輝き人! NO.10 FRAN

今回、ご紹介するのはFRANです。
大学に入ってヒップホップなどのダンスを始めた方も多いことでしょう。
彼女たちにとっても大学時代というのが大きなターニングポイントになっています。
ダンスに没頭し、青春時代を踊って、駆け抜けた日々から感じたことだったり、今の自分たちという等身大の姿にスポットをあて、みっちりお話を伺いました。
学生ダンサー必見!!そうでない方も十分に楽しめる内容にしました。ぜひ、FRANの魅力に触れ、何かを感じて下さい!

左から、 マホ・ myu ・ みおり

―PROFILE-
FRAN
ダンスユニット。みおり、myu、マホより構成され、学生時代にはBIG BANG!!を始めとする数々の大会で優勝。今年からはみおり、マホともに社会人となり、社会人ダンサーとして歩み始める。

interview

―まず初めに、グループのご紹介をお聞かせ下さい。代表してmyuさん、お願いします。
myu:大学時代に組んだダンスチームで、WAACKINGというジャンルのダンスをやっています。みおりとマホは今年から社会人となったのですが、今でも変わらずFRANとし活動を続けています。なので、元々は学生ダンサーとしてやっていたのですが、今は大人のダンサーとして、大学生というくくりの無い世界でやっています。WAACKINGというダンスなんですが、自分たちのダンススタイルをさらに追求して、進化していきたいと思っています。
―皆さんがダンスを始めたきっかけは何だったんですか?
みおり:私は元々、ダンスに興味が無かったですが、小学校の時に仲の良い子にダンスレッスンに一緒に行かないと誘われて、ただその子と一緒にいるのが好きだったので、付いていきました。それから、ダンスにハマりました。
myu:小学生の頃に、テレビに映っていた踊ってる人たちをみて『わたしもこれやりたい!』と母に言ったらしいです。そんなこと言った記憶は全然なくて何を思っていったのか自分でも不思議です。(笑)その一言がきっかけで母がキッズダンス教室に通わせてくれました。
マホ:私の通っていた小学校の体育館でダンススクールが行われていて、そこに入っていた友達に誘われたのがきっかけです。母が言うには、すごく興奮して帰って来たらしいです。習い事を初めてやりたいと言ったらしくて、そのまま通うことになりました。
―皆さん、小学生の頃から始められたのですね。それから中学・高校・大学と続けてきて、
学業との両立という面ではどうでしたか?
みおり:大学2年生の時に学業そっちのけでダンスばっかりやっていて、単位を落としました。ダンスばっかりやっていたのに、全然上手くならなくて。そこで思ったんですが、やるべきことをちゃんとやらないと、好きなことも成長しないなって。それからは、学業というやるべきことをやった上で、ダンスもやっていこうと決めました。そしたら、両方上手くいって、なんとか無事に卒業できました。なんとか上手く時間を作って、やらなきゃいけないことをやった後だと、気持ちが良い状態でダンスが出来ました。
マホ:大学の時は、勉強自体はそれほど大変じゃなかったです。でも、ダンスをするなら、やるべきこともやらないと。中学校・高校とダンスをしていて、先生から“ダンスをしているから、勉強が出来ないんだ”とか、“ダンスをやっているから、チャラついている”と言われるのが嫌でした。自分自身にとっても、やることをやって、ダンスをした方が良いって分かっていて。そしたら、両方とも上手くいったんです。後輩にも言っているのですが、やるべきことをやって、周りに文句を言わせないぐらいじゃないと、好きなことをやる資格は無いです。

(みおり)

