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都立高転入のための基礎資料

※このnoteは以前は有料で掲載していましたが、もう8年前と情報が古いことを鑑みて無料で掲載しています。都立高校への転入の情報はまだまだ非常に少ないので、参考にしてください。


本資料の内容は以下になります

・実際に受けた転入試験の内容
試験内容・時間割、各科目の問題の内容(一部過去問あり)
・実際に転入試験の面接でされた質問
・実際の試験・面接の雰囲気
・2 校目の先生が教えてくれた「そのこと」とは
・試験の配点、1 回目の試験で落ちた点数、2 回目の試験で受かった点数
・私の身の回りで合格した人の話
・転入試験の過去問は存在する
・実際に書いた転学理由
・都立から都立への転入は可能か
・受験校の選び方(今いる学校より偏差値が上の高校に行くことは可能か)
・転入しよう!実際にすべき行動
・面接は非常に大事
・必要なのはメンタル



この資料を読んで無事合格されることをお祈りします。

・実際に受けた転入試験の内容
まず、僕が受けたのは小山台高校と母校の小山台と偏差値の近い高校です。両方とも試験科目は英数国、面接でした。これは都の教育委員会 HP でも明示してあるので、特注がない限りはどこの高校でも同じなのではないかと思います。

・試験内容・時間割

3科目はすべて50分、3科目が終わり次第面接でした。

時間割としては

9:00~9:50 国語
10:10~11;00 数学
11:20~12:10 英語

そのあと順次面接という流れだったと思います。(休憩時間が10分だったらごめんなさい。多分20分はあったと思いますが。)

・各科目の問題の内容(私の持っていた過去問の画像付き)

国語は普通の都立の一般高校入試と形式は変わらなかったと思います。現代文2題、古文、漢文。漢文は高校入試に入ってない場合が多いですが、普通に高校用の問題集を解いていれば大丈夫でしょう。範囲はその高校が受検時までやっていた範囲です。

数学は逆に入試とはかけ離れていて、定期テストに近かったです。その学校が高 1 の 1 学期までにやっていた数学の範囲から出されました。基礎的な問題中心で、応用的な問題を時々出していました。最後だけ難しい問題があったのですがそれも含めて定期テストみたいだと思いましたね。問題が非常に多く、時間内に解き終わるか微妙な量でした。

英語も定期テストみたいで、内容は発音、単語(語彙)、文法、長文でした。範囲は当然その高校が受検時までにやっていた範囲です。リスニングは2校ともなかったですが、学校によってはあるかもしれません。発音がいわゆるセンター第1問 AB 型、文法がセンター第 2 問とほぼ同じでした。センターの過去問はネット上で拾えるので解いておくことをお勧めします。発音が難しかったですね。

今試験を振り返ってみると、試験のレベルはともかくとして形式はその学校の期末試験に近いと思います。国語が入試に近いと書きましたが国語の定期テストって毎回高校入試みたいなものでしょう。

年によっては志願者がいないこともある転入試験ですし、そもそも募集の翌日が試験なので、先生も期末試験と過去問をもとに作成しているのではないでしょうか。

もしもの話ですが、自分の入りたい高校に友人や知り合いがいるのなら、形式や数学の範囲がわかるので期末試験をもらっておいたほうがいいでしょう。

また、1つ試験の難易度の指標として上げるならば、その学校の定期試験よりちょっと上の難易度だったのかなっていう気がしました。

・実際に転入試験の面接でされた質問

至極単純で両校ともに「なぜこの学校に入りたいか」「将来の夢は」「好きな科目は」「自分の長所は」「どの部活に入りたいか」

こんな感じのことを聞かれました。普通の都立高校推薦入試で聞かれることと変わりません。前の学校のことは聞かれませんでした。

ただ、後述しますが 2 校で面接の際の雰囲気の違いはありましたね。

ここで失敗談を挟みますが、私は「なぜこの学校に入りたいか」の質問で勘違いして前の学校を退学した経緯をべらべら喋ったので先生に「そういうことを聞いているんじゃないんだよ」と指摘され、そのまま 1 校目に落ち
ました。

面接では変なことはしゃべらず明るくしていたほうがいいでしょう。

もし面接で前の学校のことを聞かれたら、腹をくくって話したほうがいいと思いますが、なるべく早めに切り上げたほうがいいと思います。また、後述の通りあらかじめ学校側に伝えておいて質問を回避するのもいいと思います。

