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3月の伊香保温泉で廃墟寸前を楽しむ①

いろんなことがめんどくさくなったので、まだ寒い3月に温泉に行ってきました。
伊香保温泉にしました。草津もいいらしいけど、もう少しお安いというのと、新宿からバスで一本というのがとてもよかったです。

JR駅構内のNEWoMan(ニュウマン)という南口の美味しいものを売っているところで評判というサンドイッチを買ったのだけど、値段が結構張る割には言うほどでもなくて、ちょっとバスの中でガッカリしていた。

それでも、平日の昼間に都内を後に空いたバスで出かけるのは大変にいいものです。開放感。

で、ついた伊香保温泉は、個人的に最高でした。

バスを降りると大きなホテルの足元にこんな祠が。
告。ここは神様のお住まいです。
それならもうちょっとこう、なんとかしてあげてもいいような…
観光客が羽目を外して、騒いでゴミを放置していっちゃうんでしょうね。わかります。わかるけど、神様をちらつかせて脅すっていうのは、またあれよね!

とにかく、スタートから最高です。
そう、ちょっと寂れた、いや、かなり寂れた感じが最高でした。

わかります?もうすっごいさびれている感じが!
とちぎやえるむ。
坂と、縦の看板と、もう誰もいない建物。

平日の昼間は、団体さんが来なければ全てにおいて対応するつもりはない、というオンオフのはっきり具合。
個人客は、だいたい三月のこの時期は学生さんばっかりでお金持ってないし。
対応するだけ無駄ですよね、というバッサリ感が溢れています!
おもてなしされたければ、オンシーズンに来やがれ!!

温泉地らしく、いたるところに足湯。とにかく足湯アピール。そんなに足湯いらないです。

とにかく一度ホテルに荷物を預けて、伊香保のメインストリートである階段と、そのずっと奥にある源泉に行くことにしました。
その途中の道すがら、もう楽しくて仕方ない。

私が伊香保に行こうかなと言った時、あまりいい反応はなかったです。
「あー、あんま期待しない方がいいですよ、群馬ですからね」
「すごい昭和で鄙びていますよ、悪い意味で
いいですねって言った人は、あんまりいなかったです。
行って、その意味がわかりました。

時間が停止して、さびれていく最中にある感じ。
なにこのマンガン乾電池の自販機。昭和遺産?

わたしこういうの大好き。

ハイヤー会社の裏にあるスローガン。
わたしは平和な家庭を作ります。

もう、全面こんな感じ。Uターンのフォントが可愛い。
もう死ぬ寸前。こういう写真ばかりテンション高く撮りまくりました。
「もうここには誰もいないよ」といいながらビールを出してくれる酒場があると思います。西部劇ふうに。伊香保だけど。

さびさび。
上の道、下の道、同じところに行け。
(たぶん、どっちに行っても合流するよってことだと思われる看板だけど禅問答を吹っ掛けられているようにしか見えない)

とにかく、有名な伊香保の階段に来ました。伊香保の石段街です。
やはり人が多くて、平日の昼間でもなかなかの賑わいぶり。バスがのりつけて、人が続々と降りてきます。
私はこのエリアよりも少し坂を下ったところにある、大きなホテルの別館みたいなところに泊まりました。石段街のまわりには大きなホテルがどかーんどかーんと建っていて、バブル期の箱モノオーラが。(中に入ると実にそれが残っていた)温泉芸者さんや、住み込みの仲居さんとか、そういう世界。
夜はエロいエンタメのために、おじさんたちがいそいそとお出かけする、っていう構図がそのままに、カサカサに日に焼けて色が抜けた真昼の温泉街。

ペヤングの焼きそばがどーんと置かれていた。

ここから階段を登ります。365段。

階段の途中には、玉こんにゃくのお店があって、賑わってます。
それよりも、「激安!!都内電車忘れ傘100円」っていうのがハートキャッチ。
おばさまがたが「まあ、これいいわよ、骨が多いの」と選んでいました。もしかしたら、都内に連れもどられるのかもしれない。流浪の傘……

ここを通り過ぎて、ずんずんと上に登っていきます。てっぺんまで登ると神社があり、さらに奥に、源泉があるのです。

階段の途中の祠は、射的のおまけのひよこちゃんが大集合。千と千尋の神隠しモードです。ていうか、どこの温泉地も「千と千尋のモデルとなった」という自己申告すごい。

階段の途中にあった、やる気のなさが溢れかえる酒屋の店先。
あとバックパッカーに酒瓶結構割られて迷惑してるんでしょうねっていう張り紙。30Lのバックパック背負った私は、入れません。

こうやって階段をのぼって、途中の射的などには目もくれず、てっぺんまで行くと伊香保神社があります。

途中、なんか階段ダッシュしてる若者がポケットの中身を盛大にぶちまけて、みたいな面白いものも見れたんですけど、そんなのは横目に、さらっと伊香保神社にはお参りだけして、源泉を目指します。

源泉といっても、舗装した道を徒歩で行く、のんびりしたものなのですが……

階段を登りきって、神社をこえると、こんな感じです。
ここからもまた、さびれゾーンが最高な感じで展開していきます。

冬季はお店締めているってところも多くて、とにかく死んでいる。
街が死んでいる。
廃業したホテルとかもずらり。

もう怖い。絵に描いたような廃墟。
私は実は廃墟マニアとかの気持ちはあんまり分からないと思っていたんだけど、この「もうちょっとで死ぬ、住んでいる人が残りわずかになってしまったデストピア的世界観」が大好きっぽいです。
もうずっとテンション高いです。

思わず、記念写真を撮りました。
TEL(イカホ)261
もはや暗号に等しい。

さびれまくった看板が大収穫だった伊香保で一番私のハートをつかんだ心の狭い看板。

「ゆるすまい、どんな小さな迷惑も」

きっと観光地ならではの迷惑行為が横行しているんだろうなあというオーラが強烈に立ち上ってきています。
それにしても狭量ではないか。楽しく過ごして、でも人として踏み外すなよくらいに嗜めてくれる感じではいかんのか。ゆるすまい、って。どんな小さな迷惑もって。狭い。狭いぞ!
そして誰にも顧みられていない感じが、輪をかけて私の心に刺さるポイントです。警察の看板なんてこんなもんなのでしょうか。

これを見ながら歩いていたら、いきなり公共放送が流れてきて、
「こちらは」
「伊香保市役所です」
「インフルエンザ警報が」
「発令されていましたが」
「解除」
「されました」
みたいなことを大音量で山に向かって流していて、心の中で大爆笑しました。

インフルエンザ警報を公共放送で流すんだ!さすが観光地!!
そして、解除されましたって!!!
そうなの、どうもありがとう、よくわからないけど!!!

この古い看板と、寂れに寂れた街並みを堪能する伊香保温泉ひとり旅、次に続きます。

次は、源泉まわりのこれまたいろいろ言いたくなる看板、やっぱり千と千尋のモデルになったと言い張る朱塗りの橋、そしてやっと温泉の話とか。

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つよく生きていきたい。