二年前の日記 1/2

2018/01/02

 年賀状にお年玉、他に何があるだろう。昔なら凧揚げとか羽根つきとかコマ回しがあったのだが。とにかく、正月には恒例の行事が何かとあるものだ。

 東京消防庁の管轄内だけで、元旦に餅を喉に詰まらせて救急搬送された人が15人に上ったのだそうな。2人が死亡し7人が重体だそうだが、これも年始の恒例行事といえよう。

 餅が危険だと言われ始めたのはここ5年10年の話ではない。もう30年や40年は言われているはずだ。小さな子供や老人に餅を食わせてはいけない。法律で禁止されなければ理解できないのだろうか。餅は人間に必須の栄養源ではない。餅を食わなくても人は生きていける、と言うか、どっちかと言えば食わない方が長生きできるだろう。もういい加減こういう馬鹿な騒ぎはなくさなければなるまい。

 確かに餅は美味い。砂糖醤油をつけて、きな粉をつけて、あんこを巻いて、海苔で包んで、あるいは焼いても煮ても揚げても美味い。食いたくなる気持ちはわかる。わかるが、命をかけてまで食うほどのものかどうか、一度冷静になって考えてみるべきだろう。

 まあ自分は食うのだけどな。


 北朝鮮の金正恩委員長は昨日の新年の辞で自分の机の上には核のボタンがあると豪語した訳だが、その同じ口で韓国の平昌冬季オリンピックに代表団を派遣する用意があるとも表明した。これを南北関係改善に意欲を示したと報じているマスコミもあるのだが、頭大丈夫かと思わざるを得ない。この場合「オリンピックに選手を出してもいいよ」というのは「だから金をよこせ」と言っているに等しい。マイルドなカツアゲである。何故北朝鮮の言葉を真に受けるのか。

 と思っていたら、真に受けたのは日本のマスコミだけではなかった。韓国政府まで真に受けてしまっていた。韓国大統領府の報道官は昨日午後の記者会見で「南北当局間の面会提案を歓迎する」と述べ、南北協議に応じる考えを示したという。

 わかってやっているのか。まだ話し合えば何とかなると本気で考えているのか。これまでさんざんやってきて出来なかったことが、何故急にできるようになると思えるのだろう。

 また報道官は、北朝鮮の核問題を「平和的に解決する」とも述べたという。どうやって。具体的にどんな道筋を経ればそんなことが可能なのだろうか。まさか話し合う以外の方法を考えていない訳ではなかろうな。

 確かに戦争は怖い。戦争を避けるためにあらゆる手を尽くして欲しいとは思う。しかしそれは北朝鮮に金を渡してミサイルをどんどん作らせろと言う意味では全くない。

 いま国際社会は協調して北朝鮮に対し制裁を科している。その意味を考えたことがあるのか。ただでさえ中国ロシアが抜け道を作って北朝鮮を支援しているのに、半島問題の当事者である韓国までが北朝鮮を支援したら、何のための、誰のための制裁なのかという話になるだろう。サミットの集合写真で大統領の立ち位置を気にする国が、何故国際社会における自らの立ち位置に鈍感なのか。まったく理解に苦しむ。

 経済制裁が意味を成さず、北朝鮮がその軍事力を増強するとなれば、アメリカが事態解決のために軍事的手段に出る可能性はいまより高まるかも知れない。韓国は非常に危険な判断をしようとしている。アメリカとの同盟はいったい何のためにあるのか、もう一度考えた方が良いのではないだろうか。


 レバノンは、今話題のイスラエルの北隣の国である。その首都ベイルートの郊外の都市ゴーベイリーで撮影された動画が市民の怒りを呼んでいる。ゴーベイリーには野犬がいるのだが、その犬たちが餌の容器の周囲で泡を吹いて痙攣して倒れ、それをゴーベイリーの職員がトラックに放り込むというのが動画の内容だ。おそらく毒の入った餌を食べさせたのだろうその映像を動物保護団体が公開したところ、動物虐待であると激しい怒りの声が市民から沸き起こったという。

 複雑な思いのするニュースである。レバノンは長い内戦が終結し、その回復の途上にある国だ。外務省の海外安全ホームページでもレベル1から4の危険情報が出されている。決して豊かな国とは言えない。正直、犬の生き死にどころではない人々がまだたくさんいるに違いない。なのにそんな状態でも、動物の虐待に対して怒りの声を上げられるレバノン国民の意識の高さは素晴らしいと思う。

 一方、狂犬病の封じ込めはレバノンに限らずどこの国にとっても重要な問題である。何せ人間が罹患すれば致死率は100%に近い凶悪な病気だ。何としても発生を抑えなければならない。そのためには人間に身近で感染リスクの高い犬を制御下に置く必要がある。つまり飼い犬には狂犬病ワクチンを接種し、野犬は捕獲し殺処分するしかない。もちろん国民の生活に余裕があるなら、行政側に捕獲された犬を助けることも可能だろう。しかしそれを行う愛護団体やシェルターがないのなら、野犬の殺処分は国民を狂犬病から守るために必要なことなのだ。

 もちろん、何でもかんでも殺せば良いというものではない。家の外をうろついている犬がすべて野犬とは限らない。中にはうっかり外に出てしまった飼い犬もいるだろう。だから普通なら捕獲された犬は施設に収容され、一定期間の後に殺処分される。だが中にはそれが面倒臭いと思う職員もいるかもしれない。それは許されるべきではないが、かといって非難する資格が自分にあるのかと考えると、臆してしまうのが正直なところである。

 自分も犬は飼っている。その犬が、ベッドの上で腹を出して眠りこけていられるいまの暮らしは、無数の犬たちの屍の上に成立しているものであることを思わずにはいられないからだ。狂犬病の心配のない平穏な生活を享受しているということは、間接的に犬を殺し続けてきたということに他ならない。その十字架はすべての人が背負うべきものではないか。このゴーベイリーの職員のやったことを一方的に非難出来るほど、我々の手は綺麗ではないのだ。

 今回ゴーベイリーの当局者は、一部の職員が勝手にやったことであって、当局には一切責任はないと言っているようだが、レバノンの内相はゴーベイリー当局を捜査するよう指示を出したという。また大統領も自身が飼っている犬と写った写真を公開するとともに、コメントを出しているらしい。犬を殺した職員も、まさかこんな大事になるとは思ってもみなかっただろう。これをきっかけに、不幸な死に方をする犬が――レバノンに限らず世界中で――少しでも減ってくれると良いのだけれど。


 イランの反政府デモはまだ収拾しない。死者は14人にまで増えたという。デモの様子はYouTubeで見られるが、ロウハニ大統領やハメネイ師の写真に石をぶつけたり、破ったり、踏みつけたり、かなり危険な状態になっているように思える。政府はインターネットを一部遮断するなど締め付けを強化しているとは言うものの、効果が出ているのかは不明である。政府側には相当思い切った譲歩が必要なのではないか。イランの国内がこれ以上混乱すれば、シリアやイラクの混乱にも一層拍車がかかることだろう。何とかしてデモがこれ以上過激化しないための方策を考えて貰いたいものだ。まあイラン政府が譲歩したとしても、ハメネイ師が何と言うかはわからないし、革命防衛隊がどう動くかもわからないのだけれど。


※ 新年明けましておめでとうございます。この日記もキリの良いところで、年末に終了しようかとも思ったのですが、まあそんなに忙しい訳でもありませんので、当面続けようかと。そんな訳で本年もよろしくお願い致します。

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