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最近の【ほぼ百字小説】2023年12月2日~12月13日

【ほぼ百字小説】をひとつツイート(ポスト)したら、こっちでそれに関してあれこれ書いて、それが20篇くらい溜まったら、まとめて朗読して終わり、という形式でやってます。気が向いたらおつきあいください。

12月2日(土)

【ほぼ百字小説】(4875) 怪獣を見に行った。いつからか怪獣にはあまり期待しなくなってしまったが、それでも怪獣が暴れているとなると見に行き、そして今回も、こういうのと違うんだけどなあ。まあ怪獣も変わったがこちらも変わったからな。

 日記で、もちろん怪獣映画のことを書いてるわけですが、そう書かずにただ怪獣を見に行ったと書くだけにすると、なんかそういう世界の話みたいに読める。小説のおもしろいところですね。怪獣がときどき暴れて、それを見物に行ったりする世界。でも、怪獣はいつも期待外れ、とか。まあ怪獣に限らずこういうのは、あるあるですよね。

【ほぼ百字小説】(4876) 家が立ち上がった。いや、家じゃない。あの大窓は宇宙服のフェイスプレート、エアコンの室外機みたいなものは生命維持装置。降り立った惑星で休息を終えた宇宙飛行士は今、大きな一歩を踏み出し、更地だけが残った。

 なんだそりゃ? ですよね。私もそう思う。エアコンのパイプが壁に入ってるのがなんだか宇宙服っぽく見えた。それだけで書いたんだと思う。異星人がどういう形をしているのか、どういう風に見えるのか、というのはまったくわからない。なんとなくヒト型とか知ってる生き物っぽいものを想像してしまうんですが、もうまったく違ってて、何にいちばん似ているかと言えば家、みたいなこともあるかも。それを異星人と認識できるかどうか、ということも含めて。たぶん、更地に着陸したんですね。そして、けっこう我々から見るとけっこう長い休息時間だった、とか。

12月3日(日)

【ほぼ百字小説】(4877) 敗者復活戦という言葉を聞く度に、真夜中の墓地で次々に地中から蘇った歯医者たちがいろんな器具を手に戦う様を頭に描いてきた。もちろん、復活した歯医者たちの頂点を決めるそんな戦いにおいても敗者復活戦はある。

 まあこんなのもね、というか、こんなのばっかりじゃないか、という声もありますが。子供の頃からずっとそうで、まあそれもあるあるでしょうね。ドリルとかいろんな強そうな器具を持ってるし。

【ほぼ百字小説】(4878) 上り坂を飼っている。大きな地震があったとき拾ったのだ。外出のときもついてくるから、いつも上り坂の途中にいる。いつか下ることを考えて貯金のつもりで上り続けてきたが、今さらこいつと別れることはできないな。

 坂が好きだというのは前にも書きました。飼いたいくらい。ということで、上り坂を飼っている、というフレーズを思いついて、いやしかしそれはどういうことなのか。どういうことなのかわからなくても書ける、というのが小説のおもしろいところで、まあ「頭山」なんかもそんな感じですね。どういうことかわからないのに、論理みたいなもので繋いでいくことができる。そんなふうに転がしてみたやつ。坂道だけに。

12月4日(月)

【ほぼ百字小説】(4879) 亀の甲羅は肋骨で、だから亀だけは肋骨の内側に肩甲骨がある。亀は進化の過程で骨格を裏返したらしい。裏返った亀の外側にあるものはすべて亀の内部だから、亀の甲羅に世界が載っているというのはそういうことかも。

 また亀を書いてしまった。亀を並べているからどうしてもね。そしてこれも入れたいので、また並べ変えないといけない。いや、ここまでにしとこう。亀の骨格は実際ものすごく特殊らしい。それと、これは空間を裏返す話。たとえば、風船をぺろんと裏返して内側を外に向けると、その周り全部が風船の内側ということになるから、その風船は宇宙全部を包み込んでいることになる、という、まあそういうやつ。赤瀬川源平の宇宙の缶詰、なんてのもありましたね。そのへんから。

【ほぼ百字小説】(4880) 成功するのは、もう決まっています。起きたことにあわせて成功の定義を修正するのです。間違っていたとわかったから正すだけ。変えるのは問題ない。修正ですからね。皆さんが幸せになれるのも、もう決まっています。 

 なんかこんなことばっかりのような気がします。いや、無理だろうというのを無理やりやって、成功って勝手に宣言してしまう。意義も目的も最初に言ってたこととすぐに違ってくる。いつからこんなことになったんだろうなあ。

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