プログラマが半年マーケターをやるとどうなるか
実は、ここ半年、会社でマーケターの仕事をしていました(継続中)。
何をやっていたかというと、具体的にはto Bのイベント集客の領域。
いわゆるデジタルマーケティングと呼ばれる分野です。
今回はその振り返りを書きます。
また壁にぶち当たりたくなった
プログラマを長くやってると、なんとなく潰しが効いてしまいます。新しい言語、フレームワーク、ライブラリ。広がりはあるものの自分の中である程度、体系化されて習得する難易度が下がってきます。広く浅い領域に関してはなんとかなる。
業務で、とてつもなく難しい技術課題に立ち向かうことは割合少なく、だましだましなんとかなってしまいます。
自分の性格上「仕事で必要なことだけ、ソコソコにやる」ので、技術がソコソコの浅さで止まっている感覚があります。かといって特定の技術領域に心血注ぐ、燃えるような好奇心も直近は持てていませんでした。
子供も出来て家庭もあり、可処分時間も減り、なんとなく守りに入ってる気がして嫌になったのも相まって
「どうなるか分からないけどやるしかない」状況でチャレンジしたくなりました。
社会人になりたて、プログラミングで飯が食えるかも分からない時と同じ、窮地に立ちたいなと。そこを突き抜けたほうが面白いなと思いました。
それ踏まえ、チャレンジ出来ること、やりたいことを探していました。
それがマーケに取り組むきっかけでもあります。
マーケターをやるモチベーション
僕の今いる会社は、マーケターやセールスなどで職が分かれており、従事するプロダクトの性質上、マーケティング観点を意識することが多くありました。
そのため、マーケターの方の働きを間近に感じる機会も多く、徐々にリスペクトが増していきました。
「立場が人を作る」なんて言葉がありますが、マーケター視点を得ることがさまざまな理解を促進するのでは。僕もこういう力をつけたい。開発にもその知識を活かしたい。そんな意欲から、この領域にチャレンジしたい気持ちが芽生えてきました。
その意志を伝えたところ、ド素人の自分ではありますが、マーケの領域にイベント集客で関わらせてもらえることになりました。
個人の成長という点もありつつ、そのチャレンジ自体が、組織として可能性を広げることにもなるかもしれない。
そういう経緯で「開発とマーケの兼務」が始まりました。
半年間やってみた、その結果
具体的なところは伏せますが、イベント単位で千〜数千のコミット集客目標があり、4〜5回担当しました。結果、なんとかすべて達成することが出来ました。
まだまだ課題だらけですが、達成できたことは1つ良かったなと。
自分自身が頑張ったというのもありますが、ひとえに社内のメンバーなど、他者の協力なしでは出来なかったことなので、本当にありがたいです。
改めて、マーケティングとは何か
具体的なHOWの部分は、あまり詳細を言いにくいので割愛しますが、総じて言えることは
いかにユーザーの視点で考えるか
言葉に魂を込めるか
計測・分析し、戦略を立てロジックをどのように入れ込むか(ターゲティング、視認性、独自性、訴求観点など)
トライアントエラー、PDCAサイクルを回すか
が大事であるということ。それを切に思いました。
「XXは、マーケティングが上手いだけ」。そんな言葉を時々見かけます。でも、マーケティング一つとっても、難しい分野なんです。
マーケティングが上手い ≒ そのものの良さをユーザーに訴求してユーザーの行動が変わるということと理解しています。
よくよく考えると、それってスゴいことだなと思うわけです。マーケターとして取り組んだ今だからこそ、より一層そう感じます。
経験を通じて開発の何が変わったのか
「マーケの話は分かった。でも実際、開発に役立ったの?」という声が聞こえてきそうですが
マーケとしての取り組みが活きた点は、たくさんありました。
本記事では、次の点に絞って書いてみます。
ユーザーの旅を知る
他チームを知る、現場を知る
開発以外の「視点」を知る
推進力と、かけ合わせ
1. ユーザーの旅を知る
旅。ユーザーには旅があるなと気づきました。
例えば開発する機能やUI であったり、UX(ユーザー体験)などにも直結してくる話です。つまり、どういったシチュエーションでサービスにユーザーが入ってくるか。やってきたユーザーの行動を変えるような機能や見た目、UIの動きをいかに作るか。
