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【沼倉佑亮さん 第2弾】クリエイションと現場を繋ぎ、お客様の求める「なりたい自分」になる機会を創っていきたい。

 学生時代にハタモク、学生起業、専門学校などを経験後、繊維メーカーを経て湯沢にUターンし、現在「Ichinosai*」マネージャーとして湯沢市と東京の二拠点で事業展開をしている沼倉さん。
 沼倉さんの魅力をたっぷりお伝えするべく、2回に分けてお届けしています。今回は沼倉さんの現在の事業、将来の展望をクローズアップしていきます。

第1弾、「学生時に起業!挫折から掴んだ大学生の特権」はこちらから

*Ichinosai・・・沼倉さんが所属する有限会社ぬまくらの中の事業部

Ichinosai HP
http://www.ichinosai.com/

【お客様の理想をお聞きし、実現できるものをワンストップで】

 東京からUターンしてきて、実家の有限会社ぬまくらに就職し、東京で始めた「Ichinosai東京」を「Ichinosai」として正式に始めました。

 事業内容は、「お客様の理想や目的に合わせた、オーダーメイドでのアイテムの製作」です。Ichinosaiは、単なる受託製造会社ではありません。お客様の理想の姿をお聞きし、それに応じた商品やデザインを提案するところからはじめ、その後の加工、製造、納品までワンストップで行っています。また、従来はアパレルを中心に取り扱っていましたが、最近はご提供できる商品やデザインの幅が広がってきました。例えば、プロモーショングッズの制作や、カフェのコンセプト設計なども行っており、Ichinosaiの企画力、デザイン力などを活かした多様なご提案をできる体制が強みだと思います。

 また、現在は秋田と東京の2拠点で営業活動をしています。東京のお客様には、秋田発というところに面白さ、希少性を感じていただけることがあります。また、秋田ではなかなか触れられない、東京の最新情報や感覚などを入手でき、2拠点で事業を行うことの相乗効果が発揮されていると思います。

【顧客と工場の通訳者】
 Ichinosaiの強味は、Ichinosaiが「顧客と工場の通訳者」という役割を果たしていることです。

 実はアパレルの業界では、顧客側の意図や要望が工場側にうまく伝わらず、顧客のイメージから外れた商品ができあがってしまう、という現象がよくあります。

 工場側は、製造技術はあるけれども、顧客の感性や世の中の流行に鈍感になりがちです。意識のズレや情報共有不足などが原因で、実際に出来上がってみると、ニーズに合わない商品ができてしまう、といったことが起きてしまいます。

 Ichinosaiは、顧客側の理想を直接お聞きする機能と、それを形にする製造機能の両方を備えています。そのため、顧客と工場がお互いのことをよく理解できるように「通訳」することで、顧客のイメージ通りの商品を提供することができます。
 例えば、劇団の商品を作らせていただいたときは、作品の雰囲気、色の出し方、線画の部分など非常に表現へのこだわりが強いオーダーでした。それでも、私たちは、自分たちの工場がどういう技術を持っているか、また、どういう技術を使えばそのこだわりを具現化できるか、についてよく理解しています。結果として、デザイン提案段階で、製造部門の技術の良さが最大限発揮され、かつ顧客の理想を叶える商品を提供することができたと思います。

【Ichinosaiが作ったものが、世の中に広まっていってほしい】
 洋服の唯一無二の魅力というのは、「なりたい自分になれる」ことだと思います。
 それはわたしが学生時代の恩師から教えていただいた、次の言葉を真理だととらえているからです。

 「いい女はいい男から声をかけられたくて自分を着飾る。男はいい女に声をかけるときに自分に自信をつけたいから、よい洋服を着る。だからこの世の中に男と女がいる限り洋服はなくならない。洋服を扱う仕事は、着る人の自信と未来を創る仕事なんだ。なりたい自分になるという価値は、洋服にしかない。」

 この真理を踏まえてIchinosaiは「想いを形(もの)にする」をキーワードに掲げています。人間には、自分の想いを表現できるものを身につけたい、という欲求があります。だから、洋服だけに限らず、バッグ、帽子、グッズなど「想い」を「形(もの)」として提供することで、「なりたい自分になれる」という価値を創造することを目標としています。

 そのために、Ichinosaiは2つの将来的な展望を考えています。

 まず1つ目は顧客の想いに応えるため、オーダーメイドにこだわっていきたいと思います。企業のユニフォームを製作させていただいた際も、「社長や従業員の方が思い描く会社像に近づくためのアイテム」というコンセプトでご提案を行いました。大量生産では表現できない「個性」をIchinosaiは大事にしていきたいと思います。

 2つ目は、たくさんの人の心を動かせるような商品を作る会社にしていきたいと思います。Ichinosaiから生まれた商品を日常で見かけるような世の中にしたいですね。例えば朝起きて駅に行ってホームに並んでいるときに、向かい側に自分たちが生み出した商品を喜んで着ているお客様がいたら製作者としてこれよりうれしいことはないと思います。

【秋田にUIJターンしたい方へ】
 私が、後輩や同級生にとって地元に帰って仕事をする一つのロールモデルになればと思っています。私のように、2拠点で事業をすればある程度仕事は創れることを見てもらい、地元に帰ってくるハードルを下げてもらいたいです。
 長期的には、仕事がなくなっていく状況を打破したいと思っています。湯沢市はもともと縫製の産地でした。しかし縫製工場の減少や、後継ぎ問題などで次第にその影を潜めているのが現状です。

 また、最近うれしいことに東京の友人が秋田に来たいと言ってくれます。実際に夏に何人か友達が湯沢に来てくれて私が案内したところ、かなり喜んで帰ってくれました。友達からは、「東京から何万円と払って箱根に行ってもできない体験が秋田ではできる」という感想をもらいました。売り方とブランディング方法は無限にあると感じます。

秋田には可能性しかないと思っています。

【編集後記】

 業界や地域の未来を見据えて自分の役割を果たしていこうとしている沼倉さん。業界の問題点がわかり自分のなすことがはっきり見えているのは日々学んできたこと、経験はもちろんのこと、洋服を作ることが好きだからこそできることだと思います。秋田の可能性と自分の可能性を最大限生かそうとしていることがきっとこれからUIJターンする方の良いロールモデルになっていくと思います。(アシスタント玉井)

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