・試験の雰囲気

当日の試験の様子をまとめて話します。
小山台を受検したとき、校舎内では部活が普通に行われており、僕とすれ違う小山台生も何人かいました。中 3の学校訪問だと思われていたでしょう。そんなに恥ずかしくはないです。

校舎入り口に転入受検者案内の張り紙があり、それに従って移動すると
担当の先生がいたので、先生の案内に従って試験会場の教室に行きました。会場は普通の教室とは違って会議室のようでした。パイプ椅子でした。外から吹奏楽部の音が聞こえてきたので、あまりいい環境だったとは言えないと思います。

教室には私を含めて 4 人がいました。私のサイトの記事「僕が私立高校を 1 年の夏で退学して都立高校に編入した話」では受けたのは 3 人と書きましたが、実はもう1人いて、その人は 2 年生でした。

転入試験は人数が少ないので全学年が同じ部屋で試験を受けます。

私は会場についたのが 1 番遅く、前に 3 人いたので、2 人は落ちると勘違いしていました(結局1年は全員落ちましたが)。他学年は試験問題が違うので、試験が配られる時か、アナウンスがされないと実際の同学年の受験者
数はわかりません。

教室に入って受検者が多いとあまりいい気持ちにはなりませんが、とりあえずは他の学年である可能性を信じて落ち着きましょう。

2 校目の受験の時、私は 1 番早く教室についたのですが、そのあとぞろぞろ 4 人も入ってきて眩暈がしました。

しかも配られた問題がみんな同じだったので全員 1 年だと分かりました。前回の3人もだいぶ多いほうだったので正直諦めそうになりましたね。試験を受けた教室は1校目と違って普通の教室でした。

試験が始まればあとは普通の試験です。


・面接の雰囲気、面接官の人数
そもそも試験を受けた後面接までの時間ですが、正直言って30分なかったです。面接がお昼前に終わるくらいなので試験が終わったらすぐに面接が始まります。面接が始まるまでは試験を受けた教室で待機です。

【小山台の面接】
小山台の面接ではまず部屋が結構豪勢な感じの部屋でした。多分応接室だったと思います。

さすがにここまで豪華ではないですが、大体こんな感じの部屋でした。この向かい合っている3人用の椅子に先生3人、僕1人で向かい合って面接しました。

小山台の面接は男の先生が 3 人で、入試の面接というよりは企業の中途採用のための面接といった感じでした。

表現が難しいのですが、普通の都立の推薦入試はある程度受かる子のモデルみたいなものが決まっていますよね。この質問にはこう答えるべき、というのがセオリーとして決まっていると思います。

ですが転入試験の面接は受検者が少ないので先生もかなりよく見ていました。込み入った質問はこの時にされませんでしたが質問の奥で“君をしっかり見ているぞ”といったニュアンスがはっきり感じられました。面接時間は 20 分ほどでした。


受けた質問は、「なぜこの学校を志望したのか」「入りたい部活は何か」「将来の夢は」といった、至極単純なことばかりです。

ただ、私はこの「なぜこの学校を志望したのか」という質問で、なんで前の学校をやめたのかをだらだらと喋り、先生から質問の意図が違うと指摘されました。小山台に落ちた原因はほぼあの質問の返答ミスにあったと思いま
す。企業の中途採用でもなんで前の会社を辞めたのかはいきなり聞かれないですよね。

志望動機を聞かれた際は、その高校の校風や家との近さとかそういう当たり前のことを答えましょう。相手の先生方は想像以上にあなたの退学した理由に興味はありません。

【母校の面接】
2 校目の面接会場は前回と打って変わって普段絶対使われてない教室でした。面接に関係のない物がいろいろ置かれた物置みたいな部屋で、明らかに急いでこしらえた感じがありました。私が卒業するまで文化祭の時に 1 回しか入らなかったような部屋なのでそういう部屋です。先生は3人でした。ですが小山台と違ったのは、受検者が2 人でした。私と受けたもう一人の子は例の一緒に受かった子です。


2 校目の面接では 1 回目の反省を生かし、普通に、しっかり答えました。2 校目の面接の雰囲気は相当フランクでしたね。数学の先生が面接官だったので、好きな教科で数学と答えたら結構話が弾みました。

「教材は何を使っているの?」
「チャート式です」
「色は?」
「青ですね」
「あーうちもそれ使ってるんだよ。でも、あんまりみんなのレベルにはあってるとは言えないんだよねえ。」

このくらいフランクでした。正直面接は先生との相性だと思います。2 校目の面接が終わった後は受かったのではないかと思いました。ただ、ほかに 4 人もいたので全然安心できませんでした。

