たこ焼き粉破裂の謎を追ってみた
楽しくたこ焼きパーティをした時のことです。
使用したたこ焼き粉の袋側面にこのような文言があるのを見つけました。
へー、破裂するんだ。気をつけよ。
……
なんで???
ということで、たこ焼き粉破裂の謎を調査していきます。
まず、自分なりに仮説を立ててみました。
仮説
1:生地中の水分量
たこ焼きの生地はサラサラですが、例として挙げられているドーナツ、アメリカンドッグ、及びスペイン風揚げ菓子の生地はある程度成形できる固さで、生地中の水分量が違います。
一旦止めます。
……スペイン風揚げ菓子ってなに???
普通にチュロスのことらしいです。
ただ「チュロス」という商品名は日清製粉ウェルナが商標登録しているため、このような表記になっているのでしょう。
話を戻します。
2:加熱法
たこ焼きは薄く引いた油でゆっくりと加熱し、揚げ焼きにする場合でもある程度火が通ってから油を足します。対してドーナツなどの揚げ物の場合は熱い油に生の生地を落とします。そのため、たこ焼き器よりも高い温度で、急激に熱されると想像できます。
3:粉の成分
たこ焼き粉にはただの小麦粉だけでなく、調味料や別の成分が含まれていると思われます。
またその成分は、想定された水分量、加熱法に合ったものになっているのでしょう。
4:まとめ
たこ焼き粉の特殊な成分は、想定より少ない量の水分を加え、また想定よりも高い温度で急激に熱することでなにか問題が起きるものなのではないでしょうか。
例えば、表面が急に加熱されて固くなった後に中の生地が熱されることで、水蒸気などが閉じ込められてしまい破裂しやすくなるのかもしれません。
ではここから、この仮説に基づいて調査をしていきます。
調査開始
このたこ焼き粉の製造元である奥本製粉のサイトを調べ、検証に使えそうな同社の別製品を探した結果、今回はこの3商品を比べていきたいと思います。
たこ焼き、天ぷら、スペインドーナツ(チュロス)の、生地中の水分量と調理法の関係を以下のようにまとめました。
続いてこれらの製品の原材料を調べていきます。
たこ焼き粉
天ぷら粉
スペインドーナツミックス(業務用)
3商品の原材料を表にまとめたものがこちらです。
この結果、3商品に共通して含まれているのは小麦粉、でん粉、食塩。
そして、揚げて調理する天ぷら粉とチュロスミックスにのみ含まれており、焼いて調理するたこ焼き粉には含まれていないのが、コーンフラワー、大豆粉、ベーキングパウダーであることがわかりました。
ベーキングパウダーについて
粉類の種類とベーキングパウダーが関わる破裂事故について調べると、以下のサイトがヒットしました。
東京くらしWEB
このサイトは東京都生活文化スポーツ局消費生活部 東京都消費生活総合センター 東京都計量検定所が運営しています。
こちらのサイトの事故防止テスト・シリーズの中に、「揚げ菓子の破裂」というタイトルのpdfが掲載されています。
ここでは、消費者総合センターに寄せられた実際の破裂事故の相談基づき、どんな生地を揚げた時に破裂が起こるかを実際にテストしています。
これによると、小麦粉を使った生地の実験結果は以下の通りです。
【小麦粉+水】
激しく破裂して大量の油が飛び散った
【小麦粉+ベーキングパウダー+水】
破裂しなかった
【小麦粉+砂糖+水】
激しい破裂ではなかったが、頻繁に破裂した
【小麦粉+砂糖+ベーキングパウダー+水】
破裂しなかった
このような実験結果に基づき、消費者へのアドバイスとして以下のように書かれています。
またpdf内に、製粉振興会のホームページに事故防止のための注意喚起があると記載されています。実際にそのホームページを確認してみます。
製粉振興会
こちらには以下のように書かれています。
まとめ
・揚げ物の生地にはベーキングパウダーと砂糖を加えないと破裂しやすい。
・たこ焼き粉にはベーキングパウダーが含まれていないので、揚げ物に適していない。
・たこ焼き粉に限らず、揚げ物用ではない粉は揚げ物に使うべきではない。
調査の結果、以上のことが分かりました。
皆さんも美味しく安全な揚げ物ライフのために、使用する粉の成分にはくれぐれもご注意ください。
次は、ベーキングパウダーは含まれているものの砂糖は入っていない、天ぷら粉がなぜ破裂しないのか?でお会いしましょう。
おわり
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