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元パイロット人事がベンチャーで新卒1期生を9名採用できた5つのこだわり

■社長!僕はジャックバウワーではないっす■


まだまだ寒い冬の時期。12月にホノルルマラソンを終えた僕は焼けた肌で社長と1on1をやっていた。
「悠蔵、新卒採用ってしたことある?」
よく勘違いされるが、
『リクルート出身=採用できる人』というのは、大きな間違いである。僕に新卒採用の経験はない。

「新卒採用をやろうと思う。2019年卒の学生。何人くらい採用できるかな?」ハワイの時差ボケか、それとも、あまりの衝撃にテンパったか、あまりこの辺は覚えていない。

ただ、一言だけ明確に覚えているのは…
「アメリカには24時間かけて脱獄をする人もいるくらいなので、採用はできるよね?」
僕の新卒採用の幕が上がった。いつだって始まりは突然だ。だから人生は楽しい。


■新卒採用でこだわりまくった5つのポイント■


①欲しい人材の定義を揃え、共通認識を得る

まずは、『採用のターゲット』をどこに置くか。共通認識を揃える。
ただ、人見合いで要件は変わることが多い。だから、最初は荒くても、少しずつチューニングをしていくことが重要。


実際に、イベントに登壇しながらいろんな学生を見て、社長や役員陣とすり合わせをやっていた。イベントの休憩中とかに「あの子は良いは筋の良い発言をしていた」とか、「傾聴力がある」とか、「イケメンだった」とか「可愛い」とか。本当に様々な話をする。もちろん真面目にだ(笑)
結果的に振り返ってみると、下記のようなポイントがベルフェイス'19新卒採用の要件定義になった。


②USP=Unique Selling Propositionの設定


マーケティング領域でよく使われている「USP=Unique Selling Proposition=独自の売り」である。
リーブスという人が著書「Reality in Advertising」において、USPの基準を3項目にまとめている。


・広告は顧客への提案でなければならない:単なる言葉の羅列や宣伝文句ではなく「この商品を買えば、こういう利益を手にする」と伝えるべきだ。
・その提案は独自のものであること:競合が同じ提案をできない、あるいはしないもの。
・提案は強力であること:大衆を動かす力がある提案をする。


ベルフェイスでは…
・1期生として入ることによるメリットをちゃんと伝えること=学生への提案
・人とのしてのストーリーを伝えること=独自のもの
・プレゼンテーションで見せ、1on1でグリップする=強力である


ここをシャープに捉えたことで、逆に『説明会』という工数を捨てた。どこで勝つかを明確にし、勇気を持って捨てた。他社からは説明会しないという判断にびっくりされたが、学生に対しては「それくらい学生のことを大事に向き合っているんだ」と胸を張れた。


③プレゼンテーションの細部に神は宿る


プレゼンテーションの時間は限られている。
その限られた時間をどう使うか。大きく考えたのは社長だったが、何分、何秒単位まで細かく設定をしていた。よく説明会とかで聞く「○○という会社名を知っている人〜?」みたいな質問は無駄だと割り切り捨てる。学生に事業の説明をしても伝わらないと判断して別のところで勝負する。
基本的には社長か僕が話すのだが、人事に変わった瞬間微妙だなと言われたくなかったので、僕は随分とプレゼンの練習をやった。その時に仲よかった女の子は、皆、僕のプレゼンを聞いていたので、きっと彼女はベルフェイスのプレゼンを空で話せる。
真面目にいうと、ベルフェイスには1ヶ月に1回会社全体の会議があり、各事業部がピッチをする機会がある。毎月あるので、その場馴れ感はあったのかもしれない。

④『1on1』はフレキシブルに深く


<フレキシブルさ>
場所も時間もなるべく学生に合わせる。オフィスに来れないのであれば会いに行く。もしくはリモートで話す。プレゼン後にそのあとの時間が空いているなら、迷わず会う。社会人としてのプライドなんていらない。ちなみに僕は多分目をつぶって、本郷三丁目から東大の赤門までいけると思う。それくらいフレキシブルに動いていた。


<深さ>
また、今回使ったのはこのエントリーシート。生まれた時から今までをモチベーショングラフにして書いてもらう。書けないのであれば一緒に話しながら書く。大学の4年ではなく、その人の人生をまるっと向き合う。だから人生の理解者になれる。一人当たり1時間〜2時間程度。場合によっては複数回行った人もいた。


⑤大谷クロージング


現メジャーリーガー大谷選手がメジャーに行くか迷っていた時に、日ハムの人が口説いた資料があったが、あれをベルフェイスでも勝手にやった。下記に添付する。これ社長も役員も知らない資料(笑)


https://881.jp/987w615w00

個人名や企業名を伏せてはいるが、約50ページ。その内定者に向けた資料である。
この資料を本人に渡したのは東京駅近くのカフェだった。他社の内定面談後を出待ちした(笑)
やりすぎだと言われるかもしれないけど、僕は本気で本人のためだと思っている。本当に必要なのであれば、人は自然と動ける。結果、彼女は他社を辞退して、ベルフェイスに意思決定をしてくれた。
タイタニックで主人公の男性が女性のために死ぬが、人は時に夢中になるととんでもない行動力を発揮できるものである。


■結果、僕はえげつない人数と会っていた笑■

下記が結果の一部抜粋。


しっかりと1on1をやったこともあり、今回、ご縁がなかった学生からも就職のアドバイスを求められたりTwitterで絡まれたりしている。人事として、新卒採用は「内定や意思決定」がゴールに見えるが、もう少し中長期的な視野で見ると人生においてのアドバイスができる。
だから下記のようなエピソードが生まれたのである。


『ベルフェイス』を『ベルファイア』と間違えたが、選考を通過させた話
最終選考前に美容院に学生と一緒に行った話

■根っこにあるのは人と向き合う熱量■


今回新卒採用をしていて、びっくりするくらい学生も目が肥えていると感じた。たくさんの人事や経営者、エース級の人材と会っているからだ。

だから最終的に大事なのは人と向き合う「熱量」が重要だと感じた。

ベルフェイスの人事は「会いたい」と言ってくれた学生には会うようにしている。今まで取ってきた行動や考えの根っこには「相手の熱量に対して、平等に熱量を持って応える」という想いがある。


時間は有限だけど、好きだと言ってくれる人にはちゃんと時間を使う。これは僕の採用という仕事も、恋愛ついても同じことかもしれない(笑)


先日経団連から'21卒から就職活動の開始時期が変わる可能性が示唆されたが、正直あまり関係ないと思っている。どれだけ時代が変わったとしても、目の前の人とどれだけ向き合えるか、どれだけ真剣に接することができるか、ここに尽きると思う。だから僕は大きく変わらないと思う。

学生と同じように熱量を持って対峙すれば、きっと僕の恋愛もすごくうまく行く…なんて思った今日この頃である。

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