贋作マッチ売りの少女-栃木公演- 音響より。

りくろあれ×舞台芸術創造機関SAI
幻想音楽劇
【贋作マッチ売りの少女】-栃木公演-

2017年11月4日(土)、5日(日)
@南宇都宮 悠日

前の週のr.a.02_03 Po. noc.-Variations 01-と2週続けての悠日さんでの公演。
Po.noc.でも朗読用にノイズメーキングとトラックのアレンジをしたが、贋作マッチ売りでも全く同じ作業をしていた。

僕が担当したのは全曲の整音と、ミックスと、ノイズと、新曲のアレンジ。もちろん足りない効果音は作成。

◇track05_鋭鈍 

幻想都市ロンドンは霧に覆われた街、猥雑さと犯罪が溢れる鈍い灰色の街。
最初はもっと何か別の、「灰色」だとか「霧」だとかぼんやりしたタイトルにする気分だった。しかし直感的に「鋭い鈍い」という二つの言葉が浮かんできた。
ヴァンとポールの狂気は鋭くどこまでも傷つけ合う。街の愚かな住民は鈍った享楽を求める。
故に、あの一連のノイズは鋭鈍。

◇track07_白夜

今回のために用意された音楽。幽蘭さんのつくった音楽と倉垣さんの言葉。この二つから想起されたものは『わたしがわたしだった日々』のあとにくる「いつか」への祝福。
僕が言葉を乗せることはできないから、どうやって祝福を乗せようか考えてあの音色を選んだ。
開演までの間に流していた秒針と白夜のアレンジ中に流れている秒針は同じもの。時間の流れは止めることは出来ないから、幸せでも不幸でも皆『いつか』へ向かってゆくのだから。
ゲネ前に流したらお兄さんがぼそっと「めっちゃかっこいい」と言ってくれたので内心ガッツポーズ。

アンケートで「音楽が印象的だった」「合唱のシーンの迫力が好き」など多くの感想をいただけて、きちんと色を添えられる音に仕上がっていたとほっとしている。もちろんそれは僕だけの力ではなくて、選曲をしてくれた大島さんと倉垣さん、歌ってくれたキャスト達、そして作曲の永井幽蘭さんの力全てがあってのこと。

幽蘭さんの音楽にはどこか影というか、死を感じさせるけれど暗くはない独特の世界観があってどの音楽もすばらしく、ピアノの1音1音まで琴線に触れる響き。
それをアルルが悲しく、優しく、時に感情を立てて歌い上げる。
アルルが歌えば、街も途端にステージへ。娼婦や紳士淑女も歌い踊る賑やかな夜に。
そして訪れる白夜。


 エネルギーのぶつけ合いのようなSAIと繊細に感情を囁くりくろあれ。
今回音楽班として関われたことを誇りに思います。
続いていく東京、横浜で、また。





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