二年前の日記 11/12

2017/11/12

 代々日本の政権は、アメリカべったりのいわゆるアメポチであると言う者は多い。自分としてもそれは否定しないが、すべてあらゆる面において必ずそうであると思い込んでいると、いろんなことを見誤るのではないか。

 もはや忘れかけている人も多いかも知れないTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の参加11カ国が協定の発効に大筋で合意した。ちなみに今後はCPTPPという名称になるらしい。

 内容については各業界によって立場も意見も違うのだろうし、一概に日本国民にとって良いか悪いかは判断できないが、海外の物が多少なりとも安く手に入る可能性があるというのは消費者の立場からすると助かるように思う。

 このTPPはもともとアメリカが進めてきたものだ。しかしトランプ政権となり、アメリカは脱退してしまった。日本が単なるアメリカのポチなら、アメリカが一抜けた時点で仲良く脱退しても良かったのかも知れない。しかし日本はそうしなかった。そうせず残った11カ国をまとめ――もちろん日本だけが頑張った訳ではなかろうが――何とかかんとか新協定発効への道筋を明らかにできる段にまでこぎ着けた。

 カナダは閣僚会合では大筋で合意したが、首脳会合では反発したという。よってまだ本当に新協定が発効できるかどうかは未定である。しかしここまで来た努力は無駄ではあるまい。近い将来何らかの果実を実らせるだろう。少なくともアメリカが駄目と言ったら何でもかんでも右に同じく駄目、という国ではないと示せたことは意義がある。別に誇りだのプライドだのという言葉を持ち出すつもりはない。日本も意外と普通の国であるということだ。


 トルコでは昨年クーデター未遂があった。トルコ政府が、と言うよりエルドアン大統領がその首謀者と主張しているのが、フェトフッラー・ギュレン師である。ギュレン師は現在アメリカに亡命中。トルコはクーデター未遂以降、ギュレン師の身柄を引き渡すようアメリカに催促し続けている。

 アメリカは中東での作戦行動のためにトルコ国内の空軍基地を使いたい。しかし一度受け入れた亡命者を証拠もなしに捕らえてトルコに引き渡したりしたら、威厳も信用も失墜するのは明白である。どうなるのだろうと注目はしていたのだが、意外なところで進展があった。

 ロシアが昨年のアメリカ大統領選挙に介入したとされる疑惑の捜査をしているマラー特別検察官が、フリン前大統領補佐官の周辺を調べているとき、彼と彼の息子が1500万ドル(約17億円)と引き換えにギュレン師をトルコに引き渡す計画に関与している情報をつかんだらしい、とウォールストリート・ジャーナルが報じた、とCNNが報じている。

 伝言ゲームのようなのでどこまで正確な情報なのかは不明だが、とりあえずフリン氏は否定しているようだ。まあ肯定はできまい。これが本当なら大スキャンダルだ。ロシアの問題に決着がつかなくとも、この問題で確実な証拠でも挙がった日には、それだけでトランプ大統領の支持率は今よりさらに激減するだろう。下手をすれば弾劾の声も上がりかねない。そして追い詰められたトランプ大統領が起死回生を狙って北朝鮮を爆撃でもしたりしたら、えらいことである。

 ことほど左様にアメリカの国内問題は国内問題で終わらない。我々の命にまで関わって来かねないのである。そう考えると、この疑惑は解明されぬまま有耶無耶になってくれた方が日本人としては有り難いような気もするが、果たしてどのような決着を迎えるのやら。


 バチカンのフランシスコ法王が、信者のスマホ使用に苦言を呈した。

「ミサの最中にスマホで撮影してんじゃねーよ」

 ということである。しかもこれ、信者だけではなく司教もやっているとのことで、

「ミサはショーじゃねーよ」

 とも言っている。要するにこれ、

「俺を珍獣扱いするんじゃねーよ」

 と言いたいのだろう。まあ限りなく珍獣に近い存在ではないかという気もするが、法王は人間である。そう、ただの人間である。受け入れられないものは受け入れられない。理屈や礼儀以前の問題である。右の頬を打たれたら、左の拳で殴り返すことだってある。そういうものなのだ。


※ CPTPPは2018年の12月30日に11カ国の間で発効しました。事前にはTPPはこんな利点がある、こんな問題があるといろんな声を聞いていたのですが、実際発効されて1年近く経った現在、すでに空気ですよね。恩恵も被害も受けていないと感じている人、というかもう忘れてる人の方が多かったりしませんか。まあ、目立てば良いというものでもないでしょうから、それはそれで構わないのかも知れませんが。

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