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生き抜くために、宿泊事業者が今すぐ取り組むべき7つの資金繰り対策

【シェアのお願い】
1社でも多くの宿泊事業者様に届けたいと思い、私たちが実際に行った施策をベースに、宿泊事業者が取り掛かるべき資金繰り対策を記事にしました。
とても困難な状況が続いていますが、すこしでもお役に立てますと幸いです。

こんにちは。
スターリゾート代表の佐々木です。
私たちは石垣島初となるライフスタイルホテル「THIRD 石垣島」の開業を2020年4月24日に控え、約2年前から多くの方々と準備してきました。
しかし、コロナウイルスの影響で開業を延期しました。
そしていま、様々なシナリオを想定し、最速で資金繰り対策に動いています。

融資制度、助成金、日々いろいろな施策が各所から発表されています。
うまく制度を活用しながら、みなさんでどうにか生き抜きましょう!!
できる手はすべて尽くしましょう!!!

さて、大ききくわけるとすることはシンプルに2つだけ。
入ってくるお金を増やす】こと【出ていくお金を減らす】ことです。
細分化すると7つになりました。

お金をかせぐ
お金をかりる
お金をもらう
お金にかえる
支出をへらす
時期をのばす
時期をはやめる

ひとつずつ解説していきます。

1.  お金をかせぐ

私たちは普段、お金を稼ぐためにゲストから「宿泊費」をいただいています。
しかし、これまで通りにOTA(ホテル予約サイト)で広告を売っても、SNSで宣伝しても、価格を下げても今は正直厳しい状況です。
「いつコロナウイルスが収束するのか」が見えないので、スケジュールを決めることができません。

そのような中で、いま私たちができる販売方法は
・ターゲットを変える
・食事を売る
・新規事業を立ち上げる

の3つだと考えています。

■ターゲットを変える
ホテル各社がまず最初に取り組んだであろう施策がリモートワーカーへのプランです。
オフィスに出勤はできない。カフェも怖い。家だと集中できないといった悩みを持っているビジネスマンをターゲットにしたプランです。


別の切り口からですと、HOTEL SHE,などを経営されている龍崎さんは先日16日に「HOTEL SHELTER」をリリースされました。
自宅にいることが安全ではない、ストレスに感じる方へ「仮住まい」として利用できるサービスです。

全国のホテルを募られていますので、ご興味があるホテルはぜひ下記サービスサイトよりお問い合わせください。

HOTEL SHELTER



■食事を売る
コロナウイルスで経営状況が苦しいのに、予約を増やせない。
しかしホテルには「泊まる」以外にも「名物料理」があり、それを販売するリソースやノウハウがない。
と思いつかれて元Relux社長の篠塚さんが開始されたのが「TASTE LOCAL」です。

料理を提供しているホテルはぜひ検討されてみてはいかがでしょうか?
掲載についてはサービスサイトの申し込みフォームよりお問い合わせください。

チケットを独自で販売する場合には下記2つのサイトがおすすめです。
無料で開始できて、簡単に始められます(弊社はBASEを使わせていただきました)

BASE

STORES.JP


■新規事業を立ち上げる
観光産業はたしかに落ち込みを見せていますが、今回の有事は「パラダイムシフト(今までの考え方や価値観が180度変わること)」だと考えている経営者も少なくありません。

大局観で考えたときに、世の中が今後どのように変わっていくのか仮説を立てて、ニーズにマッチした新規事業を立ち上げることも選択肢のひとつです。

イノベーティブな事業ではなく、受託開発案件でも何でも構いません。


2. お金をかりる(2020年4月17日更新)

融資を受けることも、欠かせない資金繰り対策のひとつです。
借りられるだけ借りて、今後の事態に備えましょう。
日々、国が出している情報は変わっているのでニュースをマメにチェックするようにしましょう。


■新型コロナウイルス特別貸付


対象企業
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のいずれにも当てはまる方
最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること(注1)
中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること

融資限度額
3億円(別枠)

