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CQ[創造性知数]はIQ,EQの先をいく

CQ [Creativity Quotient]という創造性を測定する尺度があります。
「ん、待て待て。創造性って測定できるの??」
と感じるところではあるけれど、CQを構成する要素の定義と、その測定方法はそれぞれ論文もあります。
ありますが、しかし、
「それってどうなの?数値化できたとして、果たしてそれって意味あるの?」
と、少しばかり疑問でもあります。それに定義があると言っても、論文によってまちまちで、統一的なものがあるわけでもありません。

このCQの説明に入る前に、まずはよく知られるIQから改めて整理していくことにします。みなさんよく後存知のIQは、論理数学的思考力と言語知性を総合したものです。100を平均値として数値的に能力を表わされます。

それに対してEQ[Emotional Quotient]は心の知能指数と呼ばれますが、内容としては自己認識能力や対人関係能力の総称と考えたほうがわかりやすいでしょう。日本では『EQが高い』=『人格者』のようなイメージがありますが、『自他の感情を正しく理解し、それを利用することができる能力』としたほうが正しくその実態を捉えます。感情を理解したとして、それを人格者として用いることができるかはまた別の問題です。

そもそもは
『人間の知能を表すのに、IQという1つの尺度だけでは不十分だ!』
という、ある種のカウンターパートとして生まれたのがEQ。
『知能だけではこの世はうまく渡れない、うまく渡るためには人間関係をうまくこなすEQが必要だ!』
というものです。

対してCQは人間性(性格)、創造する能力(思考過程)、創造したものの価値(思考結果)の3つの要素で構成され、『ある情報を起点に多くのアイディアへと発想を広げることができる能力』と言えます。そして
『知能だけではこの世はうまく渡れない、うまく渡るためには人間関係をうまくこなすEQが必要だ!しかしこれからの時代においては単に人間関係が得意なだけでは足りない、新しいものを作り出す能力、すなわちCQが必要だ!』
というのがCQが生まれた背景です。

最初にこの概念を提唱したのはイギリス人心理学者のDr.ハリー・アドラー。2002年にイギリスで発売された原題[CQ : Boost Your Creative Intelligence]は大変注目されたそうです。翻訳されたものを私も買いましたが、在庫がほとんどないようなのでご興味ある方は手に入れてみては。


まとめると、こう!
IQ:限られた情報を駆使して論理的かつ素早く1つの正しい答えに辿り着く能力
EQ:自他の感情を正しく理解、活用し、良好な人間関係を築く能力
CQ:限られた情報から無数のアイディアを生み出す能力

そしてこれらの能力の違いでいえば、
IQは数値化可能かつ、数値化する意味のある能力なのに対して、
EQ, CQは数値化は難しく、かつ数値化する意味もあまりない能力
です。

IQがなぜ数値化できるかというと、IQを測定するための問題に正解/不正解があるからです。例えばある図形が並べられていて、その法則を見抜いて空欄に当てはまる図形を選択肢から選ぶとか。正誤の判断ができるので、点数をつけることができます。

そして正解があるがゆえの特徴として、この能力はAIが最も得意とするものでもあります。IQでいえば平均が100、超天才、例えばアインシュタインのような人物でもせいぜい200くらい。
ところがあるAIにIQテストを受けさせた結果、IQ3,000をマークしたそうです。
これって例えるなら、私とウサイン・ボルトと新幹線が
『位置について、ヨーイドン!』
で競争するようなものです。

私が都内でゼイゼイしているときに、きっとボルトはとっくに神奈川県に突入していて、でもその頃には新幹線は新大阪にいる、みたいな勝負です。
新幹線からしたら私もボルトもたいして変わりません。
『ボルトって人間は、人間にしては早いんじゃない?知らんけど。』
みたいな感じです。ほぼ誤差。

一方でEQやCQは正誤のある問題で測定することはできません。
この記事ではEQについては詳細を省きますが、感情の理解活用を正誤で判断するのは無理ですし、無駄だとも思います。人間の感情なんて、「悲しい!」「嬉しい!」みたいな一色で表せるものでもなく、複雑に絡まりすぎていて本人すら正確に捉えることは難しいことも多いでしょう。

CQは人間性(性格)、創造する能力(思考過程)、創造したものの価値(思考結果)の3つの要素で構成されると書きました。

例えば人間性でいえば、創造性の高い人に関する共通点のようなものは確かに存在するそうです。これは歴史に残る発明をした人の記録や、当時の文献、周りの人の評価などから決められたもので、「権力に対して反抗的である」や「正解のわからない不明確な状態を受け入れる能力がある」などがそうです。

しかし例えばアンケート用紙で
Q.あなたは自分が権力に対して反抗的であると思いますか?
A.Yes / No

みたいなことをしてもあまり意味がないでしょう。
特徴を知識として持っていればどうとでも答えられますし、自己評価と実際の性格がずれていることもあります。


では最後の創造したものの価値はどうでしょう。これも難しいです。
たくさん売れてればいいアイディアか?と言われれば、一概に「そうだ」とも言えず。
では質で考えようにも、例えばゴッホの絵画が評価されたのは彼の死後でした。でもそれは作品の質が変わったわけではなく、社会からの評価が変わっただけです。


CQを正しく評価して数値化することは難しいし、その意味もないでしょう。
しかし重要なのは、CQは高めることができるということです

それは『新しいことを考え出す能力』は『才能』が求められる部分もありますが、『技術』として学ぶことができるものでもあるからです。
身近なもので言えば例えば、マインドマップのような発想フレームワークは拡散思考をするための手助けになります。

フレームワークのようなツールで武装することもできますし、そういった武器を使いこなすことで基礎能力を磨くこともできるでしょう。マインドマップを普段から使っているうちに、使わなくてもアイディアを広げていく能力が身につくような感じです。

つまりポイントはCQを構成する2つ目のポイント『創造する能力(思考過程)』をいかに磨くかです。この思考過程の持つ特徴として、もう1つ、自己観察することができることがあります。

自分がそもそも何故そのことを考え始めて、どのように考えを進めていって、どんな結論に至ったかは、後から振り返って観察することができます。


この自己観察にはさらに3つの要素があると思っています。
それが
・思考形態
・集中力の方向
・思考のメタ認知

です。


長くなってきたので今回はこのあたりで。
どうやってこの思考過程を磨くかについてはまた次回書いていきます。

『CQ[創造性知数]向上の鍵は、『思考過程』のスキルアップにある』へ続きます。


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