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デザイナーがTech Open Air 2019 に行ってみたら知識だけでなく自分の世界も広がった

こんにちは。ゆるです。フェンリルでUIデザイナーをしています。
7月のはじめ、ベルリンで行われている欧州最大級のテックイベント Tech Open Air 略して TOA に行ってきました。

TOAとはなんぞや?みなさん知ってます?私は知りませんでした。

TOAについてなんの知識も持っておらず、海外にも数回しか行ったことのない私。たまたま海外のカンファレンスに行ける機会を会社から頂き転がる勢いで行ってきました。女性一人で海外なんてよもや死ぬかもしれぬ後生ですからという恐怖すらあった次第なのですが人間やればできる。

きっかけはヨーロッパあたりのイベントをネットで探していた時に記事を見つけ、ベルリンで開催されるんだ〜欧州のカンファレンスってあまり馴染みがないな〜ドイツといえばじゃがいも、ベルリン、壁くらいの知識しかないな〜とぼんやり思っていたところ、なんか気になる。調べるうちにふむふむと、何故かワクワクしてきてしまい、私の第六感が、面白そうだからとりあえず行ってこい!と提言してきたため、開催3週間前に急遽ホテル・飛行機・諸々個人手配して初のヨーロッパへと飛び立ったのでありました。
自分の行動力がこんなに火を吹くのは5年に1回くらいです。相談に乗ってくださった社内の方々ありがとうございます。

結果からお伝えしますともちろん死んだりすることなどなく、危ない目にも全くあわず、大変充実した旅となりました。
詳細を語り始めると長くなってしまうため、今回の記事ではイベントで自分に課した2つのミッションについて紹介します。

1つは「TOAに参加し世界の市場や空気を体感すること」と、

もう1つは「現地のデザイナーに会って話を聞くこと」

TOA自体の内容については詳しい方が色々と紹介されているかと思うので触りだけお伝えし、この記事では現地デザイナーに聞いた話をメインに紹介します。

TOAに参加し世界の市場や空気を体感する

さて、TOAは毎年夏にベルリンで開催されていて、今年は7/2~7/5の4日間開催でした。時間は朝8:30から夜中2時(!)まで。
夏の欧州は日が長く、夜22時くらいまで明るいため、この時期は遅い時間でも外に出てお酒を飲んだりディナーを楽しんだりする人が多いです。
海外で夜中になんて絶対出歩かないぞ!と意気込んでいた私も、最終日には21時までベルリンを徘徊するくらい過ごしやすい町でした。
現地会場には世界各地からスピーカーが集まり、スタートアップやアート、サービスについて会場内の各ステージで約120もの講演が同時に行われます。
どの講演も10~30分と短めで出入りも自由。気になったところからサクサク回れて、カジュアルな感じです。
もともと Open Tech として屋外で開催されていたイベントのため会場の周りは緑豊か。大きな川も流れていて、よりフリーで開かれた場、いうなればカフェでお茶するついでに講演でも聞く?みたいな。なんともナチュラルに過ごせるイベントでした。

カンファレンス会場は Funkhaus という東ドイツ時代の国営ラジオ放送局跡地の建物で行われました。会場最寄り駅まではTram(路面電車)で向かいます。歴史を感じる外観。

(img:Funkhausの建物と青空、会場へ向かう人々)


Apple PayでTicketをかざして受付すると、手首にリストバンドを付けてくれます。

(img:左手首にリストバンドをつけてもらった写真)

今年のテーマは日本だとまだ認識が薄いブロックチェーン技術を当たり前のように使った、モビリティやフードテックのスタートアップ。
モビリティ部門は、空飛ぶタクシーがすでに実証実験されていて、近い将来の実用化に向け数社取り組んでいました。
フードテックでは来たる食糧不足に備えた人工肉や野菜エコシステムのスタートアップなど、多くの社会課題をターゲットにしていて欧州の環境意識を感じ取れました。

講演だけでなく会場内には協賛の出展ブースもたくさんでていて、サービス会社の人と直接話す機会がふんだんにあります。
中でもブランディング支援サービスのZeBRANDは親会社がモリサワで、使用しているロゴをアップすると色抽出でおすすめのブランドカラーをレコンメンドしてくれるサービス。
アーリーステージの導入に使用し、いずれ卒業するというシナリオが面白かったです。

会場にはフードも出展していて、石窯で焼いたピザがとても美味でした!

(img:テーブルの上の2枚のピザ。Mサイズかな)

ちなみに会場内は現金が使えませんでした。キャッシュレスオンリー。ドイツ国内のキャッシュレス決済比率は5割弱とそこまで高くないんですが、こういうイベントだとまた別みたいですね。

ベルリン在住の日本人デザイナーに会ってきました!

そしてさっそく本題。TOA参加期間中に、現地のデザイナーにお会いしてきました。
日本にいると、なかなか海外で仕事をしている方と接することは少ないため、これを機に気になっていることやドイツのことを色々と教えていただきました!

(img:テーブルに座ってプログラムを開いている女性二人)

TOA会場でお会いしたShokoさんと右奥の方はShokoさんお友達のMikaさん。
ShokoさんはSpicii Chocolateを立ち上げ、デザインコンサルティングからサービス・UX・UIデザインまで手掛けるほか、料理研究家としても幅広く活躍されておられます。noteではベルリンの情報を随時発信されていて勉強になります!

