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「恐怖の世界」で使ったTRPGっぽい言葉

『恐怖の世界』を訳すにあたり、事前にいくつか留意しなければならないことがあった。

ジャパニーズホラーならではのジメジメとした雰囲気。それを精緻に表現する、おどろおどろしい文体。

各所にちりばめられた元ネタの把握。

それに加え、文章をクトゥルフっぽくするテクニックも必要だった。

STA(スタミナ)REA(理性)といった能力値、そして本作に登場するアイテムや旧き神については、CoC公式ルールブックから参照したものも多い。

そもそもTRPGとかCoCって何?という方も多いと思う。
僕もそのうちの一人で、「恐怖の世界」を訳す前、TRPGというものに触れる機会はほとんど無かった。いわゆるミリしらだ。

ここで、2017年のTGSで公開された「恐怖の世界」デモ版を見てみよう。

ロード画面
戦闘画面

ご覧の通り、あらゆるところでダイスロールが行われている。
この運ゲーっぽさがTRPGらしい。

つい最近、発売されたファミ通でも語られていたが、本作は当初、卓上で遊ぶ"カードゲーム"として開発が始まっており、現在のゲーム性はそれを"一人用のデジタルゲーム"へと落とし込んだものとなっている。

ゲーム内で登場する"カード"といった要素も、卓上ゲームからの影響が強い。

馴染みのない人には、???といった感じだろう。
しかし、(ある程度慣れが必要とはいえ)それほど難しいシステムではなく、「部活動」から始めればシステム周りの説明は一通り受けられる。

【ちなみに…】
初プレイ・TRPG初心者の方が、ハサミ女に切り裂かれまくるのは当たり前なので、何回○されても気にしなくていいと思います。
(あれはおそらくゲームの雰囲気を感じ取ってもらうためのもの)

美少女として異世界転生した開発者

TRPGには"TRPGっぽい言葉遣い"があり、CoCには"CoCっぽい言葉遣い"がある。
日常生活ではまず使わないであろうワードが、ポンポン出てくるのだ。

類に漏れず、本作でもTRPGらしい表現が多く見受けられ、それを何とか訳出する必要があった。

これが80ページ分くらいある

翻訳作業中、(完全なる個人的な感覚で)これはTRPGっぽいなという言葉をひたすらにメモしていた。
TRPGと大きく括ったが、細かく言えばCoC、さらにはそこから影響を受けた作品でよく見かける語彙である。

今回はその中から一部を抜粋してみたので、何かの参考になれば幸いです。

忌まわしき
地獄の
禍々しき
宇宙的な
深淵の
病的な
嘲笑を
冒涜的な
落とし子
背任者
登壁
角笛
始原
無窮
恐懼
邂逅

禁忌
神格
位相
頭足類
偽神
尖兵
厄種
暗礁
災禍
瘴気
背教者
智慧
入り江
廃絶
虚光
夜鬼
幽世
超常
昔日
狂える
触肢
真鍮
天蓋
屍衣
艶然
揺籃
相剋
歔欷
覚え書き
数奇
従者
異稿

例)あなたは慄然たる思いで、抽斗の中を見た。
すると、そこには狂気じみた異形のものがおり、何とも名状しがたき声でこちらの脳内に語りかけてきて…

おまけ

桐江の名字は最初、サイトウだった


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