―今振り返って、大学時代とはどんなものでしたか?
みおり:ダンスばっかりでしたね。もちろん、学業もあったのですが・・・。バイトもしていたのですが、ダンスのためにやっているという感じでした。周りの人たちはバイトして、お金を貯めて、旅行とか行ってましたけど、私はそういうことはしていなかったです。
マホ:FRANで青春を駆け抜けていました。ダンス漬けの日々を送りつつ、学校終わりや、練習終わりに3人でごはんに行ったりしていました。時にはいい感じのレストランにも・・・。春休みや夏休みは練習・イベント・遊びをFRANでやっていました。
因みに、遊ぶ時は2か月前から予定を決めていました。そうしないと、予定が埋まっちゃうんです。(笑)3人でいれたから、周りの学生が羨ましいとは思わなかったです。
―では、大学の時にやっておけば良かったと思うことはありますか?
みおり:怒涛の4年間という感じで、全てやり切っちゃいましたね。強いて言うなら、旅行にもっと行っとけば良かったぐらいです。
マホ:私たち3人は皆、好きなことをやるために頑張れるタイプでした。それぞれがやりたいことはやっていて、学業とダンスの両立に加え、結果も手に入れることができたので、すべてをやりきって卒業できました。一日も無駄にしなかったと言える自信があります。学生の時は人生の夏休みであって、時間があることが何よりも学生であることの良い点であると思うので、自分の出来る範囲でやれることはやっていった方がいいと思います。
―今年の春に大学を卒業してみおりさん、マホさんは就職という道を選ばれましたよね。
どうして、そのような選択をしたのですか?
みおり:ダンスを続けていくのは当たり前ではあったのですが、同時に社会人として社会に出て学びたいという思いもありました。それに、今勤めている会社でやりたいことも。なので、単純に“全部やればいいじゃん”って思いました。社会人になってもダンスと仕事を両立させて、社会人になってもこんなに頑張れるんだぞっていうところを見せつけたくもあります。むしろ、“社会人ダンサーなめんなよ”ぐらいのことはしてやろうと思っています。(笑)仕事もあるので、学生時代に比べて、ダンスをする時間は減りましたが、だからこそ、ダンスをする時間の貴重さや自分のダンス愛がすごくよく分かりました。実際、今こうして、ダンスをやってきて良かったと実感しています。そして、より上手く時間を使ってダンスをすることも考えられるようになりました。
―ダンサーとなって、世界的に有名になりたいとは思わなかったのですか?
マホ:ダンサーにはメディアに出てくる人とアンダーグラウンドでやっている人がいます。その2つに優劣をつけることはできません。おそらく世界的に活躍している方は、メディアを通して、“いろんな方に見てほしい”とか“見ている方を楽しめたい”という目標を持っているのですが、アンダーグラウンドでやっている人たちは単純に“スキルを高めたい”という目標を掲げています。なので、そもそもの目標が違うんです。私たちは後者であって、日々自分たちの理想像を追いかけている感じです。それに、ダンスのみで食べていくのは厳しいです。私の場合は地元で一番大きなスクールで働いていることもあって、お金もちゃんと貰えるのですが、東京などでやっている方は何かしらの副業をしながら、ダンサーとして活動していることが多いです。みおりのように、他でお金を稼いで、ダンスでそのお金を使う人が多いですね。だからこそ、社会人ダンサーはカッコいいって言われるんですけどね。好きなことを仕事にすることはリスキーで、それに好きな事だけをやっていけばいいわけでもなくて。だから、私はインストラクターという道を選びました。ダンサーはダンスだけでやって行けることほぼないですね。

(myu)

―FRANが結成されてから今日に至るまで解散の危機などはありましたか?
myu:それが、一切無かったんです。女の子のグループだと、ケンカが原因となって解散になってしまうことをよく耳にするのですが、ケンカも全然無くて。私たちでも悩んじゃうぐらい無いです。お互い人としても、ダンサーとしても好きだし、尊敬できるので、ケンカとかはしないです。
―よくアーティストの方が方向性の違いで解散をする至るケースが多いじゃないですか?
マホ:そうですよね。でも、私たちに関しては、そもそも3人でやろうと言った時も、その子のダンスが好きで、その子と一緒にダンスがしたいと思って組んだので、方向性が元々一致していたんです。それに、ダンスをする上での好みも一緒でした。組んだ後から、人柄も良いことが分かったんです。よくmyuが後輩に言っているのですが、“この子のダンスが好きとか、好みが一緒という子とチームを組みなさい”って
―ダンスをやっていて得たものは何ですか?
みおり:ダンスは自己表現のツールの一つであって、それにはもの凄く頭を使うんです。ある表現をするのに、“自分たちには何が足りない”とか、“そのためにはどんな練習が必要か”、“自分たちのどういう部分を生かせるのか”といったことを考えるんです。なので、頭を使ってダンスをやってきて、考えて自己表現する力は相当身に付きました。大会での優勝など結果にも恵まれたのですが、その前後で得たものの方が多い気がします。緊張もコントロールできるようになりましたし、人前で話す力も養われました。それに、チームを組めたことや仲間・ライバルに出会えたこともダンスを通して得たものです。
myu:仲間。いまのわたしのいる環境は全部ダンスが繋げてくれました。
マホ:自分のことを客観的に見る機会が増えました。自分の良い点や悪い点をいつも自然と考えることができます。みおりと同じく、自己表現の方法もダンスを通して得ました。ダンスは人前で表現することもあって、そういった機会を多く経験することで、緊張をコントロールできるようになりました。人前で話すことも普通の人よりかはできるんじゃないかと思っています。あとは、同じ志を持ち、好きなことが一緒である仲間と出会えたことが貴重な経験でした。プライベートでも認め合えるか否かが大切であって、私たちはそれもできて、最高の仲間に出会えた気がします。