ただ、この面接は配点上とんでもなく重要です。ここをやらかすとまず受かりません。裏を返せば、面接で相当いい感触を与えられれば受かる可能性はぐんと上がります。

・2 校目の先生が教えてくれた「そのこと」とは
私の記事「僕が私立高校を 1 年の夏で退学して都立高校に編入した話」で意図的に削除した部分であるのですが、小山台に落ちた後 2 校目の先生に助言を求めに行った際、衝撃的な一言をいただきました。それは

「都立高の転入試験では試験結果を開示してくれるんですよ」


でした。ちなみにこのことを教えてもらった後、僕ら親子はその場でお礼を言い小山台高校へいきました。白紙の合格発表は外されていましたがそんなのは無視して急いで事務へ駆け寄り、試験結果を手に入れました。

試験結果は本当に結果のみで、細い紙きれに科目と点数だけ書いてありました。


・配点と 1 回目の試験で落ちた点数、2 回目の試験で受かった点数
まず自分の点数にも驚いたのですが、それ以上に配点にも驚きました。試験の配点は


国語 100 点 数学 100 点 英語 100 点 面接 300 点


でした。こんなことがあるのかと思いましたね。面接で半分以上あります。そして実際に取った点数ですが、


英語 60/100
数学 70/100
国語 80/100
面接 100/300 (英数国の下 1 桁は忘れましたが 10 の位は間違いないです)


見事に面接でやらかしていました。そして 2 校目に受かった際も、実は開示を見ましたところ、


英語 60/100
数学 80/100
国語 70/100
面接 300/300


この点数でした。数学はかなり良かったので相当高い点数だったのではないかと思います。今回も下1桁は覚えていませんが面接は300点満点でした。面接ではうまくいけば満点が取れます。


・私の身の回りで合格した人の話
まず、僕の知ってる範囲で編入試験に合格した人は僕以外に5人います
1人目は小山台高校で、唯一2年生で受験していた男の先輩です。彼一人しか受験していませんでしたが普通に合格していました。2年のあの時期で転校していたので普通に引越しの転入だったんじゃないかなと思います。

2人目は私と一緒に区分2で合格した男子です。高校で一番仲が良かったとブログで書いた人です。彼は実は小山台も一緒に受験していたので、2校目で会ったときはまたお前かと思いました。後述しますが、彼は都立から
都立への編入に成功しています。実際のところ頭もよく、高校では常に最上位の成績でした。

3人目は私の高校に、1年生の1月で入ってきた男子で、関西のほうから来たので区分1だと言っていました。
学力は高校の中では半分ちょっと下くらいで、数学が特にできないタイプでした。割と転入してきたときから数学で10点などを取っていたので、試験では学力に偏りがあっても大丈夫・・・ということでしょうか、

4人目も私の高校に、2年生の4月で入ってきた男子で、関西の名門校から来ていました。区分1だと思います。
その高校は僕の母校よりはレベルがちょっと上の高校でした(偏差値+5くらい)。学力は中の上でした。

5人目は僕が高2の9月、つまりその子が高1の9月だった時に、1個下の学年に区分2で入ってきた子がいました。話したことはないので詳しくはわかりません。

こんな感じで、区分1・区分2のどちらにしろ、とにかく合格者はいます。合格率は低いですが受かる人は結構いるのです。そして、どのくらいのレベルの子だったら余裕で受かるのか、というと恐らく半分より上くらいが最低限のラインではないでしょうか。しかし高校受験の時に余裕で受かるレベルだったところが安全だと思います。


・転入試験の過去問は存在する
過去に転入試験を行った学校の場合、転入試験の過去問をくれる場合があります。このことは教育委員会の HPにも書いてあります。私は4校巡って2校で過去問をもらいました。

ですので、学校訪問の際には「過去問はありますか?」と聞きましょう。自分の行きたい学校でなくとももらえるならもらって、対策のために解いておきましょう。

また、上urlに添付してあるの 4 枚の画像は私の持っていた転入試験の過去問です。写真フォルダに残っていたものなので画像は荒いですが、どんな問題が出されたのかはわかると思います。

・実際に書いた転学理由
願書を書く際に、転学理由を埋めるのに頭を悩ませると思います。区分1の方は別に大丈夫でしょうが、区分2の方はあまり説明しにくい事情を抱えていることも多いと思います。ここに何を書けばいいかは私も正確に言えませんが、実際に何を書いたか書きます。

