タイトルでちょっと、いやかなり「推しが出ているけどこの作品はスルーでいいかな……」と思っていたのですが、観てみたらめちゃくちゃ面白かったんですわ。

いや、だって「女子高生に殺されたい」ですよ、どんな映画！？ってなるじゃないですか……しかも死にたい役は、もしも命の月人さんがめちゃくちゃよかったのでもういいかな感もあったんですよ。
でもね観てよかった。面白かった。タイトルから思っていたのとは全然違う話だった。

ここから先は、いつものようにネタバレ有りで感想を書いていきますので大丈夫な方のみどうぞ！
一応、話の本筋に関するネタバレは極力しないように努力しますので、観るのを迷っていて多少のネタバレが許容できる方もよろしければ。

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まず、田中圭演じる東山春人。彼が本当に美しく気持ち悪くみっともない。

この"みっともない"ところがあったのがすごくよかったなぁと思う。こういう作品を観るときに、わたしはどうしても「つられて死にたくならないか」について考えてしまうのだけど……もちろん絶対はないけど、多分大丈夫。そのくらいみっともなかった。(褒めてます)
女子高生に殺されたいと思っているけれど、それを内心で思っている時点では問題なくて、実行に移そうとしているから非難される……その塩梅もすごく絶妙だった。
あと、女子高生を性的な対象としては見てないとか、過去には普通に生きようとしていたとか、「こうだったらちょっとヤだな」みたいなところがさりげなく潰されているのもよかった。

ヒガシーは自分の顔の良さを利用して女子高生たちを"自分殺害計画"の舞台装置にしていくのだけど、ま〜〜気持ち悪い。(褒めてます！)
もちろん天下の田中圭ですからね、そりゃ好きになっちゃうでしょ！って説得力もあるし一瞬美しく格好よく見える。でもよくよく考えると、き、気持ち悪い〜〜〜！ってなる。
全体を通してものすごいバランス感覚の上で成り立っていた人物だと思う。すごすぎ。

女子高生たちもめちゃくちゃよかった。
キャラが立ってるし、こういう子いる！ってなる感じもあって。そして純粋にみんなめちゃくちゃかわいいんだわ……！眩しい。
ヒガシーも一人ひとりに合わせた落とし方をしていて、それがまた……(もう言わないでおく)
誰にどんな役割を担わせようとしているのか、なかなか見えてこないのも面白かった。

ファンタジー要素のある子もいたけど違和感なくスッと観れたので、俳優さんがめちゃくちゃ上手なんだろうなと思ったのと、1人バックグラウンドがすごく辛い子がいてあぁ……となった。
わたしは多分その子に引っ張られたのでヒガシー頑張れ！とはならなかった。辛い過去があるのにさらにヒガシーに狙われたのが気の毒で。
映画のあと一緒の回だった方と少しお話できたのだけど、ヒガシー頑張れ！派と死なないで！派、両方いたので(そして死なないで！派の方もわたしとはきっと理由が違うと思うので)ここの感じ方の違いは突き詰めると面白いかもと思った。オタクの癖(ヘキ)の方向性が見えてくる気がする。

細田佳央太くんもよかった。緊張感が高まる中、彼の台詞でフッと肩の力がぬけて映画館全体の空気が軽くなる瞬間があった。
こういうちょっと怖い系のドキドキする作品には、悪人じゃないって確信できるキャラクターが必要だと思う……少なくとも怖いのが苦手なわたしには救いでした。

元カノの五月も好きだった。大島優子ちゃんなら、もっとめちゃくちゃかわいい〜！ってビジュアルにもできたと思うのだけど、ヒガシーと付き合っていたときのナチュラルな感じがリアルな大学生のようですごくよかった。
観客と同じ目線にいるキャラクターで、かつ五月ちゃんにしか見せないヒガシーの顔があって。いろんな意味で「ありがとう……」と思いました。

ストーリーについて。タイトルを聞いて思い浮かべたものとは全然違った。いい意味で。
お察しの通りわりとめんどくさいオタクなので……殺されたいことを肯定したり美しく描かれるのはいやだったし、女子高生のかわいさを消費するようなものもいやだったし、殺されたいと"思っているだけ"のときから誰かにヒガシーが責められるのもいやだった。でもこれが全部杞憂だった。すごい。

わたしは怖いのもグロいのも苦手なのでウッとなるシーンもあることにはあった。
犬がかわいそうなシーンがあるので、動物好きな人は見ない方がいいと思う。実際の動物に危害は加えていません、という文言が映画の最後に流れて心底ほっとした。

鑑賞後の印象としては意外と軽やかで、それは多分終わり方が好みだったからなのだろうと思う。
うまく言えないのだけど、ちゃんと映画館の中で完結する、モヤモヤが残らない作品だった。

感想を書き上げるのが公開開始からけっこう経ってしまったのだけど、オススメです。面白かった！気になっている方はぜひ〜！！！