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総理の夫は、最高のデートムービーでした。

当選した相互さんからお誘いいただき、ありがたいことに試写会に行ってきました……!
途中からずっと泣いてたし、観たあとに生活を振り返っていろいろ考えたくなる映画でした。
以下、公開前の作品のネタバレあり感想です。大丈夫な方のみお読みください。


***


田中圭さんの「えっ?」は何回でも聞きたくなる。「ん?」も同じく。
そんな田中圭さん演じる日和くんが、くせ者揃いの登場人物たちに翻弄されるお話……だと思っていました。

それだけじゃなかった!!!
これは理想を追い求める女性の話であり、その傍らにいる夫の話であり、家族の話でもあり、社会の話でもあった。


日本初の女性総理大臣になることになった日和くんの妻、凛子さん。
でもそれが決まったとき、鳥類研究家の日和くんは電波の届かないところまで出張に行っていて、いや普通ならば帰りの飛行機に乗る前にメールのチェックくらいしそうなものなんだけど……とにかくそういうことにわりと無頓着な彼は、何も知らずに東京に帰ってきてしまう。
急に大勢の記者たちに詰め寄られて「えっ?えっ、えっ!?」となる日和くん。この時点でもう面白い。

そこから日和くんの受難はノンストップ。
GPS付きのスマホを持たされ、母に連れ回され、家の前には出待ちのひよラー、仕組まれたスキャンダルまで。

前半で印象的だったのが、観測所としての側面もある現在の家から引越しをしたくない日和くんが凛子さんにそのことを話すため、帰ってくるのを待っているシーン。
時計は午前1時をまわっていて、やっと帰ってきた凛子さんはもちろん疲れているけど「何かあった?」と聞いてくれる優しさがある、でも仕事の電話がかかってきてしまい相談すらできなくなってしまう……
もし総理大臣が本当にこれほど忙しいのなら、それはちょっと変えたほうがいいのではないかなぁと思ってしまった。もう少し休める時間がないと、まともな判断ができなくなっちゃいそう。
結局日和くんは、引っ越したくない、の一言も言えないままその日を迎え、寂しそうに鳥たちにお別れを言っていた。

夫婦が一緒に生活していく中で、どちらかが譲らなければならない場面はたくさんある。
話し合いすらできずに凛子さんを優先した日和くんは、実家で妻が批判されても、絶対に彼女を悪く言わない。不満だってあるはずなのに。や、優しすぎる……


そして中盤。凛子さんの妊娠が判明してから、物語は一気にシリアスになる。

つわりの中での選挙、車の中でぐったりしている凛子さんが本当に辛そうで、でも日和くんができるのはペットボトルの蓋の開閉くらい。
このときの日和くんの表情にハッとした。わたし自身もつわりを経験していて、凛子さんの身体のしんどさはよくわかる。でもそうか、何もできないということも、辛いんだ。

この後、あんなに優しい日和くんが人知れず感情を爆発させるシーンもあり、彼の抱えたストレスがどんなに大きかったかを思い知った。
もちろん一番しんどいのは妊娠している凛子さんだけど、夫だって大変なんだ。


公開前なのでネタバレはこのくらいにして、ここからは感想です。

観賞後、家に帰って夫に「つわりのとき大変だった?」と聞いたら、「どうしたらいいかわからなかったからねぇ」と照れたように笑っていた。
わたしの食べられそうなものを一生懸命に探してくれたことなどをすごくよく覚えているみたいで、(わたしとしては辛すぎて思い出したくもない記憶だけど)負担をかけていたんだなぁと気付いた。
あの頃夫もしんどかったなんて、今まで考えたこともなかったな。つわりの真っ最中に誰かに優しくするのはかなり難しいと思うから、今後の人生でもし「妻がつわりで…」という話になったら、その人の大変さを受け止めてあげようと思った。

そして、この映画を夫と観て感想を聞いてみたいな、とも考えた。
妊娠・出産のこと以外にも、女性が働くことや夫婦のコミュニケーションについてだったり、どちらかが我慢をしていることだったり。
この映画を観ることで、「わたしはこうしたいんだけどどう思う?」「この気持ちわかる!」などと普段なかなか機会のないことを話せそうな気がして。

既婚未婚問わず、恋人未満でも友達同士でも。
誰かと観たあとに、その人の本質がチラリと見えそう……そんな映画でした。
きっとこういう作品をデートムービーと言うのではないかしら。


総理の夫 9月23日公開です。
大切な人と、ぜひ。