まず、1校目の小山台ですがこちらの転学理由書は一枚のみで、将来の夢や高校で何をしたいかなど、差し障りのない内容でした。この転学理由書でなぜ退学したかを話せず、学校訪問でも退学の経緯を詳しく伝えてなかった
ため、面接の際にどこかで退学の事情を話さないといけないと思い込んでいました。その結果面接で的外れな回答をしたため落ちたのです。

そこでどうしたものかと思っていたのですが、2校目ではまず担当の先生(例の丁寧な先生)が事前に私の退学した経緯を聞いてくださっていました。

そこでその先生に転学理由書以外に別途で退学の経緯をつけていいかと質問したところ、承諾を得たので、願書の中に転学理由書とは別に退学の経緯を説明した紙(5ページ分)を同封しました。転学理由書のほうは前向きな内容で、退学の経緯を説明した内容はドロドロした内容でしたね。いまだに読み直すのがはばかられます。

このおかげで2校目では、面接の際に退学の理由を話す必要がなく、はきはきと受け答え出来ました。これが功を奏したと思います。300 点もある面接です。対策は練りに練ってください。

・都立から都立への転入は可能か
可能です。実際私の友達は都立から都立に転入しています。
恐らくは私立→都立への転入と流れに違いはないので、現在通っている都立高校の先生に相談してください。

・受験校の選び方(今いる高校より偏差値が上の高校に行くことは可能か)

まず大前提として、受験校のレベルは自分の実力ならトップクラスの成績を取れるところにしましょう。転学試験は普通の受験と違って一定量合格者を出す必要はありません。学校側がわざわざ取るのですから最低でもその学校で中の上くらいの成績をとる人間でないと厳しいでしょう。逆に言えば今の高校で自分の成績がかなり良いならば、上のレベルの高校に入りなおせる可能性はあります。実際私はレベルが上の高校に入りなおせました。また、一緒に受かった彼はもともと都立のだいぶ下の学校に通っていたのですが(2 次募集で入ったそうです)、偏差値を大幅に上げて受かりました。結局のところ、点数がすべてのような気がします。

合格点ですが、転入試験で 7 割以上取れれば合格ギリギリライン、8 割取れればまず合格とみていいと思います。

現実的な話をすると、私はもともと日比谷を受けようとするくらいの学力が中3であり、入った小山台レベルの高校でずっと上位1桁の順位をキープして慶應経済に現役で入りました。同じく区分2で入った親友の彼もずっと上位1桁でした。ただ、私の受験時の5人の中に、私達よりちょっと下の、学年で20番以内には入るくらいの子もいたかもしれません。いまだに当時のことは覚えていますが、みんな頭の良さそうな受験生ばかりでした。その辺りは本当に運だと思います。そう考えると高校受験の時点で合格率が80%を超えていないレベルの学校にチャレンジするのは、あまりにもリスクが高すぎると思います。そもそも僕は高校自体に学力レベルの高さを求めていたわけではなく、私立のような頭髪検査などのないある程度の自由を求めていたので、学力の差はそこまで気になりませんでした。

この資料を読んでいる方がどんな偏差値の方であれ、自分が入って授業のペースに余裕でついていけて、その学校で一番なんて余裕で取れるくらいの学校が適正なレベルだと思います。学力の差を理由に転学を考えているのならば、予備校に通う事などを検討してみたほうが良いのではないでしょうか

・面接は非常に大事
再三になりますが面接は非常に大事です。私の母校は面接の点数が300点で、小山台はきっかり100点でした。恐ろしい話ですが面接は 100 点刻みのようです(それか 50 点刻み)。多分そんなに厳格な基準があるとは思えません。ですので、面接の練習はある程度しておいたほうがいいと思います

・転入しよう!実際にすべき行動
まずは自分が高校受験時に余裕で受かるレベルだった学校で、いくつか興味のある学校を訪問しましょう。せっかく入ったのに合わないからまた退学なんてことにならないよう慎重に選んでください。ただの学校見学なのでアポイントを取れば校舎の案内と面談はしっかりやってくれます。高校の先生にもし退学の経緯を話せたら話しておきましょう(区分1の方は普通に引っ越しで大丈夫でしょう)。その時先生から過去問を頂いたり、試験範囲を教えていただける可能性があるので忘れずに聞きましょう。また、退学の事情が深刻な方は、入学願書に退学した事情を別途同封していいか聞いたほうが良いと思います。

・教育委員会に相談しよう
何かしてくれた記憶はないのですが、一応電話くらいはかけましょう。都立高の転入試験ですが、どちらかといえば何かあった時に相談すべきは都立高校の先生だと思います。

