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タロット霊解【6 恋人たち】


他者との出会い

愚者はこれまで母(女帝)、父(皇帝)、教師(教皇)から社会について学んできましたが、ついに実地で学ぶ段階に来ました。

初めて愚者は他者と出会いました。両親や教師は真の他者ではありませんでした。恋愛感情を抱いた異性こそが最初の真の他者との出会いです。真の他者は心を鷲掴みにする存在であり、自分の思い通りにならない存在です。

困難な選択

愚者は、未亡人という経験豊富で聡明な大人の女性と、経験は少ないけれどもエネルギーに満ちた若い女性の間で板挟みになっています。女性たちは、経験という武器と、若さという武器で愚者に迫っています。

ファッションやオーラからも分かるように、二人はまったく異なる個性の女性です。どちらも魅力的な女性であり、全く異なるタイプであるため、愚者は非常に難しい選択を迫られています。

愚者は全く異なるタイプの異性と付き合うことによって、人間の多様な性質や個性、そして人間に対する比較の難しさを学ぶことになります。

実際に深く関わることで、一人ひとりが全く異なるキャラクターであり、十人十色であること、個性の価値を理解することができました。

人は皆、キャラクターが異なります。それぞれに愛すべき個性があります。したがって、一人の人のみを愛することはできず、選択もできません。これは優柔不断とは異なります。恋愛に伴う独占欲を排除しているのです。

不十分な人間論

愚者は、人生における最もテンションの上がる経験である恋愛を経験し多くのことを学びました。

一方で、哲学者は数千年に渡り存在や認識について考えてきましたが、恋愛については考えてきませんでした。書斎に籠り、異性と関わることはありませんでした。

宗教家も同様に数千年にわたり神との神秘的な合一を追求してきましたが、異性との一体化は避けてきました。

哲学者や宗教家は存在や認識、神についてのみ考え、目の前の異性との交流を避けてきました。そのため、彼らが執筆した書物は人間の考察が不十分と言えるでしょう。

運命の分かれ道

【恋人たち】のカードのテーマは、選択、分かれ道、人生の岐路、無数の分岐、選ぶ前に熟考する必要性、他者との調和です。選択によって運命が枝分かれしていくことが、木というモチーフで表されています。確かにどちらの女性を選択するかで、その後の人生が大きく変わっていきます。特に結婚相手の場合は全く異なる人生が展開されるでしょう。故に、選ぶ前に熟考する必要があります。ただどちらを選択したとしても調和を目指す必要があります。自分と個性が全く異なる他者といかに調和して共生していくかは生涯のテーマとなります。

6という数字の意味

数字の「3」は自己との調和を象徴していますが、その倍数の数字の「6」は他者との調和を象徴しています。また、「6」は完全数と言われ、完璧な「美」を象徴しています。立方体がその良い例です。

五芒星は四大元素(四大天使)+自分の霊で作りますが、六芒星は四大元素(四大天使)+自分の霊+他者の霊で作ります。6には他者が含まれています。他者との調和を表すカードなのです。しかもこのカードには同性ではなく異性が描かれています。他者との調和といっても異性との調和です。難易度の高い調和です。

奇数と偶数

奇数は陽数で、能動的な性質があります。外に興味を向ける、あるいは外へ打ち出すイメージがあります。いつでも自ら行動します。

偶数は陰数で、受動的な性質があります。今ある物や状況を深めていく、あるいは寄せていく、もしくは絞っていくイメージがあります。外部の存在や言動を、まず受けてから返します。

「6」は偶数ですが、「3」という奇数の倍数です。したがって、まず能動性があり、受動性が続くというイメージです。この【恋人たち】のカードでは、積極的なアプローチをした後に、異性から好意を寄せられ、熟考するという流れになっていると想像できます。

双子座

22枚の大アルカナカードには、10の惑星と12の星座が割り当てられていますが、【恋人たち】のカードには双子座が割り当てられています。双子座は風のエレメントであり、支配星は水星です。水星はコミュニケーションや知恵を象徴しています。また、風は直感を表しているため、人生の選択においては十分なコミュニケーションと知恵を活かし、熟考した後に最終的には直感に従うことが良いと言えます。キューピッドもまた直感を象徴していると言えるでしょう。

幸せの青い鳥

この樹の上には、一羽ならず幸せの青い鳥がいます。鳥の羽がそれを暗示しています。鳥の羽はどちらの女性にも落ちてきています。これは、どちらの女性を選択しても幸せになれることを意味しています。幸せは相手に依存しているのではなく、自分で築いていくものだからです。

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