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J史上屈指の名勝負となった川崎フロンターレvs名古屋グランパス③

そんなこんなで前半はお互いがお互いの良さを出し合った前半。このまま前半終了すると思っていました。が、前半44分に試合は動きます。名古屋はジョーにロングボールを送りそのこぼれ球をバイタルエリアでマテウスが拾い、胸トラップでトラップしてからそのまま左足でドライブ回転をかけてシュート。これがネットを揺らします。ショートパスで繋いで自分たちのペースで試合を運ぼうとしつつも、ロングボールで長身のジョーに放り込むこともできるのは相手にとったら嫌だろうなと思います。そしてこのまま前半終了。

後半のキックオフ。

キックオフ直後の上の場面。川崎の左CB谷口がボールを保持し、左MFの長谷川に縦パスを入れます。

そして10秒後のこの場面。これも川崎ボランチの田中から右MFの阿部に縦パスが入ります。これもやはりどちらもハーフスペース。名古屋はハーフスペースにボールを通されすぎています。理由は簡単。名古屋のサイドMFのシャビエルとマテウスがハーフスペースへのパスコースを本来は閉鎖しないといけません。でも、彼らはしていないからです。背中でマークを見る、というやつです。カバーシャドウとも言われるやつです。シャビエルもマテウスも守備力が低く、対面のSBをマークすることしか頭にありません。むしろSBにはパスを出させて、そのボールの移動中にスプリントでSBに寄せるのが基本です。ハーフスペースにボールを通されるのとSBにパスを出されるの。どちらが嫌で、どちらが危険度が高いかは一目瞭然です。何を取って、何を捨てるか。サッカーでもその応酬です。

後半の立ち上がりは川崎ペースで試合が進みます。そして54分、鬼木監督早くも動きます。ボランチの田中に代えてFWのダミアンを投入。トップ下の中村憲剛をボランチに下げてダミアンと知念の2トップの442に配置を変えます。

そして1分後に風間監督も動きます。左MFのマテウスに代えて和泉を投入。配置は変えずそのまま左MFに和泉を。川崎が中村憲剛をボランチに下ろして攻勢を強めてくるのを見越して、マテウスより守備力のある和泉を投入したのでしょう。

そして59分に鬼木監督がさらに動きます。右MFの阿部に代えて同じポジションに齋藤学を投入。攻勢を強めようとします。しかし、斎藤の本職は左サイドなので、右サイドで自分の良さをなかなか活かさず効果的な交代とはなりませんでした。交代をするのも、ただ攻撃力がある選手、守備力がある選手を投入。ではなく、誰をいつどこになぜ投入するのかを考えなければいけません。

そして68分。試合が動きます。川崎はダミアンにロングボールを送りこぼれ球を拾った長谷川が走り込んでいたダミアンにスルーパス。それをニアに打ち込み1-1の同点にします。両チームともボール保持に拘りが強く、上手い選手が多い中でどちらの点もロングボールからというのはなんとも言えませんが、ジョーやダミアンなど競り合いに強い選手がいるならロングボールを放り込むのも間違いではないですし、むしろ正解です。戦術で選手の良さを消したり、縛ったりするのは良い戦術、適した戦術とは言えません。

75分の名古屋のボランチ米本がボールを保持している場面です。この時の川崎の陣形を見てください。横にコンパクトに密集していてサイドMFがハーフスペースを閉鎖しています。左MFの長谷川にいたっては、身体の向きを外に向けて名古屋の攻撃をサイドに追いやるようにしています。素晴らしい守備です。ここが、最初に言った鬼木監督が特に微調整をしていると言ったところでもあります。

79分に鬼木監督が最後のカードを切ります。中村憲剛に代えて脇坂をそのままボランチに投入します。この大一番で若手もしっかり使う鬼木監督の心意気に感心します。

その直後に風間監督も動きます。右SBの宮原に代えて、これまた若手で現役大学生の相馬を投入。サイドMFの選手ですが、そのままSBに入り勝ちにいきます。

両チームとも勝ちを目指し攻め続けますがそのまま試合終了。両チームのサポーターからはこの素晴らしい試合を讃える盛大な拍手が起こります。このような試合をJリーグでも数多く見ることができるようになれば、Jリーグももっともっとレベルが上がるんだと思います。

最後に話が変わりますが、そんな日本サッカー界に朗報。6月の日本代表の親善試合に現FC東京で17歳でスタメンを張っている久保建英が選出されました。17歳ですよ。高校2年生ですよ。しかも、未来を見据えてとかではなく実力と結果で選出されました。日本の未来は明るいですね!頼んだぞ、久保建英。


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