(マホ)

―ダンスをやっていて、一番嬉しかった瞬間はいつですか?
みおり:私たちが初めて大会で優勝したということもあって、BIG BANG!!で優勝した時です。あとは、いつも応援してくれる人の存在を実感できた時です。特に、私たちが良い結果を残せたときに一緒になって喜んでくれる時にそういった人々の存在を感じています。そして、ダンスは自己表現の手段でもあるので、私たちの意図しているものが伝わったことや私たちのダンス自体を好きであることを言われると嬉しいです。
マホ:こんなに応援してくれていたんだって感じる瞬間です。応援してくれる人の存在を再確認できる時ですね。そして、「あなたのダンスが好き!」って言われると、自分自身を認めてくれた気がして、結果とかよりも嬉しいです。自分たちの伝えたいものが伝わった気がします。
―その一方で、ダンスをやっていて辛かったことは何ですか?
みおり:悔しい思いをしたことは多いです。自分のダンスが伸び悩んでいた時や、コンテストで勝てなかった時は、周りが活躍している反面、余計悔しかったです。色々考えて、自己表現しているので、それがダメだと悔しいですね。
myu:いっぱいあります(笑)高校卒業してすぐに受けたオーディションの最終選考に落ちたときは悔しくて辛くて恥ずかしくて、長い髪をばっさり切ったのは今でもいい思い出です。(笑) それ以来ずっと髪は短いです!
マホ:ダンスは自分たちの良し悪しを考えて、自己表現をするためのツールなので、それがダメだと、自分たちが否定された様な気になるんです。自己表現という意味では“芸術”でもあって、自分たちと向き合って、研究して、それを出したのに、その結果が着いてこないと、ひとりの人間として自信を失くします。こんな感じで、ダンスは精神面で辛いことが多い気がします。

―ちなみに、ダンス以外に挑戦したいことってありますか?
みおり:ダンスはもちろん、やり続けて行きたいです。私は今年就職したばかりで、この前やっと研修が終わったぐらいで、まだまだ分からないことだらけです。出来ないことも多くて、毎日が挑戦という感じです。なので、まずは仕事に慣れたいです。仕事での目標もあるので、そこに向かいつつ、目の前のことを着実にやっていきます。
myu:いっぱいあります!秘密です!
マホ:私は仕事がダンスのインストラクターであることもあって、学生時代よりはダンスに向き合う時間があって、実際、四六時中ダンスのことを考えています。私が小学1年生の時に教えてもらっていて、今でもお世話になっている先生がいるのですが、その先生がその子の個性を伸ばすのがすごく上手で、私もそうなりたいと強く思っています。今教えている子たちが将来ダンサーになるかは別として、ダンスをやっている時は充実するように、一人一人と向き合って、その子なりに楽しめるように手助けして行きたいです。その子たちが大きくなった時に、あそこでやっていて良かったと思えるようになれたら嬉しいです。そのために、子供の心理などについての勉強などもしています。
―今後の目標や人生のプランを教えてください。
みおり:社会人になっても、踊り続けていくという初心を忘れずに、ストリートダンスにこだわらず、一生ダンスをやっていきたいです。
myu: FRANでDELIGHT通過します!
マホ:グループとしては、学生の時にはBIG BANG!!という大会での優勝という目標があったのですが、社会人としてはDANCE DELIGHTでの予選通過という目標を掲げています。日本で一番大きいと言われている大会で、予選でも通過できないチームが多く、非常に狭き門なんですが、まずはそこでのクリアです。これまで学生ダンサーと言われてきたからこそ、大人枠での通過をし、社会人ダンサーとしてのFRANの存在をアピールしたいです。それができたら、次は入賞・・・かな。それもできたら・・・・“ゆうしょう”。(笑)何年かかるんでしょうね。(笑)遠い話です。でも、予選は早く突破したいです。個人的には、体が動かなくなるまでダンスができたらいいなって思っています。ストリートダンスができなくなったら、社交ダンスや日本舞踊などやって、死ぬ直前まで踊っていたいです。
―ダンスを長くやられてきて、改めてダンスの魅力とは何だと思いますか?
myu:感情表現を作り出せるところです。普段人前で様々な感情を見せつけることってめったにないじゃないですか。でも、ダンスだと体一つで様々なことを表現できるんです。レパートリーも豊富で、“ちょっと強めな自分”、“ダンスが楽しくてパッション全開”っていうものから“大人な感じでしっとりしている”ものまで。その時々で色んな自分を演出できるんです。
マホ:これは先輩に言われたことなんですが、最悪、服を着ていればできます。体一つでなんでも表現できます。感情表現だったり、自分たちを作り出したり。ダンスをしていない人は、大勢の人の前で楽しいとか悲しいとかを言ったりしませんよね。可愛くなったり、セクシーになったりと舞台によって色んな自分を作り出せたり、なりたいものに変身出来たりして、またそれを人に見てもらって、声援だったり、レスポンスが返ってきたりして・・・。それが嬉しいからやっています。

