二年前の日記 1/9

2018/01/09

 7日、BBCの北京支局で中国編集長をしていたキャリー・グレイシー氏が辞任した。男性である北米編集長と中東編集長が、女性である自分や欧州編集長よりも50%以上高い給料を得ていたことに落胆したのが理由だという。彼女はブログにこう書いている。

「BBCは受信料を支払う皆さんのものです」

「BBCが平等法に違反し、公平で透明性のある給与体系を求める圧力に抵抗していることを、皆さんは知る権利がある」

 ここまで書いておきながら、彼女はBBCを辞めないという。そしてBBC側も彼女に放送ニュース編集局のポストを用意しているのだそうな。日本の企業なら間違いなく追い出されているところである。更に言うなら、今回のこの問題を、何処よりも詳細に報道しているのが、他ならぬBBCのサイトであるという事実を見過ごしてはいけない。

 例えば、これが日本の公共放送であるNHKならどうなるか。受信料の徴収人の起こすトラブルについては報じることすらなく、局員の過労死についても知らぬ顔を通そうとしていた我らがNHKならば、もし同様の問題が起きた場合、今回のBBCのような対応が取れただろうか。

 別に外国が何でも良い、何でも正しい、何でも進んでいると思っている訳ではない。NHK以下の公共放送も世界を見渡せばたくさんあることだろう。だが少なくともNHKは最高の報道機関ではない。「最高じゃなきゃいけないのか」という声もあるかも知れない。いや、別に構わないとは思う。どこぞの国会議員ではないが、「2番手3番手で良いだろう」と国民の多くが思うのなら、それはそれで構わないのではないか。世界に対して胸を張れるような組織ではなくとも良いのだ、というのが受信料を払う「皆様」の意見だというのなら、今のままでも充分であるとも言える。ただ、もしそうではないのなら、今回のBBCの対応は、NHKにとって非常に示唆に富んだものであるに違いない。

 自分は受信料を払う者の端くれとして、NHKには変わってもらいたいと願っている。とりあえず受信料を下げる議論を行って欲しいと思う。現状はあまりに儲けすぎだ。国民の生活を圧迫して公共放送もへったくれもあるか。そのうち大きな反動がくることをNHKは覚悟すべきである。

 ……なんかBBCの話から随分ずれたように思うのでこれくらいにしておく。とにかく報道機関はもう少し身内に厳しくても良いように思う。


 7日、バチカンにあるシスティナ礼拝堂で、毎年恒例の幼児洗礼式を行ったローマ法王フランシスコ1世は、集まった母親たちに対し、「もし赤ちゃんがむずかるようなら、遠慮なくその場で母乳を与えるように」と促したという。

 うん、まあその場にいるのが女性だけなら、母親たちも気軽におっぱい放り出して授乳するのだろうと思うのだが、実際そうではあるまい。やはり現代においてこういう行事を続けていくのであれば、周囲から見えない授乳スペースを用意すべきだ。

 法王側としては、「授乳は神聖なものであり隠す必要などない」とでも言うのかも知れない。だがそんなカビの生えた古い理屈ではもう立ち行かないのである。いかに古い宗教であるとはいえ、もう少し現代的なセンスを取り入れる必要があるのではないか。クリスチャンですらない自分の意見など、余計なお世話なのかも知れないが。


 9日、日本カヌー連盟などが発表したところによると、昨年9月に行われたカヌー・スプリントの日本選手権で、鈴木康大選手(32)が、ライバルである25歳の選手のドリンクに筋肉増強剤を入れるという、何ともはや絵に描いたような悪巧みをしたのだが、見事にそれがバレてしまった。馬鹿な話である。

 連盟の聞き取り調査に対し、鈴木選手は「焦りがあり、力では勝てないと思ってやってしまった。本当に薬物の反応が出るとは思わなかった」と述べたそうだが、実はこの選手、以前から他の選手が練習や競技で使用する道具類を盗むといった妨害行為を繰り返していたという。札付きではないか。「反応が出るとは思わなかった」などという言葉はまったく信用できない。日本カヌー連盟はよく今まで放置してきたものだ。今回のことも起こるべくして起きたと言えよう。

 日本アンチ・ドーピング機構は鈴木選手を8年間の資格停止処分とする方針。競技に復帰出来るのは40歳になる。それはもう事実上競技生命が絶たれたと言って良いだろう。まあ自業自得である。日本カヌー連盟も独自に選手や関係者を処分し、再発防止策を講じるらしいが、どこまでできることやら。

 なお被害を受けた25歳の選手であるが、こういう事情であるから当然処分はされない。ただ、日本選手権で出した記録は抹消されるという。その時点で踏んだり蹴ったりと言えよう。まあこれにめげずに東京オリンピックを目指して頑張って欲しい、と無責任な部外者としては思うところである。


 オプラ・ウィンフリー氏といえば、25年続いたアメリカのTV番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」の司会者として有名である。アメリカ人なら誰でも知っている、日本人でも一度くらいは名前を聞いたことがあるという者も多い、世界的な有名人なのだが、彼女が2020年の次期アメリカ大統領選挙へ出馬するのではないかという話が浮かんでいるそうな。出るとしたら民主党からになる訳だが――共和党は普通ならトランプ大統領が再選を目指すはず――アメリカ政界も人材不足なのだなあ、と思う。まあ日本も言えた義理ではないのだが。

 オプラ・ウィンフリー氏は優秀な人物なのだろうと思う。でなければ25年も看板番組を続けられないだろうし、大統領候補に、という声も今回が初めてではないらしい。ただ、頭が良ければ大統領ができるというものでもなかろう。現に今、あまり頭の良さそうではない人物がアメリカ大統領をやっている。いや、彼は彼で優秀なのかも知れない。本人曰く天才らしいし。だが政治に必要な賢明さとは違う優秀さである。

 オプラ・ウィンフリー氏もその点では同様ではないか。別に餅は餅屋と言いたい訳ではないのだが、やはり議員とか、市長とか、知事とかいった実務経験を積んだ上で大統領を目指した方が、問題は少ないのではないだろうか。2期続けて政治経験のない人物がアメリカ大統領に就任するというのは、ちょっとチャレンジにもほどがあるだろう。世界に与える影響が大きすぎる。それならまだヒラリー・クリントン氏に再挑戦させた方がマシなのではなかろうか。

 もちろん、まだ候補になるかどうかもわからない段階なので、あれこれ言っても始まらないのだが、もうちょっと何とかならんもんかという気がしてならない。最低限アメリカを、そして世界を、どんな方向に持っていきたいのかという明確なビジョンを持っている人が大統領になるべきではないだろうか。オプラ・ウィンフリー氏も大統領選挙の候補に正式に決まったらそのビジョンを公表するのかも知れないが、それでは後出し臭い。アメリカの大統領にどんな人物が就任するのかは、日本にも大きな影響を与えるのだ。前もって教えておいて欲しいところである。


※ とりあえず現時点ではオプラ・ウィンフリー氏の大統領選出馬はないようです。て言うか、民主党はちゃんと候補を一人に決められるのでしょうか。私はトランプ大統領は嫌いですが、普通に考えてこのまま行けばトランプ氏は再選されるでしょう。まあ、民主党に政権を獲られるよりはトランプ大統領の方がマシ、という意見もあるのでしょうし、それはそれで理解できない訳でもないのですけれど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?