見出し画像

如月

2年前の2月

僕は福岡に住んでいました。

その頃はまだ上京することなんか考えて無くて、地道に写真家としての一歩を踏み出した頃。

たった一通のツイートが僕の人生を変えました。

『アシスタント募集。1年で独立させます。』

それは、自分でもよく理解できていない内容だった。

看護師として働いていた自分が、フリーランスとして活動し始めた矢先、

右も左も分からない中、独立とは何を示すのか、そこから分からなかった。

写真家 青山裕企

知らないはずは無かった。何度も読んだ彼の本。

南米を旅する時にも持って行った、僕は写真の楽しさを全力で伝えたい!

そこには彼が自転車で日本一周をしていたことや、バックパッカーで世界を旅している時に写真家になることを決断したことなど綴られていた。

自分が憧れた旅をしている人だった。

自分が撮っている写真や、目指している写真家と必ずしも近いと限らないと思いながらも、

素直に会ってみたいと思った。彼と話してみたいと。

一度はメールを送ることをやめた。上京なんて考えられないし、二ヶ月に一度は東京に通っていたけれど、住むとこじゃないとすら思っていた。

アシスタント経験のある友人は磨耗していたし、もう二度としたくないとも言っていた。どんな現場になるか想像もつかない。

でも、直感で思った。

この人のアシスタントになったら、写真を嫌いになることは無い。

むしろずっと好きになると。

気がついたらメールを送っていた。ありったけの言葉を詰め込んで。

返らないと思っていた返事がきて、東京に会いに行った。

思っていた以上に穏やかな人だった。そして何もかも見透かされているような気がした。

飾った言葉は必要無かったし、もし決まれば上京しますと断言できた。

覚悟と直感。この二つを信じて今までやってきた結果、

3月末には上京が決まり、もうすぐ2年が経とうとしている。

後悔の欠片も無い。山口や福岡に帰りたいと、口癖のように漏らすけど。

あの頃よりもずっと写真することが楽しい。

写真家として生きていく覚悟、

そして、仕事として誰かのために写真を撮ることの喜びも教えてくれた。

もうすぐ、独立して1年が経つ。おかげさまでやっと写真の仕事も増えてきたし、写真集制作も順調に進んでいる。

ここから。

もっと人生をカラフルに。

写真と共に生きていきたいと思う。


皆様のサポートは、今後の写真展や写真集などの作品制作に使わせて頂きます。より良い作品を皆様のもとに届けられたらと思っていますので、お気持ちだけでも幸せます。