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4p止めについて

※今回の記事は全文無料です。

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今日は以前私が放送対局に出たときのこの4p止めについて、どのような思考で止めたのか書いていこうと思う。

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まず、藤原からこののポンが入った瞬間、第一感は(この仕掛け満貫っぽいな)だった。
というのも、私を除く3人は放送対局が初めてで対局前も緊張していた。
その緊張しているプレイヤーが1回戦目東1局のこの早い巡目に役牌をノータイムでイチ鳴き。
加えて、ポンしたこの藤原健志は非常にバランスに優れたいい意味でオーソドックスなプレイヤーで、基本的に慌てて仕掛けるようなタイプではない。
そういった盤外の情報や今までの対戦傾向ではあるが、そこから考えて相当満貫っぽいなと感じた。

そしてその満貫っぽいと思ってる藤原がドラの8mをツモ切り。

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自分で切ってる8mの複数枚使いはちょっとレアなので、これで藤原の手は(満貫だとすると、表1赤2かあ)と思った。

その後2pの手出し。

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河の濃さからいってこの2p2pを含む3枚形7パターンから1枚切られたというのが濃厚であり、テンパイ確率はかなり高く見積もっていいだろう。

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1・95パターン(弱い形5パターン)
2・87パターン(強い形2パターン+弱い形5パターン)
3・4・6・79パターン(強い形4パターン+弱い形5パターン)
10パターン(強い形4パターン+弱い形6パターン)
これは丸暗記しておくと鳴き読みするときにすぐに形が出てきやすくなる。
パターン数を覚えておくだけでも読み逃したりすることがないし、逆に脳内で全部のパターンが挙がっているのに(まだ他にパターンがあるんじゃないか?)と余計に探そうとすることもないだろう。

そこで持ってくる4p

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ここでを切る。解説の金プロはこの時点で既に「すごいね」とおっしゃっていたが、この時点ではまだ藤原が満貫だと思ってるので、自手リャンシャンテンから満貫クラスに当たる可能性が高い牌を切るのは結構ヒドいと思い安全牌のをリリースした。

ちなみに完全イーシャンテンに限定した場合、打2pでテンパイならば1−4p待ちである確率は40%である。
こういった確率は面積で図示するとわかりやすい。

まず、223pと持ちうる確率も233pと持ちうる確率も等しい。
受け入れ枚数を面積で表すと下図になる。

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そして打2pという情報が入ると、

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Bの面積(16枚)÷Aの面積(20枚)=80%
つまり完全イーシャンテンからテンパイした場合に限定すると、2p切りテンパイのうち80%233pではなく223pからの2p切りであり、

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Cの面積(8枚)÷Aの面積(20枚)=40%2p切りテンパイの40%1−4p待ちということになる。
勿論こんな計算を実戦中にやっているわけではない。日々の机上の考察の積み重ねの上で"知っている"というだけだ。
麻雀は計算し尽くして打つことは不可能なゲームだ。
実戦では、経験や知識の積み重ねで計算し尽くせない部分を補って打っていくことになる。

今回は3pがポンされていないので233pのケースは除外される。
112p122p224p244pの弱い形のケース、少し考えづらいがテンパイしていないケースを含めた上でもこのリャンシャンテンから満貫クラスに当たる可能性が高い4pを切るのは見合わないだろう。

すると次巡ツモってくる赤5s

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これで自分で赤が2枚見えたことにより藤原の仕掛けが表1赤1の3900点の仕掛けだと考え直す。
満貫ならまだしも打ってMAX3900点までならここで放銃覚悟で4p勝負するか…
だが、藤原の手が3900点であるとすると、やはり先ほどの2p切りが112p244pなどの弱い形からではなく、強い形の223pからであるように感じる。
8000点なら若干形が悪くても仕掛けやすいが、満貫未満なら形の良さも仕掛け出す要素に考慮されるだろう。
藤原の手牌の、打点の評価が下がったのと引き換えに形の良さの評価がより一層上がった。

しかも、自分の手牌が467pとあることで5pをツモってくれば7pが切れる。

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勿論完全イーシャンテンからの2p切りだったと仮定しても7pも100%通るわけではない。

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こんな形や、

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こんな形からの2p切りで4p7pも当たる牌姿かもしれない。

しかし、更に加えて5mが藤原に通っていて、なおかつ2枚場に切られている。

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1m4mはロスになってしまうが5mのロスがないならもう少し粘ってみるかと思い5mを切った。

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5p頼むっ!


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お前かいー!w

ここで1mを切る。
1mも通っている訳ではない。
しかし、前述のとおり2p完全イーシャンテンからのテンパイ打牌だと仮定した場合、1−4pテンパイの確率が(233pの形が除外されてるので)50%残りの50%1−4m1−4s2−5s3−6s4−7pなのでざっくりと50%÷5筋=10%といえるだろう。(ざっくりですよ!細かく計算する必要もないですし)
単純に無筋の本数を6筋だとすると放銃率は1筋当たり6分の1で17%の放銃率だが、今回のように有力な1筋がある場合は他の筋の放銃率が相対的に下がる。
4p1mじゃ話が違うんだ!ということで自手の価値も上がったこともあり1mを勝負した。

このように麻雀の読みというものは、完全情報ゲームの読みと違い不確定な要素を総合的に勘案して判断するものがほとんどだ。
なので今回のこの4p止めも「一点で止めてやったぜ!」というようなものではなく不確定な要素を総合的に判断して選択した。
自手のピンズの形が467pではなく478pだったら、5mが2枚見えてなかったら、対戦経験のない相手だったら、どれか欠けていたら4pを切っていたかもしれない。

放送対局に出る際はいつも「普段通り打つように」と心がけている。
というのも放送対局で普段通り打つのは少し難しかったりする。
普段通り打てるならわざわざ心がける必要はない。
この4p止めも、放送対局だからって放銃しないように止めたんじゃないの?と思う人もいるかもしれない。
確かに放送対局で手が縮こまっていつも以上に放銃を避けるような選択をするプレイヤーはとても多い。
しかし、今回の局面の私でいえば逆で、いつも通りならこの4pは打たないのだが、放送対局だから4p打ってしまおうかなどと思ったりもした。
あの赤5sをツモった時点で4p切るのは一般的に考えて普通だろう。
今回はたまたま4pが当たり牌だったから映像映えしたが、当たりでなければド悪手と思われるかもしれない。
しかし麻雀なんて当たりじゃない可能性も含めて選択するものだし、上記の思考で自分が普段あそこで4pを切らないなら今回も切らないでおこうと思って止めた。


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