・勉強をしよう
範囲がわかったら市販の問題集でも何でも構わないので問題を解きましょう。僕は、国語は高校受験用の現代文問題集を買い、古文と漢文は前の学校で使っていたものをやりこみました。数学と英語は市販の問題集でしたね。
あと、過去問はまんべんなくやりました。試験直前は結構精神的に参ります。時間のあるうちにしっかり勉強しましょう。

・願書を書こう
ここは正直親が手伝うべきところだと思いますが、願書はしっかり書きましょう。特に志望理由の欄は上にも書いた通り別途で自由に書類を付けられるのならば、改めて退学の経緯を詳しく書きましょう。私の志望理由(というか退学の理由)は親が書きました。

・必要なのは圧倒的メンタル
転入試験は合格率が低いですが、

①受ける学校のレベルを自分が高校受験の時に余裕で受かるレベルにする

②面接でしっかり受け答えする

この2つがしっかり出来たらほぼ受かると思います。

ただ、やはり転入試験を受ける前に(特に区分2の場合)孤独で勉強しなければならない時期があるので、その時期にどれだけ自分の精神を保てるか、というのは大事だと思います。

私は以前の高校をやめた経緯がかなりひどく、高1の夏休みのころは前の学校での人間関係がボロボロの状態でした。それ以外にも都立転入に関して情報がほとんどなく、1回目に落ちたときはこのまま中卒で就職かと本当に思いました。都立の転入試験は”落ちたら終わり”なので、直前は本当に精神的に来ます。直前のプレッシャーも想定しつつ準備をしてください。

実のところ受けると腹をくくったのなら、自分が少し頭のおかしい人間だと思うくらいがちょうどいいと思います。

そもそも転入をするということは、今いる学校に退学届を出した上で綱渡りのような転入試験を受けるという、学力だけではない精神力を試される機会が何度も出てきます。落ちたら併願に行けばいい中学受験や高校受験とはわけが違うのです。私はもともと3年間の特待生で、例え元いた学校がどんなに嫌な環境でも耐えれば3年間は都立高校と同じ学費で通うことができました。しかし、それでも嫌だったので、退学届を叩きつけました。

今思うと無鉄砲で、とてもハイリスクだったなと思います。本当に怖かったです。小山台に願書を出した時点で既に元いた高校の退学は決定していて、社会的には中卒という状態です。その状態で合格率が三十パーセントもあるか怪しい試験に通らなければならないプレッシャーは相当なものでした。そのプレッシャーを抱えたまま小山台に落ちたので、あの時は精神的にかなり応えました。

小山台に落ちてから母校を受験するまでの期間は、落ちたら通信制高校という自分の知らない世界に飛び込まなければならない重圧に絶えなばならず、その先の人生にもどんな影響があるかわかりませんでした。もし仮に母校も落ちていたとしたら、通信に三ヶ月ほど通って再チャレンジしていたのでしょう。そうなると高校生活の一年間を棒に振るのは確実な上、一度都立に二回も落ちて通信に三ヶ月通ったと経歴を持って普通科の高校に戻るのはかなり難しかったと思います。

しかしあの時のように絶対受かるというパラノイア的思想を持ち、少しの迷いも断つようでなければ転入は難しかったと思います。私が母校に転入できたのも、1回目の小山台で諦めずに、可能性を模索して親しくしていた母校の先生から耳寄りの情報を手に入れたことで、自分の点数を開示して落ちた原因を調査し、2回目のテストに合格することができました。この奇跡は一回落ちただけで諦めずに色々模索して粘った結果良き運に恵まれたものだと思います。

また卒業から数年たち、あの時即座に退学して本当によかったと思います。というのも人間である以上基本的に過去のあらゆる失敗は消せないからです。最初の学校でパワハラまがいの教育を受けながら教師の言われるがままに受験勉強だけして3年間過ごしてしまっては、あまりに失敗として大き過ぎたと思います。幼少期ほど人間にとって人生の価値は高く、15−18ってやっぱり感受性という面から見ても黄金期だと思うことはとても多いです。

僕のおすすめする本で「アルケミスト 夢を旅した少年」と「タタール人の砂漠」という本があります。要約だけでも読んで欲しいです。両者はとても対称的な内容となっています。前者は主人公が変化のない地元での生活という現状を捨てピラミッドへの冒険の旅に出る話で、寓話を装った自己啓発本だと感じています。逆に後者は辺境の砦に配属された若い将校だった主人公が、"やろうと思えば抜け出せるのに"ほとんど仕事がなく虚しい現状を抜け出せず、青春どころか人生の大半を無為に過ごして、大した仕事をせずに働き盛りを終えた最後は絶望に苛まれる話です。

