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継投は難しい

3-0からカリステの走者一掃のタイムリーで6-0になった瞬間、嫌な予感がした。そして嫌な思い出が蘇ってきた。

あ、これ継投めっちゃ難しくなるやつだ と。

3-0のままであれば、勝ちパターンの投手は自分の役割に向けてイニング先頭から、もしくはスクランブルに備えて準備をするが、6-0となると話は別。勝ちパターンの投手が出ていくとなると既に相手チームに勢いがついているケースが多く、それを抑えるのには通常以上の労力がかかる。

つまり、リリーフを仰ぐ場面というのは一発を浴びてランナーがいなくなった場面、もしくはランナーが溜まっている場面のどちらかでしかない。前者であればリリーフ投手もある意味まっさらな状態で試合に入れるが後者となると話はまったく違う。それも込めて、大量リード時の継投というのは難しくなるものだ。

悲劇の30分前に仲間に送った一言

時間は16時、展開にして6回の裏が終わろうとしている頃だ。6回まで無失点、根尾は早々に次のイニングへの準備を始めており、継投をどうするかを考え出す頃だ。
まだ周りは「それ」を楽観視していたが、私はこれをネガティブに発信していた。ただの杞憂に終わることを心から願っていた。

が、現実は厳しかった。

あっという間に同点にされると、9回には松山も流れに飲み込まれ失点を喫してしまい、ついに6点のリードは1点のビハインドになってしまった。

ミスにミスが重なり最悪の展開で迎えた最終回、あっさり2アウトまで追い込まれるものの、4番打者の目は死んでいなかった。
あまりにも完璧すぎて、逆にホームランになる感覚がないくらいすごい当たりだった同点ホームラン。

これで寧ろ「ピッチャーの抑え方が良ければ勝てる」という確信を持つことができた。
結果、勝野が2イニングをしっかりと抑え込み、サヨナラ勝ちを手中に収めた。

一見してみれば「なんで同点にされるんだよ」という展開だが、なぜ私は事前にその危険を察知できていたのか。それはある種の経験則が物語っていたのかもしれない。

2019年のマリンでの6xを現地観戦していたが、今回はその話ではない。

「監督」として継投ミスをした話

ときは2013年に遡る。当時所属していた草野球チームは持ち回りでキャプテンを行い、私が担当し采配をふるった年だ。4月~5月にあった大会の準決勝でそれは起こった。

この日の午前中に行われる準決勝に勝つと、午後の決勝戦に進める大事な試合。この年は大会で投げられる投手を4人用意し、対戦相手も過去の対戦では勝ち越しており決勝進出し優勝を手中にするつもりでいた。

登録する選手は全員出場、1打席は立つというチーム方針のもと、私も1番・レフトで先発出場し、あっさり初回先頭打者空振り三振に終わると2回の裏の守備から退場し、監督業に専念していた。
(全員打席に立たせるために控え選手を使い切るのはとても難しいのだ!)

試合は2回、4回と1点ずつ得点を入れて完全に自チームのペースで進んでいた。大学まで経験者としてチームの屋台骨として活躍する選手に送りバントを命じ、未経験者のバットに託し追加点を入れたシーンは快心だった。
(注:バントをした経験者選手は先発で投げておりピッチングに専念させたいため、この場面は彼の打撃を捨てることが勿体ないことを承知で送りバントをさせている)

4回裏が終わり2-0となり、2番手投手が準備を始めた。先発投手は5回までで、2番手投手には6、7回を任せる作戦だった。先発投手にもその旨を伝え、了承してもらっていた。

5回裏も危なげなく0点に抑え、2-0のまま6回表の攻撃が始まった。ここまでのゲーム展開は私が思い描くシナリオ通りに進んでいた。
ところが自体は思わぬ方向へと進んでいった。

6回の表に上がった相手チームの投手が乱調で気がつけば塁上をランナーで賑わせ、スコアは2-0から7-0となっていた。準決勝以降はコールドがないので7イニングを戦わなければいけないが、決勝のことを考え先発投手に「もう1イニング行けないか」と打診し、2番手投手と共に了承を得た。

これがすべてのミスだった。

細かくは覚えていないが、ミスを発端にピンチを迎えると次から次へとランナーの生還を許してしまい、あっという間に7点差が2点差になってしまった。ここで投手をスイッチするも時既に遅し。あっさり同点、逆転されてしまうとそのまま失点を重ね、ついには決勝戦に登板予定のピッチャーまで投入して6回の裏が終わった。

茫然自失のまま最終回あっさり終わり、敗北した。6回に11失点し結果は7-11。優勝への道標は脆くも崩れ落ちた。

もし予定通り6回の頭から投手交代をしていればこんなことにならなかったのは明白だった。ちゃんと勝ちにいかなければいけない場面で先を見据えてしまった、完全に自分の責任だった。
もっとはっきり言うと、2度の投手交代のタイミングもさっぱり分からなかった。ビハインドになった瞬間ですら、まだ決勝戦のことを考えていた。眼の前でどんどん点が入っていく現実を見ながら先のことを考えるのは本当に難しかった

試合後、昼過ぎに入ったラーメン屋で日が暮れるまでほぼこの継投の話題に終止した。先発投手の目線、2番手投手の目線、捕手の目線、そして自分自身の目線、それぞれの意見をぶつけ合った。
「7点差、残り2イニング」という状況を見て決勝を見据えたことについて決して間違った判断をしていないということも言われたが、それを受け入れるのは難しかった。

今日の試合の継投、正解は?

まとめに移ろう。今日の試合の7回の継投について、それぞれ意見はあろうかと思うが「これ」という正解を出せる人はいないと勝手に思っているし、誰がタクトを振っても同じか、それより悪い結果になっていたと思っている。根尾が抑えない限り、もしくは味方の守備のミスがない限りああなったら無理という典型的な例だった。そこまでを含めて、完璧なベンチワークは非常に難しかったと思う。

ただ、これだけは言いたい。
あの場面で出てきて勝ち越しを許さなかった福敬登、あんたはすごい

以上!

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