二年前の日記 11/14

2017/11/14

 何事にも限度はある。とは言われるものの、その限度というものは人によって違うものだ。だから場合によっては突拍子もないことが起こる。

 いま大相撲の九州場所が開かれているが、平幕の貴ノ岩関が初日から休場している。頭蓋底骨の骨折や頭部裂傷、脳震盪などのため2週間の治療が必要という診断書を相撲協会に提出したという。またそんな激しい稽古を、と思ったら違うようだ。

 先月26日、秋巡業中にあったモンゴル人力士の親睦会で、横綱の日馬富士関が貴ノ岩関をビール瓶で殴ったのだそうな。昔のドラマのアクションシーンなどではビール瓶で頭を殴って瓶が砕け散ったりしていたが、あの瓶は飴細工であり、ガラス瓶ならあんな簡単に割れたりはしない。本物のビール瓶は人を殴り殺せるレベルの鈍器である。そんなものを、しかも相撲取りのパワーで振り回されたりしたら、えらいことになるのは当然だ。よく2週間の怪我で済んだなと思う。

 まあ横綱といえど人間だ。カチンと来ることもあるのだろう。まして力と力をぶつけることで飯を食ってる世界の人間である、つい手が出てしまったのだとは思う。酒も入っていたのかも知れない。だがそれでもだ。ビール瓶で殴るというのはちょっと思慮が足りなさすぎる。相撲取りならこれくらい大丈夫だろうと思ったのかも知れないが、結果的には全然大丈夫ではなかった。貴ノ岩関は休場、日馬富士関も今日から急遽休場となった。

 ただ、この事件で日馬富士関のこれまでの貢献がなかったことになるのは避けてもらいたい。白鵬関と並んで近年の相撲界を引っ張り支えてきた功労者である。罪は罪として罰はあって良いと思うが、やれ横綱の品格だ何だと言い出して、引退に追い込むような真似だけはしないで欲しい。それだけが気がかりである。


 朝鮮半島の軍事境界線にある板門店で、北朝鮮の兵士が韓国に亡命したのだそうな。車で乗り付けて、徒歩で境界線を越えたらしい。取り上げたテレビのワイドショーなどでは、「板門店に配置されるのはエリートだけなのに、何故エリートが亡命をしたのか」みたいなことを言っていたのだが、北朝鮮でエリートって、あんまり値打ちないだろう。エリートがエリートたり得るのは国が豊かであってこそだ。国が貧しければ、いくらエリートだろうと富は得られないし、権力も振るいようがない。

 エリートだからこそ、国境線の向こうには豊かさがあることを知っているからこそ、豊かな国へ逃げたいのではないか。もちろん、「だから北朝鮮は崩壊する」などと簡単には言えないのが頭の痛いところではあるが、こういう逃げ方もあるということが北朝鮮側の兵士に広く伝われば、多少は面白い情勢になるかも知れない。なるかな。なってほしいけどな。


 自分は酒は飲まない。ビールならそこそこ飲めるが、金がないので飲まないのだ。しかし若い頃はビールすら飲めなかった。飲んでもすぐ吐いてしまっていた。それが長い間薬を飲み続けた結果、肝臓が馬鹿にでもなったのだろうか、ビールが飲めるようになってしまった。だがそれでも日本酒やワインは飲めない。焼酎もウィスキーもブランデーもウォッカも飲めない。何が美味いのかさっぱりわからない。まあ今更そんなことわからなくてもどうでもいいと思っているのだが。

 かつてグルジアと呼ばれた国、ジョージアで発掘された8000年前の陶器の壺を分析したところ、ワインを醸造した痕跡が見つかったという。ワインの醸造ということに限れば、イランで見つかった7000年前のものがこれまで最古だったらしい。単に醸造酒を作った痕跡であれば、9000年前に中国で米から酒を作ったものが最古であるという。世界で2番目に古い酒の醸造の痕跡を発見した訳だ。

 何とも、人間は古代から酒を飲み続けてきたのであるな。自分にはまったく理解できないが、人類が歴史を紡ぐためには必要なものだったのかも知れない。だからといって自分が飲んでみようとは思わないのだが。あと他人に無理矢理酒を飲ませようとする馬鹿は人類にとって必要ないと思うので絶滅してくれると助かる。


※ 日馬富士関は結局、引退に追い込まれました。実際のところ何がどうだったのか良くわからないままの引退だったような印象があります。貴ノ岩関も引退しましたしね。日本相撲協会とか横綱審議委員会とかには日本の悪い部分が凝り固まっているような気がしてなりません。

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