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イーベイバグの運命: 彼方への影

村上悠介は一見普通の若者で、漫画の古本をeBayで転売することで生計を立てていた。しかし、彼には誰にも言えない秘密があった。彼が出品する漫画の作者が、出品から正確に一週間後に亡くなるという不思議な現象が繰り返されていたのだ。最初はただの偶然と思っていたが、やがてこれが必然的なパターンであることを悟り、悲しみと共に莫大な財を築くことになる。

そんな中、彼の人生に光が差し込む。幼馴染の美咲と結婚し、二人はヨーロッパの海辺の町で新婚旅行を楽しんでいた。その美しいリゾートで、美咲は悠介に自らの秘密を明かす。「私、実は同人作家なの。でも、あまり売れてないんだ。」彼女の言葉に悠介は驚きながらも、彼女の創作活動を全力で支持することを決心する。

しかし、運命のいたずらにより、悠介は知らず知らずのうちに美咲の作品をeBayに出品してしまっていた。彼女の告白を受け、悠介は慌てて出品を取り消そうとするが、イーベイの技術的なトラブルにより削除ができない。その緊迫した時、夕日が美しい海を照らす中、美咲は突然倒れる。彼女の生命は、悠介の腕の中で静かに消えていった。

悠介はこの不可解な現象が原因で最愛の人を失ったと悟り、深い絶望に沈む。彼は全てを警察に告白するが、彼の話は信じられず、精神的な異常を疑われてしまう。最後に、彼は美咲と共に過ごしたその海辺へと戻り、夜が明ける前に自ら海に身を投じる決断をする。

翌朝、美咲の作品は記録的な高値で落札されていた。eBayの画面はその取引が完了するのをじっと待っているが、出品者は現れなかった。村上悠介と美咲の物語は、遠く彼方、テラピークで見守る誰かによって、哀しみと美しさを帯びて語り継がれることとなる。

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