輝き人! NO.15 ナマコプリ/Namakopuri 前半

今回は“輝き人!”として、ナマコプリをご紹介します。 芸術家って言うと、ゴッホ・ピカソ・ミケランジェロ・・・ 硬派なイメージを抱く方も多いんじゃないでしょうか? でも、芸術だってポップな感じで良いんじゃないか!! ナマコプリを見れば、きっとあなたの芸術観も変わるはず!! 今の時代に求められる真のアートとは?

―PROFILE―
ナマコプリ
Namakopuri
マコ・プリンシパル(写真左)とナマコラブ(写真右)からなる芸術家アイドルユニット。「愛と癒し」をテーマに、絵画・紙芝居・コスプレ・歌・踊りなど様々な形でアートを表現している。毎年、「お遊戯会」と呼ばれる単独ライブに加えて、数多くのフェスや展覧会などのイベントに出演。その新しい芸術スタイルで観る者を虜にし、広くメディアで取り上げられる。グループとしての活動の他、個人でも活動を行う。

interview

芸術=“救い”


ジャーナル編集部:芸術家になった理由を教えて下さい。
マコ・プリンシパル:私は東京藝術大学の油絵科に入り、そこの大学院の版画科に進んだんですが、その時くらいから、アートの仕事をしたいと思って、芸術家として活動を始めました。
ナマコラブ:私は元々全然違うことをしていて、急に自分のキャラクターが生まれて、それによって生きていけるようになったんですよ。心の支えみたいになって。自分が何かを制作していないと、死んじゃうんです。だから、自分が生きるためにやっているだけで、アートを仕事にしているとか、自分がアーティストだっていう意識は全然無くて、ただ死なないように、生きるためにやっています。ホントに“やらないと、死ぬ!”(笑)
ジャーナル編集部:どうして、死んじゃうのですか?
ナマコラブ:救いが無いからです。
ジャーナル編集部:救いっていうのは、どういうことですか?
ナマコラブ:生きていく中で、自分の心を支えるものとか、自分を許すものっていうのが、他人の作ったものに見出せなくて。だから、自分の全部を受け入れてくれるものは、自分の作品しかない。自分が遭遇した辛いこととかも作品にすると、そこでやっと昇華されるっていうか、成仏されるので、それの繰り返しで、なんとか生きてます。


桃源郷としての芸術


ジャーナル編集部:芸術家として発信して行きたいもの何ですか?
マコ・プリンシパル:あんまりそこは意識せずにやっているのですが、私のテーマは“キラキラ”とか“ハッピー”です。なにかと世知辛い世の中なので、辛いことがたくさんあるんですけど、その世の中でぶっ飛んだ夢の世界が桃源郷として生きるために必要だなと思っていて、悲しいこととか、嫌なこととかがもしあっても、作品の中ではきらめいていて、ハッピーな世界を表現しようと思っています。
ジャーナル編集部:世知辛い世の中というのは、ご自身の体験から来るものなのでしょうか?
マコ・プリンシパル:そうですね~。(笑)自分の体験でもあるし、世界を見ていても、そう思いますね。例えば、私が美味しいなって言ってカレーを食べている間にも、あらゆるところで殺人事件が起きたり、自然災害で亡くなってしまう方もいたり、とにかく世界各地でいろんなことが起こっていて。私はこんなに幸せなのに、必ず“苦しいな”と思っている人がいるのがすごい不思議なんです。でも、“それがこの世界なんだな”と思った時に、私たちには桃源郷が必要で、エスケープ(逃避)やトリップ(異次元への移動)ができるくらい強烈なハッピーで狂った世界ができたらいいなと思って、今の私のテーマが生まれたんです。
ジャーナル編集部:そこが、発信して行く動機になっているんですね。
マコ・プリンシパル:もともと、小さい時から遊びって言ったら絵を描くことで、お絵描きが本当に大好きな子供で、いつも頭の中で想像した世界を描いてました。それで高校生の時に美大に進学しようと思って、美大に入ったのですが、当時はなぜか芸術を仕事にできるとは思ってなかったんですね。でも、やっぱりこの活動を続けて行きたいと、たくさんの素敵なアーティスト(芸術家)さんに会ったりとか、様々な体験を通して、強く思うようになって、それから知らず知らずのうちに芸術家という道を歩んでいました。なので、気付いたら今という感じです。(笑)
ジャーナル編集部:僕の中の勝手なイメージですと、藝大は硬派なイメージがあるんですが。
マコ・プリンシパル:それは違うんですよ。藝大は決してお堅い感じではないですね。科によって、そういうところもあるかもしれませんが、私がいた油絵科はすごく自由でした。逆に自由過ぎて、何をやっても良くて。カリキュラムによっては“あなたの自己表現で作品を1年間に2回出しなさい”って言われた年もあったくらいで。それで進級できる学校だったので、芸術活動をする人にはすごく良いですけど、誰かからどういう風に芸術家としてやっていくかなどを一から学ぼうというんだったら厳しいかもしれないですね。なので、やりたいことが決まっている人にはすごく良い環境でした。
ジャーナル編集部:芸術家となると厳しい世界じゃないですか?どこかに就職した方が安定した生活が得られるとは思いませんでしたか?
マコ・プリンシパル:もちろん、思いました。でも、それもやっぱり覚悟して、気合いで乗り切ろうと思いました。
ジャーナル編集部:すごいですね。気合いでなんとかなっているんですね。(笑)
マコ・プリンシパル:そうですね。常にそうです。いつも気合いです。(笑)
愛を与えたい


