにえにするのは、本来の姿とは微妙にずれているのじゃないだろうか。

その金メダルは、その人の金メダルであって、彼らを知り、支えてきた人たちが得たものであって、金メダルから彼らを知った人間はその栄光を「同じ国の人間」というだけで分け与えてもらっているだけなのかもしれない。

それなのに、なぜか「大多数」が「少数」の金メダリストを使っているような構図で見てしまう人が多い。

それが帰属意識とか、つながりとか、国家とか、そういう心理状態なのだろうけれども。

でも、その金メダルは、あなたの金メダルじゃない、彼らのものだ。
うかつに「我々の金メダル」と思ってしまっては、いけないのだと思う。
称賛とそれは違うはずだ。

「金メダルが取れて気持ちのいい朝」というのは、「今日も晴れて気持ちがいいな」と同じことだ。
天気は、誰かのものではない。
金メダルも、少なくてもテレビで見ているだけの人が同じ日本人だからと言って自分のもののように思うようなものではない。

ただ、そう思ってしまうほど、その成果は偉業であるということでもある。


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