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日記8月7日

お盆の連休が始まった。始まったって書いた瞬間、始まりは昨日の退勤時点だということが頭をよぎったがどうだって良くなる。連休はどこかへひっそりと、旅行に行こうと思っていたが、緊急事態宣言と自治体の蔓延防止の呼びかけによってキャンセルとなり、どうだって良くなる。それじゃあ近場でキャンプとか登山に行こうと思ったが台風が接近していることがわかり、どうだって良くなる。だからまだ18時なのにお風呂に浸かりながらフリックでフリフリこれを書いている。外からパトカーのサイレンが聞こえてきて、警察特有の当事者同士にしか聞こえない発声でスピーカーから声をかけて呼び止めている。こっちはなんて言っているかはわからない、連休初日から可哀想な人もいるものだ。でもどうだって良くなる。外はまだ明るい。さっき女子マラソンを少しだけ見た。暑さで完走できずに諦めてしまう人が出ていた。遥か地球の果ての極東の国までやってきて、暑さにやられてみんなどうだって良くなってしまうのだ。そしてどうだって良くなって私はやることがないというやることを日記にして、予定がないという予定を計画しながら毎日文を書こうと思う。

昨日から考えていた。連休のスタートダッシュを決めるためには何をすべきか。そして、思いついたのは8時から喫茶店のモーニングを食べる計画でそれを実行に移した。パン屋さんの二階に併設された喫茶スペースはほぼ客で埋まっていて自分たちは最後の一席だった。注文を終え待つ。ふと右隣の老夫婦に目をやると会話はまったくない。食べ終わってずっと黙っているままだ。ぼんやりと時間が過ぎていっている。そして左隣に目をやると、若い夫婦は3歳くらいの子供を連れていて、妻は夫に「鞄を空いてる席に置かせてくれない、そういうところが気が利かないよね」とか言って皮肉っている。そして、子供がスプーンを落としたために子供自身に「すみません」と店員を呼ばせて喜んでいた。
隣の席の老夫婦にも、若い夫婦にもどちらにもなりたくもないし、どちらにもなりそうな自分がいる。コーヒーとフレンチトーストを食べた。フレンチトーストの隣にはバニラアイスあって、じわりと溶けていく。

午後は仕事関係の動画を見ていたら過ぎた。今日を充実させるためのもう一つの計画が大葉餃子を作って酒を飲むことである。ゴルフボールくらいのジャンボニンニクをすりおろし餃子の種を作って皮に大葉を一枚おいて包んでいく。皮二十枚、大葉二十枚が肉と野菜を混ぜ合わせたものから餃子二十個が生成された。完璧にフライパンの上に並び円環を成している。オリンピックの野球決勝を見ながら大葉餃子を食べながらレモンサワーを飲むと何もかもがどうでも良い。野球はガムをかみながら行う唯一のプロスポーツだといつも思う。野球選手がガムを噛んだり、100メートル走の選手がブリブリのネックレスをしてたり、高跳びの選手がブレスレットをしてたり。競技の中で自分の信念がある次元が途方もなくかっこいい。

野球日本代表は金メダルを手にした。最後のアウトを取り、歓喜の瞬間がずっと映し出される。私に歓喜の瞬間は来るのだろうか。全身で喜びを表し、仲間と呼ばれる人と言葉なく抱き合う。一生忘れないような、この経験が全ての糧になるような、陽の出来事は起こりそうもない。妊娠出産育児みたいな自己満足ではない、自分による自分のための自分自身の歓喜。「栄光の時代はいつだ、俺は今なんだよ」と言う準備運動をし続けているまま2021年下半期に入っている。

ともあれ計画通りに1日を行動することができた。もうすぐ今日が終わるけど、やり残したことばかりな気分で眠りにつこうとしている。

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