ジャーナル編集部:では、続いてナマコラブさん。発信していきたいものからお聞かせください。
ナマコラブ:私は、この世界が愛情飢餓感で溢れていると思っていて、愛って平等に分けられていないと思うんですよ。世界の中ですごく偏って分けられているから、その愛が足りない人に対して、私の作品を通して愛をあげたい、愛を感じて欲しくて、やっています。私が私の作品に救われているから、もしかしたら私と同じような状況だったり、同じような心理状態の人が私の作品によって命が救われたりとか、たとえ、その瞬間だけでもいいので、心が救われたらいいなっていう思いがあります。だから、コンセプトは“私の美しきナマコの世界による、愛情飢餓にあえぐこの世界の救済と・・・・・・・・”
私今何しゃべっているか分からなくなっちゃった(笑)
とにかく救いたいです。具体的には、自殺者数を減らしたいです。

(ナマコラブ)
ジャーナル編集部:どうして、自殺者数などの社会問題に対し、アートの面から取り組んでいきたいと思ったのですか?
ナマコラブ:私自身がそれ(アート)でしか救われなかったので、だから自分にとっては、盲目的にそれしかないんですよ。私は、音楽とか、芸術とか、映画とかもそうですけど、そういうもので救われている人間なので、そういったものを自分も与えられるのであれば、与えたい、救いたいっていう気持ちがあります。
ジャーナル編集部:どういう時に芸術から救いを感じますか?
ナマコラブ:やっぱね、寄り添ってくれるんですよ。自分がもうホント、ダメだっていう時に、作品が、パズルのピースのように隙間を埋めてくれるんですよ、たとえ瞬間的だとしても。そういう時に感じます。
ジャーナル編集部:救われる立場から、救う立場の芸術家になったんですね。
ナマコラブ:なっちゃった。先ほども言いました通り、私は自分が芸術家という意識が無いんですね。だから、人が思う私が、私なんです。私自身、本当は名前も無いんですよ。なぜナマコラブという名前がついているかっていうと、自分が作ったナマコっていうキャラクターのことを愛しているから、ナマコが好きな存在としてナマコラブ。本当の名前も無くていいし、私はいないんですよね。
ジャーナル編集部:ナマコラブさんの世界観っていうのは、どんな感じですか?
ナマコラブ:愛しかないです。
ジャーナル編集部:それは、ナマコラブさんのご自身の体験から来るものですか?
ナマコラブ:そうですね。
ジャーナル編集部:どういう体験から来ているんですか?
ナマコラブ:言えないようなことです。(笑)
マコ・プリンシパル:あんなことやこんなこと。とても、とても、全部伏せ字になるような(笑)
ナマコラブ:全部ピーになっちゃんですけど、そういうことです。とてつもないことです。(笑)私自身、躁鬱が激しくて、でも、どん底の時も支えてくれる、死なないように、それが私にとっての芸術なんです。
ジャーナル編集部:特に、どういう芸術によって、救われてきたとかありますか?
ナマコラブ:音楽です。あとは、ホントに自分の作品に救われています。だから、変な言い方になれば、作品ナルシストみたいな感じになるのかな。本当に心の拠り所です。
世界進出!!

ジャーナル編集部:マコ・プリンシパルさんはアートを発信する上で、心掛けていることは何ですか?
マコ・プリンシパル:なんでもやってみようということですかね。もともと、好奇心が強いので、これちょっと危険かも、でも、やってみたい、やっちゃおうみたいな。ホントはすごい怖がりなんですけど、好奇心の方が強いから。“こんなことしませんか?”って頂いたお話は、なるべく全部チャレンジできる限り、やっていきたいです。そこには、ありがたいっていう気持ちと、チャレンジしたい気持ちの両方がありますね。それによって、また新しい道とかが改築されてきて、今の私という不思議な存在があるということもありますし。どんなことでもチャレンジ精神で臨んで、なるべく初心を忘れずにいたいです。
ジャーナル編集部:今後、挑戦して行きたいことはありますか?
マコ・プリンシパル:絶対、世界に行きたい!!“世界のナマコプリ”になりたいです。最近私たちがリリースした『やっぱりタイランド』(トップ写真)という曲があるんですけど、タイをテーマにした曲で。でも、私たち、実はタイに行ったことが無くて。私たちのタイに行きたい気持ちを作詞家のカワムラユキさんが歌詞にのせて空想の世界を表現してくれて、歌わせて頂いたんですけど。
ナマコラブ:もう脳内タイの歌だもんね。白昼夢で。
マコ・プリンシパル:そう。夢の中のタイの世界!!白昼夢だよね。それをYouTubeで発信したところ、会ったことのないタイの方からすごい反響を頂いて、すっごい嬉しかったんですよ。すごく“ありがたいな~”って思って、インターネット上だけでなくて、実際に足を運べるくらい精進していきたいなって、その時改めて思いました。
過去の経験から