―皆さんにとって、ダンスをやり続けていく理由とは何ですか?
みおり:好きだから、とことん頑張りたいって思います。自分のダンスにもっと磨きをかけていきたいです。チームとしてもまだ満足してなくて、とてもやめられる状況にありません。まずは、チームでの目標があるので、それを絶対に達成したいです。あとは、この2人とずっとダンスをやっていきたいからです。それに、大学時代もダンスをやり続けて、継続は大事だなって思いました。それが出来たから、成長もありましたし、結果も付いてきました。それに、自分たちのダンスというものがはっきりと見えてきました。終わりが無いものだからこそ、続けられるっていうこともありますね。
myu:かっこよくてドキドキするからです。
マホ:上には上がいるんです。私ももっと格好良く、素敵なダンサーになりたいと思いますが、まだまだ全然足りないです。結果もまだ不十分で、ダンサーとしてのなりたい像にもまだ行きついていません。自分のダンスを見て、満足したことがないので、満足するまではやめられないです。満足したら、やめるかもしれないですね。でも、満足しないまま死んでいくのかな・・・。それに、ダンス以外のスポーツですと、得点やタイムなどの客観的な数値というものが大きくなって、それには必ず身体能力の限界があるんです。誰が一番ということも決まりますよね。でも、ダンスのすごいところって、誰が一番って客観的に決められなくて、限界もなく、終わりが無い競技なんです。ダンスの世界で大御所と言われる方も、そういう理由で続けているのかなって思います。
―ダンスを通じて、発信したいものを教えてください。
みおり:ダンスを踊る度にそれぞれのテーマがあって、それらを伝えられるように意識しています。ある世界観を推していきたいときは、それを全身で伝えていきます。
マホ:同じく、その時々によります。私たちのダンスのジャンルは感情表現をするという感じではありませんが、例えば、私たちがダンスを好きであるということを伝えたいときには、表情も踊りも全てそのことを表現していきます。なので、見ている方に、その時々で私たちがやりたいと思ったことが伝わって欲しいです。私たちも自分たちの好きなことが伝わるように必死で踊ります。
―最後に記事を見ている学生へメッセージをお願いします。
みおり:好きなものや熱くなれるものがあるといいですね。目標があって、後悔しないようにすることが、後々やっていて良かったと思えることに繋がると思います。私自身も、結果がついてこなかったことはありましたが、後悔したことは無いです。
マホ:好きなものがあるにしろ、無いにしろ、後で後悔しないように目標を作ることが大事です。小さくても、大きくても、その両方でも良いので目標はあった方がいいです。そして、それに向かって頑張ってください。そこで頑張った経験が次につながっていくんです。誰でもその人なりの目標を作れると思うので、その後は後悔の無いように自分で頑張るだけ。私たちはそれが出来たから、後悔はしていないです。私の周りでは“あの時、こうしておけば良かった”と言って後悔している人が多かったのですが、その時間が無駄であって、私もそう思うこともありますが、そうなったなりに得たものがあるとすればいいと思います。

取材:梶裕太 編集 高橋祐貴

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