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映画は地図だと思った話

10年間続けた趣味のポッドキャストを終わらせて、二ヶ月が経った。主に映画の話をするポッドキャストだった。
そしてこの二ヶ月間はほとんど映画を見ていない。
自分からこれを観たいと思って観た映画は実に、ゼロ。
劇場とか配信とかって話じゃない。新作も旧作も関係なく何だか憑き物が落ちたように、全く興味が持てなくなってしまった。

ただ、何というか別にそれがいいとか悪いとかっていうことでもなく、単に「人間ってすごいなあ」と思うだけだ。

ここ数年で考えていたことがあって、人生において一番大切なのは家庭や家族。それと同じくらい大切なのが、仕事、社会の中で自分が何者であるのかということだと思う。
これを一台の車に例えると、仕事や生きがいはエンジンだ。そして妻や家族の存在はそのエンジンを駆動させるための燃料だと思う。
モラルや社会規範はステアリングやブレーキだ。
人生を構成するものは他にもある。趣味だ。
趣味や友人は、人生の方向性を間違わないための大切なものだ。車で言えばこれはナビゲーションや地図のようなものだと思っている。それは厳密には車の一部ではないけれど、”運転”という意味においては欠かせないものだろう。これがなくては目的地への道や現在地を失ってしまう。

私は今、仕事的に”がんばりどき”なのだと思う。ここらで一発発奮しないと、自分でいいと思える生き方にすることはできないのだ。
私は今、とにかく遮二無二突っ走らなくてはいけない時期に来ていて、それが映画やその他の趣味に対して、興味ゼロの境地をもたらしているのかもしれない、とまで思うに至った。
地図を置いて、突っ走る。


とここまで書いて、それでも妻による強烈なレコメンド攻撃により先日ヴィム・ヴェンダースの最新作「PERFECT DAYS」を観に行った事を思い出した。
あれは本当に素晴らしかった。
エンドロールが流れる中、こう考えていた。
外国人の映画監督が撮った、日本を舞台にした映画3選という記事も悪くないな、と。
セレクトはこうだ。
ロスト・イン・トランスレーション(2003)ソフィア・コッポラ
ライク・サムワン・イン・ラブ(2012)アッバス・キアロスタミ
PERFECT DAYS(2023)ヴィム・ヴェンダース
私はほくそ笑んだ。

何事も、こうと凝り固まって視野狭窄に陥るのはよろしくない。
ゆるく頑張れば良いじゃあないか───。
昏い映画館で、そう独り言ちた。


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