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タイムトライアルから得るもの

『速さが正義』の特殊なポジションをとるタイムトライアルバイクを乗りこなす姿は、サイクリストが目指す最終形ともいえる美しさがあります。

かつてロード界に渦巻いた負の歴史によって、到底美しいとはいえないポジションと尋常ではないスピードで疾走する怪物たちが、自転車競技の進歩を遅らせたのは事実です。

研究が進んだ昨今は、機材、ポジション、テストと鍛練、ペーシング、そして嗅覚ともいうべき感覚という『自転車競技の基礎』を徹底的に突き詰め1秒を削り出します。

そんな、基礎の徹底ともいうべきタイムトライアルから得るものはすべて非常に有用です。

TTスペシャリストとはいえない私の変遷を参考に話を進めていきましょう。

股関節から前傾をつくる

今回はポジションの変遷を胸部と腰部に着目して見ていきましょう。

2012

2014

2015

2016

人の各関節には役割によってスタビリティ(安定性)関節とモビリティ(可動性)関節が交互に配置されています。

TTバイク上でパフォーマンスを維持しながら、深い前傾を可能とするにはモビリティ関節の股関節と胸椎の可動性がカギとなります。

スタビリティ関節の腰椎から前傾をつくっている初期のポジションは空力的にも、高いパワー域での安定性にも欠けていました。

股関節の硬い私がTTポジションをつくる際には、相応のエクササイズと近年普及しているショートサドルが必須となります。

胸から頭を落としこむ

流線型のタイムトライアル用ヘルメットが美しくフィットし、空気を切り裂くイメージは非常に重要です。

前を向くには頭を上げなければいけませんが、それは空気の壁に真っ向からぶつかることを意味します。

そこで、頭から肩甲骨を胸の方へ落としこむことによって、ヘルメットのテールと背中の美しいラインを生み出します。

ロードへの応用

これらの身体の使い方から導いた走りはすべて、ロードバイク上でも変わりません。

高価なタイムトライアル用機材を手にし、そのままRETULなどの恩恵を受けられる人はそう多くないでしょう。

なぜなら、バイクの走らせ方は誰も教えてはくれないからです。

また、理想のポジションはゴールのようで、スタートラインでもあります。

今現在の乗り方、走らせ方になった理由に気づくと、自分の身体というものを多少理解できるきっかけになるかもしれません。

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