二年前の日記 2/23

2017/02/23

「他人の不幸は蜜の味」とは言うものの、あまりガチに不幸な話をされると、蜜の味どころかドン引きしてしまうのが現実ではあるが、そこそこに悲惨な話を目にすると、笑えて来てしまうのもまた現実ではある。

 南米ベネズエラのクロスカントリースキーの選手であるエイドリアン・ソラーノ氏が、フィンランドで行われるノルディックスキーの世界選手権大会に向けた練習のために空路スウェーデンに向かっていたところ、トランジットで立ち寄ったパリの空港で拘束され、強制送還されてしまった。どうやらベネズエラからの不法移民だと思われたらしい。彼を捕えた警察はこう言ったそうだ。

「ベネズエラにスキーは存在しない」

 いやいやいや、マジか? 本当にそんなこと言うか? と思うのだが、同行したソラーノ氏のコーチがそう証言しているのだから仕方ない。その情景を想像してみると、酷い話だなとは思うものの、何だか無性に笑えて来る。

 そう言えば『クール・ランニング』という映画があった。これはドミニカが初めて冬季五輪のボブスレーに参加したときのエピソードを題材にしたコメディであるが、警官の頭の中にはこれがあったのかもしれない。まあ文化の都パリの警官といえどこの程度であるという意味で、かなり笑える話なのは間違いない。ソラーノ氏には大変失礼なのだけれど。

※ いまベネズエラはマドゥロ大統領とグアイド国会議長(暫定大統領)との間で緊張が高まって大変な状態ですが、この当時はまだこんな話で笑っていられました。ご本人にとっては笑い話ではないのでしょうけど。

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