結月美妃

結美堂代表取締役 コンサート&イベントプロデューサー

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マガジン

  • 結月美妃の着物読本

    着物の着付けのこと、着方のこと、着物の種類のこと。また着物を着るということはどういうことか、そして、着物を着たら、あなたはどうなるのか、ということ。

  • 結月美妃の美食エッセー100

    結月美妃が綴る100の美食エッセー。

  • 銀座に着物女性が1000人集まる! 結月美妃プロジェクト

    銀座に着物女性を1000人集めるプロジェクトです。京友禅の着物に彩られた信じられないほど美的な風景を銀座に作ります!

  • 篠崎史紀のモーツァルト6大交響曲演奏会 マロオケ2016

    2016年5月5日(木・祝)にサントリーホールで行うコンサート‟マロオケ2016”の主催者・結月美妃の「マロオケのこと」。

最近の記事

第19回 餃子でナンパ

その男は餃子を作るのがうまい。それは中学の頃から餃子の王将でバイトをしていたからで、家で作る餃子も手料理ではなくプロの料理であり、ありがちな自己満とは違い、客観的に見てちゃんとした餃子を作ることができるのである。 その男は中学のクラスメイトで、小学校は学区が異なっていたが、保育園は同じで、そこからカウントすると随分と長い付き合いになる。 モテない男で、求めはすれど女に相手にされず、童貞のまま高校を卒業し東京に出てきたが、

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    • 第18回 おいしいものを求めるとおいしいものがなくなっていく

      もうずっと東京にいるから日本といっても東京以外のことはあまり知らなくなった。 東京でない地方に行けば、もっと新鮮で、もっと土着で、もっとリアリティのある料理があるだろうけど、ともかく東京にいて思うのは、料理屋に行ってもまずいものに出会わない、ということ。

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      • 第17回 蛇の生き血を飲んだ北京の夜

        結婚をしたくてたまらない人がいる。結婚ができなくて焦っている人がいる。結婚相手がいないから紹介サイトに高い金を払って登録している人がいる。結婚に夢を抱いている人がいる。結婚することに価値を置いている人がいる。 「結婚とはそういうものなのだろうか?」 と、わたしが思うのだけれど、それはしてみなければわからないものだから、結婚していない人たちには通じない思いなのかもしれない。 しかし、結婚しても結婚というものがどういうことか、どうあるべきかなどやっぱりわからなくて、おそらく

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        • 第16回 ジュネーヴで食べ損ねた中国式チーズフォンデュ

          フランスのリヨンにいた頃、スイスのジュネーヴが鉄道で行ける距離にあるので、チーズフォンデュを食べてみようと思い立ち、リヨン・ぺラーシュ駅に赴いた。 リヨンには二つの駅があり、モダンなLYON PART DIEU、そして終着駅のLYON PERRACHE である。 日本からパリに着くと、そこで一泊し、リヨンまでTGVに乗った。リヨンは初めての街で、しかもこれから住むというのに生活するアパートも決まっていない。今はネットがあって事前に日本からやり取りできるのかもしれないが、当

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        第19回 餃子でナンパ

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        記事

          第15回 ニューヨークで飲んだジャックダニエルのオレンジジュース割り

          もう随分前の話になるが、わたしはニューヨークのアクターズスタジオの俳優とオフブロードウェイで演劇をやろうと盛り上がり、戯曲を書いていた。 資金集めにいろいろ奔走したりしたものの、結局はお金が集まらず頓挫してしまったのだけれど、今だとクラウドファンディングもあって結果は違っていたかもしれない。 ともかく打ち合わせのためにニューヨークへ行った。

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          第14回 北京のスラム街で食べたチョウザメの清蒸(後編)

          チョウザメというのはキャビアとなる卵を宿す魚だけれど、大きなものは悠に人間を超えるくらいの大きさになる。 乱獲によって絶滅が危惧されていて、その昔、4メートルのチョウザメがいたという話もある。いわば古代魚であり、太古の昔からその姿を変えずにこの地球で生きてきたが、新参者の人間に捕獲されすぎて、今は養殖で生きながらえ、それどころか日本の熱帯魚店に行けば、10㎝ほどの稚魚も売られている有様である。

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          第14回 北京のスラム街で食べたチョウザメの清蒸(後編…

          第13回 北京のスラム街で食べたチョウザメの清蒸(前編)

          あれはいつのことだろうと調べてみると、北京オリンピックは2008年とある。その数年前、北京はオリンピックの準備をしていた頃だから、2004年あたりのことだろうか。 10年前の北京と今の北京はまるで別物で、ともかく中国の10年の変化は凄まじく、当の中国人でさえ追いつかず、今を生きる若い中国人と例えば40代のそれとでは価値観が違いすぎるだけでなく、情報量も異なり、さらにその上の文化大革命を経験した世代となると、日本で照らし合わせれば平成と明治時代くらいの差があるのではないか。

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          第13回 北京のスラム街で食べたチョウザメの清蒸(前編…