担保
無担保

利子
実質無利子(詳細は各支店にお問い合わせください)


■セーフティーネット保証


セーフティーネット融資は、保証協会が返済の保証をし、金融機関を通して企業に融資する仕組みです。


条件
1. 指定業種に属する事業を行っていること。(宿泊業は対象)
2. 最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少していること。
3. その事由について事業所の所在地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けること。
※3月13日から、業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の事業者等について認定基
準の運用を緩和(過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高の比較等)

保証限度額 
一般保証とは別枠で2億8千万円(うち、無担保保証は8千万円以内)


セーフティーネット保証5号


■危機管理保証

・対象企業
全国の全業種を対象

・条件
1. 最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その 後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれること。
2. その事由について事業所の所在地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けること。

・保証限度額 
一般およびセーフティネット保証とは別枠で2億8千万円(うち、無担保保証は8千万円以内)


■持続化給付金
ウェブ上から申し込みできる持続化給付金。まだ申し込みについて詳細は発表されていませんが、4月最終週を目処に発表があります。

・給付額
法人は200万円、個人事業者は100万円
※ただし、昨年1年間の売上からの減少分を上限とします。
※売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売上げ×12ヶ月)

・支給対象
1. 新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者。
2.資本金10億円以上の大企業を除き、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者を広く対象とします。

・申し込み開始時期
4月最終を目処に発表

金融機関は窓口がパンクしているようなので、早めに早めに動かれることをお勧めします。

なお、新規取引となる場合は金融機関に書類提出から入金まで約1ヶ月ほどかかります。

3. お金をもらう

■雇用調整助成金
雇用調整助成金は条件緩和されています。
恐らく、ほとんどの企業に適用されるのではないでしょうか。
書類提出がとてもヘビーですが、ホテルを休館させる企業様はマストで提出しましょう。

対象事業者:雇用保険適応で新型コロナの影響を受ける企業
対象労働者:6ヶ月未満や被保険者でない人も可
助成率:中小企業は90%、大企業は75%
経営状況:1ヶ月で売上5%低下
適用期間:1年間で100日+緊急対応期間(4月1日-6月30日)
手続き:1月24日-6月30日であれば事後提出可

注意点としては全額が補填されるわけではないことです。
例えば月額給与30万円の社員の休業補償が60%とします。
30万円×60%=18万円なので、企業側から社員に休業補償として18万円を支払います。
休業補償18万円×助成率90%=16.2万円が、助成金となります。
なので会社負担は0円ではなく、1.8万円が必要です。

また、仮にリストラチャリング(解雇)した場合には助成率が
大企業3分の2、中条企業5分の4になるのでご注意ください。

書類提出から入金まで2ヶ月前後かかるそうです。
窓口もとても混み合っていて、窓口の予約をするのに1ヶ月弱かかる地域もあるそうですので、お早めに動かれてください。


SmartHRさんがまとめられた記事がわかりやすかったのでご参照ください。



4. お金にかえる

オフィスやホテルにある家具家電...
売れるものは売ってしまうことも検討してみてください。
また、必要になったときにはお金を稼いで買い戻せばいい。

あとは、持っている事業や資産。
私も過去に資金繰りに詰まった際に、事業を売却して生き延びた経験があります。


5. 支出を減らす

この機会に(本当は定期的に見直ししないといけない)「本当に必要な支出なのか?」を見直しましょう。
売上はアンコトローラブルですが、支出はコントローラブルです。
流れていく血を、徹底的に止めましょう。

■家賃交渉
建物を借り上げて事業展開しているオペレーターは、貸主に相談しましょう。(月次試算表と今後の見通しの資料くらいは最低限作成)
貸主も商売として建物を貸しているわけなので、簡単には応じていただけない場合もあります。
その場合は「保証金から相殺」「賃料をただ減額してもらうのではなく、経済が回復した際に返済する(実質、貸主からお金を借りるのと同じ)」などで相談してみましょう。