ジャーナル編集部:ナマコラブさんは、アートを発信していく上で、工夫している点はありますか?
ナマコラブ:発信する上で、工夫していることは・・・一個もないです。(笑)
マコ・プリンシパル:ふふふ・・・(笑)

(マコ・プリンシパル)
ナマコラブ:ホントにやったらなったとか、やらずにいられないから、やっちゃっているも
のばっかりで。だから、工夫とかテクニックの面では私は0なんです。あるいはマイナスなんですけど、マコプリちゃんと全く同じで、好奇心がすごくあって、新しいことにチャレンジしたくて、頂いたお仕事もなるべく全部断りたくなくて、いつもやってみたいっていう気持ちが先立ちますね。
マコ・プリンシパル:嬉しいもんね。“ありがと~”っていう気持ちで。
ナマコラブ:そうそう。ホントに感謝しかないですね。だから、ナマコプリは次々と意味が分からない新しいことに挑戦できるから、すっごい楽しい!!
ジャーナル編集部:ナマコラブさんはひとりのアーティストとして、目標とかはありますか?
ナマコラブ:やっぱり、自殺者数を超減らしたい。
マコ・プリンシパル:寿命を全うさせてあげたいんだよね。
ナマコラブ:そうなんですよ。やっぱり、救いたいんですよ。できればより多くの人を救いたいと思っているから、そのために、マコプリちゃんが言うように世界だったりとか、より多くの人に見てもらえるようになっていきたいっていうのがあります。
ジャーナル編集部:自殺は、ナマコラブさんにとっては大きなキーワードですね。
ナマコラブ:生きていたら、傷つくじゃないですか。死ぬに至る前の事前の段階で、傷ついたのを回復し、ごまかして生きていけるように、私の作品を使ってなってくれたらいいなって思います。
ジャーナル編集部:どうして、そこまで自殺者を救いたいって思えるのですか?
ナマコラブ:それは、私が自殺者だからです。(笑)その時は、死のうと思って、死ねなかったのですが、かつて自殺未遂をしたことがあって。ただただ、すごく辛かったんです。だから、みんなにはそういう思いをして欲しくないんですよ。
ジャーナル編集部:今は、その時死ななくて良かったって思いますか?
ナマコラブ:そうですね。みんなに会えたし。ナマコプリもできたし。死んでたら、これも出来なかったし。でもやっぱり今でも、芸術が無いと死んじゃいます。
ジャーナル編集部:極端ですね。
マコ・プリンシパル:延命装置だよね。(笑)
ナマコラブ:そうですね、延命装置です。(笑)
マコ・プリンシパル:希望でもあるよね。やっぱり、人間は希望が無いと生きて行けないと思いますね。なんのために生きているんだろうって思っちゃうじゃないですか。不思議なことに、どうせ生まれて、死んで、生まれて死んでを繰り返していて、我々は何なんだろうなって思うことが私にもあって、そんな時にキラキラした希望があると、そういう悩みとかがいつの間にかどっか行って、“楽しいな~”、“良かったな~”、“今日も幸せ~”とか言って、私が思うアートってそういう存在なのかもしれませんね。生きていくには、そういう存在がやっぱり必要だから、あったらいいなですね。『あったらいいなJAPAN』(ナマコプリの曲)ですね。
ナマコラブ:私、マコプリの愛に救われてる。
マコ・プリンシパル:ありがと~
ジャーナル編集部:なかなか希望が持ちにくい世の中ではあると思うんですが、僕たちとかだと進路とか考える時にやっぱり現実的になってしまうんですよね。
マコ・プリンシパル:やっぱり気合いだよね。
ナマコラブ:ホントにやりたいのなら、やるしかないから。例えば、就職しなくちゃいけなくなったとしても、それはそれで、二足の草鞋とか、三足の草鞋を履いて、やりたいことを両立させようとか、なんとしてもやるという気持ちがないから、やらなくなるだけで。やっぱり、気合い・・・
マコ・プリンシパル:気合いと強い意志。高い志。きらめく心・・・。(笑)
ナマコラブ:ホント、それ。強い気持ち、強い愛ですよ。それが無いと、ムリ!!
マコ・プリンシパル:すべてが気合いに集約されているね。(笑)やっぱり強い思いが大事だよね。もちろん、生活だって大変だよね。
ナマコラブ:うん、大変だよ。

取材協力:OIRAN MUSIC、代々木カリー
写真提供:ナマコプリ

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