僕はこの二つの本に高校卒業後に出会ったのですが、高校1年生の時の自分そのまんまだと思いました。あのままパワハラまがいの学校で生活を送っていたら、間違いなくタタール人の砂漠のように最後は”俺の高校生活はなんだったんだ??”と思いながら暗い卒業式を送っていたと思います。本と同じように、前いた学校では「学校やめたい学校やめたい」と毎日言っていながら、嫌々学校に通う雰囲気がありました。「高校時代は勉強のために犠牲にして、大学に入ったら自分の好きなことをやろう」という不文律が学校中に蔓延していて、入った都立高校とは雲泥の差だったと思います。もしあのまま前の学校で高校生活を送っていれば、たとえ良い大学に受かっていたとしても、その代わりに高校生活の中で大切なものを全て失ったと考えるとあまりにも悲惨な結末になったでしょう。そしてその後悔を一生引きずっていたと思います。

それに比べて、転校した先の学校ではまず部活が自由にできました。ですから、私は自分の好きなスポーツに好きなだけ打ち込んで、今でもそれを続けています。また勉強についても、とにかく自由だったことがよかったです。前の学校では何かと制約が強く、塾に行くのも禁止されていました。それに比べて都立高校では、塾に行くのも自由だし、内職しててもあまり強くは言われませんでした。ですから、自分にとってあの環境の変化はとても有意義な選択だったと思います。

タタール人の砂漠(何度も出してごめんなさい)の中で、「時の遁走」という表現が出てきます。時間があっという間に過ぎ去っていくことを表現しているのですが、実際高校生活なんてあっという間です。あれをやりたい、これをやりたい、そう言っている間に卒業式が来て、卒業してもまだ大丈夫だと思っていたらあっという間に就職活動、入社しても気づいたら30を超えていて、そして最後は・・・となっていくのだと思っています。「時の遁走」は恐ろしく、それでいて気づきにくいです。高校時代の私がそれに気づいていたわけではないですが、結果的に私は後悔しないで済む高校生活を送ることができました。それを今でも誇りだと思っています。以下に「時の遁走」についてタタール人の砂漠で語られている一節を載せたいと思います。自分も定期的に読み直して自戒している文章です。

馬は元気に駆けて行く。天気はいいし、大気は暖かく、爽やかだ。人生はこの先まだまだ長いし、まだ始まったばかりと言ってもいいほどだ。なんで城壁や、砲台や、堡塁の上にいる歩哨の姿に最後の一瞥をくれる必要があろう? こうしてゆっくりとページがめくられ、もう終わってしまったほかのページの上に重ねられる。だが、今のところは読み終わったページの嵩はまだまだ薄く、それに比べてこれから読むべきページは無限に残っている。だが、中尉よ、それでもやはりひとつのページが終わり、人生の一部が過ぎ去ったことにはちがいないのだ。
だが、あるところまで来て、本能的に後ろを振り返ると、帰り道を閉ざすように、背後で格子門が閉まりかけている。そしてあたりの様子もなにか変わってしまっていることに気づく。日はもう頂点にじっと留まってはいず、急に傾きはじめ、もはや留めるすべもなく、地平線に向かって落ちて行く。雲はもう蒼穹にゆったりと漂ってはいず、次々と折り重なるように、足早に逃げて行く。雲も急いでいるのだ、時は過ぎるし、道もいずれは終わることが分かっているからだ。

学校を辞めたい、入る学校を間違えたと何度も思っておきながら、それでも多くの人が卒業まで行ってしまいます。この小説で最後まで砦に残り続ける主人公のように。本当はこんなはずじゃなかったと言っても、時間は戻ってこないのです。

もしあなたが退学して受験をするのであれば、受験の最中に精神的に崩れそうになる瞬間は必ず来ると思います。しかし受かれば無事に新しい生活を手に入れることができます。そして私がしなくてよかったように、一生引きずる後悔をせずに済みます。やるのなら、諦めず最後まで戦い抜いてほしいです。前の学校の成績がどれくらい見られているかはわかりませんが、まあまあいい成績が取れているのなら、あとは試験の点数次第です。

以上都立高編入のための基礎資料でした。皆様が無事新しい環境に踏み出せることをお祈りしています。

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