◆経済が輝いていた時代

今の日本は経済戦争で一人勝ちし、貿易黒字は膨れ上がり続け、円の強さはとどまるところを知りません。が、こういったことを素直に喜んだり誇らしく思ったりする人はもういなくなってしまいました。
貿易黒字の発表される月になるとアメリカの顔色をうかがい、円高は不景気をさらに深刻化させる。経済の発展は私たちを不幸にした、と考えてしまう時もあります。
いくらGNPが上がっても円高が進んでも、私たちの生活は代わり映えしません。日本国内にいる限り、自分たちが豊かになったとは思いつかないぐらいです。

この感覚を三十年前と比べてみましょう。
GNPが世界で五位になった、三位になった、二位になった、と上がるたびに新聞は大騒ぎ。国民は心から喜んで誇らしく思いました。戦争に負けて以来、ペッチャンコになってしまった日本が、どんどん立派になっていくのが自分たちのこととして誇らしかったのです。
だから、それを励みにして、国民はよく働きました。
死に物狂いで働くことが、自分たちの生活を向上させ、日本を立派にすることと直結していたからです。
勤勉は美徳。
まさか、よく働くことが他の国の経済を圧迫し、環境を破壊し、資源を浪費することだなんてだれも考えつかなかったのです。

しかし、今の私たちは違います。
製品を大量生産することに、なんとなくいかがわしさを感じてしまいます。より安く原材料を買い叩いたり、より安い賃金で他の国の人をこき使ったり、より無駄のない清潔な工場の生産ラインを整えたりすることに情熱を持てません。大げさな言い方をすると、そんなことに「正義」を感じられないのです。
そんなことのために、自分の大切な時間をたくさん使うなんて!
残業も休日出勤も、そんなことのために頑張る理由が一つもなくなってしまったのです。

支援していただけるなんてチョー嬉しいんですけど^^笑