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残酷な店主のどうせ

そこに足を踏み入れたなら
2度とは戻れないと
風の噂で聞いていた。

だから
足を踏み入れるつもりは
毛頭なかった。
毛頭…なかった。

しかし毛頭…毛根?の
1割ほどからだろうか、
そうめんを細くしたようなのが
頭角を示してきたのだ。
頭角…っていうか頭髪。

その1割が3割くらいに
増えたころ、
わたしはあっさり
黒の世界に足を踏み入れてしまった。

1ヶ月後には
猛烈に反省した。毛反省。
もう戻れない。毛もどれない。
全力あんたバカァ?のターム襲来。

生えてくる細そうめんは
毎度アルカリに
ATキューティクルをこじ開けられ
黒に染色される運命を背負ったのだった。


魂を黒に売り渡したのは
ちょうど甥1、
そら氏が生まれた頃のこと。

そんなそら氏とエヴァの映画を観て、
初号機フィギュア(お高いやつ)を
ねだられようになるほどの年月、
黒染め履歴を重ねてきた。

そんな折、
そうめんには昆布でしょとばかり
昆布の色素で染めましょうよ的な
カラー商材の広告に紛れて
「白髪ぼかし」なる技術を用いた
かわいいカラー施術後の
写真が飛び込んできた。

ほとばしる熱いパトス!
(今更だけどパトスってなに!?)

全力リサーチの末、
シラガ作戦は決行された。


…ぎゃるい。

ひとろくまるまる。
大緊張の上、
たどり着いたその美容室に
一歩足を踏み入れた瞬間から
脳内でクールポコが暴走した。

なーにぃ、やっちまったなぁ。

eggみたいなeggじゃない雑誌。
(もはや存じ上げない)

右には海賊に狙われそうな
キラキラ爪のぎゃる

左にはぁ⤴️
声を発するたびにぃ⤴️
カーブ矢印がぁ⤴️
ぽこぽこ出てくる系のぉ⤴️ぎゃる

逃げちゃダメだ
逃げちゃダメだ
逃げちゃダメだ

唯一同年代の店主とは
ギリギリスラムダンクという
共通の話題があった。
(花道ありがとう。天才です…)

両脇2ぎゃるのはしごで
多忙そうだった店主に
あと2分で流しますと言われてから
5分くらい経ったので
すこし不安になった。

「どうせ傷むんで大丈夫ですよ!」

…残酷な店主のどうせ。

長年、染色され続けた
黒そうめんたちは
店主の腕を持ってしても
サルベージできず。

めちゃくちゃ褒めれば
アスカ…とも言えなくもない
なかなかな派手髪で店を出た。

茶髪なんてなれないまま
わたしは生きる。

ちなみに、ぎゃるたちは
わざわざ髪を白くしていた。
いとせちがらし⤴️


わたしに還りなさい。

アスカオレンジも
慣れれば楽しかったけど
オレンジそうめんは切れに切れた。

店主には悪い気もしたけど
もう山王戦まで語り切っちゃってるし
ぎゃるサンド耐性も振り切っちゃってるし
なんなら髪が切れちゃってるし

インスタで数年憧れて
フォローしていた
美容院に思い切っちゃって行ってみた。

切っちゃってって言いたすぎて
おかしくなった。

おしゃれ散らかり上げてるけど
行ってみたら気さくで
気持ちのいい美容師さんが、
ばちっとキメてくださった。

アスカから
レイくらいの長さにカット、
渋い二号機っぽい色になっている。

サルベージされた。


まず最初に
魂をルフランした時も
(…ルフランってなに?!)
本当はそうしたくなかった気がする。

ぎゃるに囲まれた時も、
本当はインスタ見ていて
なんとなく予感があった気がする。

おしゃれすぎて
ハードルとか歩道橋とか超えたけど
数年憧れた美容院でサルベージ。

無理やりいい感じにしめると
たぶん、心に従っとこうぜ、
ということなんだと思った。

ひと昔前は
白髪染め一度したら戻れないと
言われてた気がするけど、
なんとかなることに驚いてる。

え、ほーゆーさん
こーゆーことで大丈夫でしょうか…
(企画参加下手)

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