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最近の【ほぼ百字小説】2023年7月19日~7月28日

 だいたい18篇くらい溜まったらそこまで、という形式でいきます。あとはべつに変わりないです。ひとつツイートしたら、こっちでそれに関してあれこれ書きます。

 【百字劇場】三冊そろってます。どれにも全作解説をつけてます。全三冊600篇分、解説してます。けっこうな分量です。本文よりだいぶ多い。ひと通り読み終えてから、お楽しみください。

7月19日(水)

【ほぼ百字小説】(4583) 音の波を聴きながら、波打ち際で遊んでいる。追いかけたり逃げたり、濡れたり濡れなかったり、たまに足をとられて引っ張られたり。そんな相互作用で生まれる予想外の動きが楽しくて、波も楽しんでくれてたらいいな。

 昨日まで東京に行ってました。前に行ったのはコロナ前だから三年ぶりくらいです。そして、とり・みきさんとのトークイベントだったんですが、そこにとりさんがギターを弾くバンドをバックに朗読をする、というコーナーがあって、まあそのときのことを。ほとんどぶっつけ本番だったんですが、まあなかなかうまくいった、というか、少なくとも私は楽しくやれました。ということで、こんな感じ。

7月20日(木)

【ほぼ百字小説】(4584) 三十年以上使ってきた亀の盥にひびが。買ってきた盥は、ちょっと小さかったかも。でも泳いで遊んだりせず水底で動かないことは、ずっと見ていて知っている。このほうが出入りしやすそうだし。しばらく様子を見るか。

 あったことそのまんま。ほとんど日記です。でも、こういう感じってたぶん亀と暮らしてないとわからない。イメージとしては、水の中を泳ぎ回ってたりしそうな気がしますよね。そう思って、今よりもずいぶん小さかったけど、いちばん大きな盥を買ったのでした。でもね、だいたい沈んでじっとしてるだけなんですよ。用もないのに泳いだりなんかしない。当たり前ですが。そして、小さかった頃からずっと見ているので、亀の大きさを実際より小さくイメージしている、とかも。いや、これがあるあるなのかどうかはわかりませんが。

【ほぼ百字小説】(4585) 派遣社員としてひとり辺境の営業所にいる。現地人に合わせて暮らしていて、必要なとき巨大化して現地人の敵を倒す。クレーム処理とかも全部やらねばならず、むしろそっちが大変。昔はこんな仕事じゃなかったらしい。

 昔はこんな仕事じゃなかったけどな、というのはありますよね。そういうやつ。たぶんトップ同士が契約してしまったんじゃないでしょうか。それで、仕事としてやらないといけなくなった。もちろん、向こうにしてみたら仕事としてやらせてるだけだから、とくにリスペクトもなし、とか。やってることは同じなのに。

7月21日(金)

【ほぼ百字小説】(4586) お湯の中を歩いているように見えるが、むこうからこちらを見てもそんな感じか。あ、倒れた、と思ったら、地面からすこし浮いている。ではやっぱりお湯の中なのか、あるいはむこうから見たらこちらが倒れているのか。

 いやもう毎日暑くて、こんな感じですよね。お湯の中を歩いてるみたいに見える。そしてのぼせて倒れたように見えたけど、それは果たして現実なのか、じつはこっちが倒れてて、そんな倒れた自分が見ている幻覚かも。

【ほぼ百字小説】(4587) 川を渡るところまではわかるが、その先がわからない。元々知らないのか忘れたのか。それすらわからず、うろついたあげく、渡ってきた川をまた戻ったり。そんな繰り返しで、それがとうとう生きた時間より長くなった。

 夜走っていて道に迷ったりすると、こんな気分になります。あんまりよく知らない土地で夜走るもんじゃないですね。ということで、まさに迷っている話。あの世とこの世の境目あたりで。

【ほぼ百字小説】(4588) あの世は映画館に似ている。一見舞台のようだが奥行きはなくて、近づいたり遠ざかったりしているように見える者たちは皆、平面上で大きくなったり小さくなったりしているだけ。まあ最近ではこの世もそんな感じだが。

 映画というのは、幽霊に似てますよね。暗いところで光るし、過去の光だし、映ってる人はもう死んでたりもするし。ということで、それならあの世は映画館に似てるかも。まあそれだけの話。そして、この世もいつのまにか同じくらいに薄っぺらくなっていて、まあこの世はとっくに死んで、あの世になってしまってるのかも。

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