■オフィス解約または縮小
多くの企業がリモートワークを実施しているいま、オフィスが稼働していないことも多いと思われます。
コロナ収束後を考慮して縮小するか、解約しましょう。
ちなみに弊社は解約しました。

■リストラチャリング
仲間をリストラチャリングするのは、経営者としては最も避けたい手段のひとつです。
それを回避する対策として「雇用調整助成金」を活用しましょう。
とはいえ、「雇用調整助成金が上限の100日から延長されない」「休業補償の90%保証になるので、社員が多ければ月百万円単位でお金が出ていく」などの状況も企業によってはあるかと思います。
また、雇用調整助成金よりも失業保険の方が金額をもらえる場合もあります。
リストラチャリングについては特に慎重に考えていかねばならない手段のひとつです。

■広告宣伝費カット
広告宣伝費をかけている場合は、すぐにカットしましょう。
今は正攻法で戦えません。

■サイトコントローラー、PMSなどの乗り換え
サイトコントローラー 、PMSで毎月数万円するサービスもありますよね...
予約が少ない今だからこそ、サービスを切り替えるチャンスではないでしょうか。

■完全休業
結局、企業は利益を残し続けないと存続はあり得ません。
「続けること」が目的になっていませんか?
休業することは悪いことではありません。
数字と向き合って、損失が少ない選択をしましょう。

6. 時期をのばす

お金が出ていく時期を可能な限り後ろに延ばしましょう。
「支払いをすべてクレジットカード決済にすること」をいますぐでもできるので、現金支払いからクレジットカード決済に切り替えましょう。

税金、社会保険料、公共料金も各所に相談に行き、承諾いただければ
支払い時期を遅らせることができます。

あとは、パートナー企業(取引業者)へのお支払い時期。
こちらも相談する必要がありますが、ご承諾いただける場合には後ろにずらしてもらえます。

7. 時期をはやめる


■日付指定が不要のチケット販売
「未来に泊まれる宿泊券」や 「未来宿泊券」と呼ばれる日付指定が不要のチケットが、ホテル業界では販売されることになりました。

最初は飲食店を経営されている萩原さんのTweetから広がっていきました。

ホテル業界ではNIPPONIA HOTEL 串本熊野海道を経営されている松岡さんが最初に動かれていました。


ホテルに特化したサービスでは「chillnn」と「Tripticket」があります。
2社とも動きがとても早く、素晴らしいなと思いました。


CHILLNN


ここで一旦CM入れさせてくだい🙇‍♂️
私たちが開業を控えているTHIRD石垣島でも「未来パスポート」を販売しました!
・1泊2万円
・購入時に日程指定不要
・2021年12月末期限
宿泊料金だけで食事・バー・シーシャなどをホテル内体験が何度でも自由にできるオールインクルーシブステイをお楽しみいただけます🏝


■クラウドファンディング
「未来に泊まれる宿泊券」と似た商品になるかもしれませんが、クラウドファンディもひとつの選択肢です。
宿泊事業者さんも数社クラウドファンディングでお金を集められています。

CAMPFIRE

Makuake


おわりに

長い記事でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

誰もが「こんなになるまでは予想してなかった...」と考えると思います。
私も数日間は胃が痛すぎて眠れない日も数日ありました。

しかし、待っていても、誰かが解決してくれることはありません。
止まない雨は絶対ありません。
会社のトップが諦めたら、そこで終わりです。
※もちろん、中には会社を畳んだ方が良いケースもあります。「続けること」がすべてではありません

希望を持ち、ある程度楽観的になりながらも、数字にはシビアに、最悪のシナリオをベースに、複数のシナリオを想定して動きましょう。

とても厚かましいお願いで大変恐縮ですが、すこしでも宿泊事業者さまのお役に立つことができますように、この記事をSNSなどでシェアしてくださると大変嬉しいです。

一刻も早く新型コロナウイルス感染症拡大を阻止し、収束できることを願っています。

スターリゾート株式会社
代表取締役社長 佐々木優也


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