Mikaさんは韓国の方で欧州のZOZOTOWNと言われるファッションECサービス、ZalandoのUX・UIデザイナーです。

■ベルリンで流行っているサービスはなんですか?
Shokoさん:SNSならFacebook Messenger か Whatsapp Messenger。LINEはほぼ日本だけ。こっちだと日本人同士しか使わないかな。
Mikaさん:流行ってるのはN26だね。ドイツというより欧州で人気。今日のイベントにCEOが来て講演するよ。あとはZalandoとか。
Shokoさん:最近、ベルリンでEスクーターのシェアリングサービスが解禁になったから、LimeとかVoiとかかな。

(Limeはつい先月に日本参入の記事もありました。モビリティの波がじわじわきてますね。)

■ベルリンに住んでみてどうですか?
Shokoさん:全然住みやすいですよ。みんな人のこと気にしないし、アートやスタートアップが集まるインターナショナルな都市。その中でもTOAはベルリンの中では大きなイベントですね。イベント類は他にもあるけど私はTOAが好きかな。
日本だと話題にしにくいテーマも、こっちだとカジュアルに議論できていい。
ベルリンを回るなら1週間じゃ足りない。10日以上はいたほうがいいよ!

■ドイツのご飯は美味しい?
Shokoさん:ちゃんと選べばちゃんとおいしい。高いから美味しいってわけじゃなかったりする。笑

マルクト(ドイツでいう朝市のようなマーケット)にいくと美味しいものが沢山あるよ!

一緒にイベントを回っていたところ、偶然にもShokoさんが所属されているWhateverのみなさんに現地でお会いしました!

(img:屋外のテーブルに座るWhateverのみなさんと内間ローザさん)


左から、富永さん衣袋さん、Shokoさんと、Majo Medicineのクリエイティブディレクターの内間ローザさん。ドイツの国民性やデザイン市場についてざっくばらんにお話しする機会をいただきとても楽しかったです。

貴重なお時間ありがとうございました!


もう一人、ベルリン市内で去年からドイツで暮らしている、ゲームUIデザイナーの今川やっきーさんにお会いしました。

(img:ドラッグストアの前に立つ私とやっきーさん)

やっきーさんとは宿泊してるホテルすぐ近くのカフェでお会いしました。
昨年9月からベルリンに移住。ご家族と暮らしていて、欧州の会社からフリーランスとして業務を受けお仕事されています。主にゲームのUIデザインを担当されている他、日経DUALでエッセイ漫画 の連載でも活躍されています!

■日本のデザイナースキルって通じますか?
日本人のスキル的にはこっちでも十分やっていけると思います。でもかなり英語を学習してる夫でも、みんながいっぺんに喋る会話は聞き取りが難しかったりする。あとは言語だけって場合が多い印象。
私は翻訳ツールを使ってなんとかやってます。
ベルリンは移民が多いのでお店の店員さんとかは母国語と英語とドイツ語、大体3ヶ国語普通な感じで話しててすごいですね。
フリーランスするならドイツはおすすめですよ。ドイツは他の国に比べると、大量の書類が必要ですがフリーランスでもビザがとりやすいです。

■仕事って具体的にどうやってるんですか?
基本はリモートワークだけど、日本でリモートワークOKなゲーム会社がちょー少ない!ほんとに少ない。
だからこっちで仕事を探すほうが現実的かも。でも言語の壁が...ジレンマ(笑)

■ドイツで流行ってるアプリやサービスってありますか?
N26アプリはすごいですね(ココでも出てきた!)
今欧州で最も注目されてて、デザインが綺麗で明快。サービスが全てwebで完結する。使ったら即座にプッシュで届くから不正利用もすぐわかる。
N26のアカウントを持っている人同士なら、メールアドレスさえわかれば送金できます。
登録フローが端的でわかりやすいから是非見てほしいです。
カスタマーも電話じゃなくてチャットで、ドイツ語か英語か言語を選べるんですよ。
日本だとカスタマーの電話ってまず最初に自動音声で「該当番号を選択して…」って言われる。あれ海外の人だとわからないですよね。
スーパーのレジから自分のお金を引き出せるのもすごい。キャッシングじゃないですよ。
あ、あとカードデザインがかっこいい!

ほかはchatterbugとかかな。

ライブレッスンで言語学習できて、ビジュアルがキャッチーで人気。
Duolingoもあるけどあれはテキストベースだし、こっちだと週1〜毎日、好きな単位でライブチャットできるコースが選べる。やっぱ人と喋れるっていいですね。

■ベルリンでの暮らしはどうですか?
ベルリンだと保育園から大学まで費用が無料。育児手当は1人につき月2.5万円貰えて、子供がいると手厚いですね。
外食は高かったりしますが、食品や日用品が安いので生活しやすいです!人気のスキンケアブランドもこっちだとかなり安く買えます。
ドイツは合理的なデザインが多くて、スーパーにいくとゴミ袋もラップみたいに巻いてあって、使う分だけ切り取れてスマート。こういうところいいなーって思います。

まとめ

今回お会いしたお二人ともとても気さくにお話していただき、お話するほどベルリンの魅力が伝わってきて大変楽しかったです。またその親しみやすいお人柄から一緒にお仕事をしたら楽しいだろうなという印象を受けました。突然のアポを快く受けていただき、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!今後のご活躍も日本から応援しております。

アートとITの街ベルリンを訪問してみて、自分の中でも新たな発見や気付きが沢山あったのと同時に、よく知らなかったベルリンという街をより身近に感じられました。貴重な機会を頂けて感謝です。また機会があればぜひベルリンに行きたいです!


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