          第12回 リヨンのローストチキン

          その土地に再び訪れることがあれば、必ずあれだけは食べておきたい、と強く思うもの、絶対的な必須であり、むしろそれがあるからその土地を再訪するのだとすら感じる根強い欲望、そんな思い出深いご馳走がそのひとにどれだけの数あるかが幸福を計るひとつの指標ではないか。

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          第12回 リヨンのローストチキン

          第11回 紹興の豆腐

          中国には腐乳というものがある。豆腐を塩と酒で発酵させたもので、チーズのようでもある。北京、広州、台湾などで作られているが、わたしは腐乳と言えば、紹興のものをこよなく愛していて、とにかく紹興がいい、紹興でなければならぬ、とまで頑固ではないけれど、やっぱり紹興がいい。 紹興と言えば「紹興酒」であり、あれは街の名前で浙江省にある。歴史が古く、中国史の春秋時代では「越」で、紀元前の話である。越の首都が「会稽」であり、これが今の紹興の地になる。会稽は山だけれど、その名を取った紹興酒が

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          第11回 紹興の豆腐

          第10回 母と食べた明石焼き

          家族の話というのは、得てしておもしろくないものである。どんな偉人の話でもおもしろくない。だからわたしが母の話をしても尚更おもしろくない。ただ、昨年の年明けに娘が生まれてから、その成長ぶりを眺めていると、不思議とすっかり忘却していた自分の子供の頃の記憶が次々とよみがえってくるのである。 わたしが育った地域には京阪電鉄が通り、その駅には今で言うショッピングモールがあった。現に今は完全に今風な巨大ショッピングモールに建て替えられていて、昔の面影はない。あの頃のショッピングモールは

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          第10回 母と食べた明石焼き

          第9回 うまい、まずい、は言わぬがマナー

          人間はおいしいものを食べたがる。おいしいものを食べると喜ぶ。だから、もっとおいしいものを食べたいと思う。 つまり、人間は欲深い。

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          第9回 うまい、まずい、は言わぬがマナー

          第8回 尿瓶で飲んだシャトー・オー・ブリオン (後編)

          装飾の中に本質があるのか、本質がない装飾を虚飾と呼ぶのか、本質さえあれば装飾は意味を成さないのか、わたしには答えが出ない。 どれも正解のように思えるときもあれば、やはり間違っていると思えるときもある。

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          第8回 尿瓶で飲んだシャトー・オー・ブリオン (後編)

          第7回 尿瓶で飲んだシャトー・オー・ブリオン (前編)

          フランスでは様々な地域でワインが造られている。その中でもボルドーとブルゴーニュは特別で、名だたるワインはこの2地域から産出されている。 ブルゴーニュではロマネ・コンティ、ラ・ターシュ、エシェゾーなどがずば抜けていて、畑も小さく生産量が少ないものだからお値段はとても高くなる。 対するボルドーは何と言っても5大シャトー。シャトー・ムートン・ロートシルト、同じくロスチャイルドでシャトー・ラフィット・ロートシルト。さらにシャトー・マルゴー、シャトー・ラトゥールで、唯一メドックでな

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          第7回 尿瓶で飲んだシャトー・オー・ブリオン (前編)

          第6回 猫とのご馳走、この幸せ

          わたしは猫が好きである。とても好きである。とてつもなく好きである。好きで好きでたまらない。猫中毒という言葉があるのなら、自分はそうだと思う。とにかく猫が好きで、とにかく猫が大好きなのである。 そんな猫中毒はわたしだけではなく、猫好きであれば誰しも同じ具合であって珍しいものではない。そういうものなのである。猫が好きなひとは皆、同じなのである。 さて、この美食エッセーは舌の上だけの「美味しさ」を扱うものでなく、食の周囲にあるもの、舌以外の感性、経験、シチュエーション、そうした

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          第6回 猫とのご馳走、この幸せ

          第5回 失敗の料理が高評価である不思議

          「おいしさ」というのが何なのか、実のところよくわからない。本当においしいものなどあるのだろうか? そんなことをよく思う。 わたしの妻は中国人で、一歳半を超えた愛娘と栃木で暮らしている。週に一度ほど愛車を飛ばしてそこへ行くのだけれど、栃木では大抵、わたしが料理を作る。 先週、こんなことがあった。

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          第5回 失敗の料理が高評価である不思議

          第4回 結婚式で盗まれたスッポン

          自分がまるで別人だと思えるほど昔のこと。しかし、実は年数としてそれほど昔でもないことに気づく。 それは着物を着てトランスジェンダーをやる前のことだから、まるで別人のように思えるだけで。 中国の浙江省のその村は紹興酒の里であり、つまり紹興酒とは「紹興」という街の名であり、日本で有名な歴史的人物と言えば、『阿Q正伝』や『狂人日記』を書いた魯迅であり、彼の生まれ故郷の地である。 魯迅は好きな作家であったし、その代表作は岩波文庫で読んでいたし、何よりも紹興酒は好きだし、しかしそ

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          第4回 結婚式で盗まれたスッポン