恵方風船 春雨ちゃんの場合

恵方風船

この鎮守府では節分に恵方巻きを食べる代わりに決められた方向を向いてただひたすら割れるまで風船を膨らますという風習がある
見事風船を割ることが出来たらいい事が起こるとか起こらないとか

村雨「それで私のところに?」
春雨「うん、村雨お姉ちゃんならいつも風船割ってるから、その...コツというか...どうしたら怖がらずに膨らませることができるのかなって」
村雨「そうねぇ...1番いいのは何も考えないことかしら?」
春雨「何も考えない...」
村雨「割れるのが怖いと思うから、膨らませないのよ。だから、何も考えない。大丈夫、割れたって音が鳴るのは一瞬だけで他は何にもないんだから☆」
春雨「それなら、できそうかも...ねぇ、村雨お姉ちゃん。」
村雨「なぁに?」
春雨「私がここで風船を膨らまして割るの見ててくれる?」
村雨「ええ、それくらいのこと、お安い御用よ☆」
春雨「ありがとう、村雨お姉ちゃん☆私...頑張ります!」
村雨「うん、その意気よ☆」
春雨「それじゃ、風船を口に咥えて...春雨、いきます!ふ〜...ふ〜...はぁ〜〜、ふ〜...ふ〜...」
村雨「いいわよ、春雨ちゃん!その調子☆」
春雨「はぁ〜〜、ふ〜...ふ〜...はぁ〜〜、ふ〜...ふ〜...」
春雨(風船、だいぶ大きくなってきた...ダメダメ、何も考えない...何も考えない...)
春雨「はぁ〜〜、ふ〜...ふ〜...はぁ〜〜、ふ〜...ふ〜...」
村雨(春雨ちゃん、頑張ってる頑張ってる♪もう、そろそろ...かな?)
春雨「はぁ〜〜、ふ〜...ふ〜...はぁ〜〜、ふ〜...」

パーンッ!

春雨「ひゃぁっ!」
村雨「やったね、春雨ちゃん‼︎風船、ちゃんと割れたよ☆」
春雨「う、うん...でも、やっぱり怖かったよ〜、うわ〜ん!」
村雨「春雨ちゃん、怖いのに頑張って風船膨らましてたんだね☆えらい、えらい...なでなで♪」
春雨「私頑張った...かな?これで願いも叶うかな?」
村雨「きっと叶うわよ☆春雨ちゃん、こんなに頑張ったんだから、ね?」
春雨「うん!」

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