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【経済史】ロシア危機/LTCM破綻(1998)

アジア通貨危機でアジア諸国が火だるまになる一方、ロシアにも財政危機が及びました。

アジア通貨危機で世界全体の景気が低迷したことから、資源価格が値下がりしました。原油価格は90年代後半は1バレル=10ドル台にまで低下した局面もありました。これが輸出の80%を天然資源(原油、天然ガス、金属、木材など)に依存するロシア経済を直撃しました。この事態を受けて国際通貨基金(IMF)が緊急支援を実施しましたが、好転せず、1998年8月には、対外債務の90日間の支払停止というデフォルトに追い込まれました。

このロシア財政危機によって、アメリカの巨大なヘッジファンドも破綻しました。ロシア危機の早期収束を見込んで、借入(レバレッジ)でポジションを構築したことが裏目となりました。ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)は、ノーベル経済学賞を受賞した2人が1994年に設立し、ピーク時には1,000億米ドル以上の資金を世界中から集めて運用していました。しかし、アジア通貨危機やロシア財政危機により運用状況が悪化し、1998年9月には崩壊寸前で、資金運用の他、1兆米ドルとも言われる金融取引契約を世界中の金融機関と結んでいたため、15の銀行が資金融通を行い、グリーンスパンFRB議長が9月から3カ月でFFレートを3回引き下げ、沈静化が図られました。

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