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J史上屈指の名勝負となった川崎フロンターレvs名古屋グランパス②

前半13分の川崎のビルドアップの場面。

左CBの谷口からこれまたハーフスペースに待機していたトップ下の中村憲剛に縦パスが入ります。やはりハーフスペース。ハーフスペースの重要性はこれまで何度もお伝えしてきましたが今一度ここで書きます。

まず、上の画面を見てもらっても分かりますが、442でも4141でも541でも基本的には変わりないのですが、ちょうど相手の守備者がいないスペースになります。なので相手に影響を与えることができます。そしてやはり、中央の中央レーンは守備が強固です。なぜなら、ゴールは中央にあるからです。ゴールに一番近い道筋になる中央を固めるのが守備側はマストだからです。なのでプレスもきつければマークもきつい。一方の大外レーンはサイドなのでプレスも緩ければマークも緩い。しかし、ゴールは中央にあるのでゴールからは程遠い。その、ちょうど良いとこ取りをしたハーフスペースを攻撃側はいかに攻略するかが現代サッカーのトレンドになっています。そしてハーフスペースを使う為には相手の陣形を横に伸ばさないといけません。コンパクトにされてしまうとハーフスペースが消えてしまうからです。だから、幅を取る選手、大外レーンで待機している選手が凄く重要になってくるのです。その選手がボールに触らなくてもハーフスペースを空ける、相手の陣形を横に伸ばす、という凄く重要なタスクをこなしているのです。ボールに触っていなくても良いプレー、良い立ち位置にいる選手は評価するべきです。それが、僕の言う「評価基準のレベルを上げる」です。賢い選手、にも繋がってくるかもしれません。僕も例えボールに関わっていなくても相手に影響を与えている選手はしっかり評価します。それがサッカーというスポーツで、それがサッカーの本質だからです。育成年代から今すぐにでも評価基準のレベルを上げないといけません。それの手助けとなるようなアクションを僕から積極的に発信していきます。1人がボールに触る時間はプロの90分間でも多くて3分ぐらいでしょうか。残りの87分はボールに触らない時間です。なのでボールに触らない時に何をするかが重要なのは間違いありません。オフザボールの動きと良く言われます。でも、なぜかボールを受ける為の動きだけがオフザボールの動きだと解釈している選手、指導者が多すぎます。僕は違うとここで断言します。相手に影響を与えているかどうかが評価基準になるべきです。

前半20分を経過して、お互いボール保持をしつつも切り替えも速く、タイトルの言葉が納得できるような試合。でもここまでは名古屋の方がやや優勢。ボランチのシミッチ。この選手は本当に凄い選手。上手いし賢いし背も高い。是非見て欲しい選手です。そしてもう1人のボランチの米本拓司。この選手は全所属のFC東京時代から潰し屋として相手の攻撃を潰し続ける良い選手でした。それが名古屋に行って上手さも加わり凄く良い選手になりました。風間監督に指導されたらほとんどの選手が上手くなる。それも大人になってから。逆に言えば、育成年代からしっかり教えられてきていないとも言えます。僕たちに課されている任務は凄く大きく責任重大です。

前半29分の川崎のビルドアップの場面です。伝説の29分と言われているぐらい素晴らしい場面なので、もしもう一度観れるなら是非観てみてください。サッカーの重要な要素がたくさん詰まっているプレーばかりです。

一連の流れが素晴らしいのですが、ここでは一部分だけご紹介します。まずは上の画面の通り右SBの馬渡が大島に縦パスを入れます。大島は首を振って周りの状況を確認していますね。判断が重要とサッカーは良く言われますが判断する為には認知しないといけません。認知→判断→実行と、プレーする時にはこの一連の流れがあります。首を振って周りを確認するのは認知の部分になります。判断が重要と言われますが、その1つ前の認知が実は一番重要で、何をいつどのように認知したか。それが判断に関わってきます。サッカーは車の運転をする時に似ていると言われます。例えば、信号が赤だったとします。それを運転中に見ないと信号が赤だと判断することはできませんし、信号の赤が何を意味するのかを理解しておかないと何のことかさっぱり分からないまま運転することになります。いつか事故を起こします。信号、標識を見ること。そしてその信号、標識の意味を理解すること。サッカーも同じです。

大島に縦パスが入りました。この時に内側から寄せてきていたシミッチに対して1タッチで正対します。正対とは相手に向かってボールを持つことです。これはサッカーでとても重要です。正対することで相手に何でもできますよと示すことができます。そうすれば、相手は簡単にボールを取りにくることができず、止まってしまいます。この場面のシミッチも一瞬止まってしまいサイドを変えられてボールを前進することに川崎は成功しました。もしここで大島が正対せずにボールを持っていたらシミッチは勢い良く寄せてきて名古屋のハイプレスにハマってしまっていたと思います。それにプラス、顔を上げながらボールを持つことも重要です。その2つができればボールを持っている時は無敵です。世界が変わります。イニエスタやメッシ、ネイマールなどトップオブトップの選手に対して、ボールが取れそうなのに簡単に飛び込めないのは正対しつつ顔を上げられているからなのです。でもそれをするにはボールコントロールに自信がないとできません。自信がないとボールを取られるかもと思い正対を怖がり、顔も上げられずボールばかりを見てしまいます。大島僚太もそれができる選手です。もう少しサイズが大きければ絶対に代表に入る選手なのですが。これからに期待ですね。

Part3に続きます。

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