流入するユーザーの状況ごとに、機能やUIの必要十分も変わってきます。言い換えれば「あなたの考えるユーザーとは一体誰か?」ということです。
イベント集客の場合は、ユーザーが自サイトに訪れるよりもさらに手前の部分。つまり、広告です。
何の広告を見てクリックしたユーザーか
何の情報を求めているか
何が心を動かすのか
広告ごとに変わってくる状況をイベントのサイトは吸収しなければいけません。つまりサイトは、各流入の全てを包括する合流地点として汎用的(どの経路から来ても魅力的)である必要があるということ。その後に訪れるページも、ユーザーにとっては「地続き」な体験であるということ。
そういった発想や背景知識が増えるにつれ、開発の思考も変わってきています。
2. 他チームを知る、現場を知る
ここまで、マーケティングという分野自体の学びを主に書きましたが、現場に訪れたり、実際の利害関係者と触れ合ったりが増えたという点も大きいです。
別チーム、他職種のメンバー、お客さんと話す機会、接する機会が自然と増え、何に苦労しているか、何を重要としているかを更に感じ取ることが出来ました。
そのあたりも、自分の関わるプロダクトの解像度を上げるきっかけになり大変良かったです。
3. 開発以外の「視点」を知る
開発と別の職種をやってみて、別の視点だからこそ気づくことがたくさんありました。半年前を振り返ると、自分は開発のことしかわかっていなかったんだな、と痛感します(今もまだまだ浅いわけですが)。
視点が1つ増え、開発だけに閉じない、視点の切り替えみたいなことが意識できるようになりました。
4.推進力と、かけ合わせ
職種の違う働き方、動きをすることで自分の強みというのも、改めて認識することが出来たかもしれません。
エンジニアとして働く自分、マーケターとして働く自分、それぞれで仕事を前に進める「実行力・推進力」という観点が共通するという点です。
言ってしまえば、単純に仕事を坦々と進めるというだけなのですが、職種を変えてもそれを再現できたのは自分の自信になりました。
また、マーケティング知識と開発知識を掛け合わせたハイブリッドの人というのはあまり聞かないので、(誤解を恐れずにいうと)両方が分かるというのは今後 強みになってくるかもしれません。まだまだですが。
取り組んだことで出た課題
一方で、エンジニアとマーケターを兼務することで課題も出てきました。
コンテキストスイッチ
兼務のウェイト。バランス。振り分けの部分
開発に関わる時間が相対的に減ったというところ
大きくこの3つかなと思います。
1つ目に関しては、つまり、どうしても脳みそがクタクタになるというところ。それに加え、2つ目にあげたように、バランスが難しい。どちらか一方が忙しい時はどちらか一方がおろそかになりやすいという点です。
また、3つ目もしょうがないことですが、兼務にすることでどうしても開発自体に入れる時間は今までより減ってしまいます。
働き方的に、いかに短時間で成果を発揮するかというようなことが、求められるようになります。
結果、開発作業にプレッシャーがかかり、自分の成果を出すことに焦りもありました。
また時間が細切れになることで、「ここには自分は入らない方が良いか」というような迷い・ためらいも出るようになり、半端な形になることも増えたかなと思います。作業は任せるけど、意見だけは伝えるみたいな。ちょっと実行を伴わないようなタイミングもいくつかあって、自分としてもむず痒い感じでした。
自分の中の葛藤はさておき、この変化により
チームメンバーに負荷をかけることに関してはずっと申し訳なさがありました。業務内容そのものより、負荷やコミュニケーションについて特にずっと悩んでいます。今後も日々調整、改善をしていきたいところです。
これらについて、まずは自分なりの兼務の両立を目指して、体制を確立していきたいなと思っています。そしてチームからのフィードバックで磨きをかけていきたいなと思います。
今後の取り組みについて
やってみて改めて、今後もこの形を続けていきたいと思っています。
プログラマに関しては10年以上。ソコソコは やっていけているかなと思います。一方、マーケ領域に関しては、まだ半年しか取り組んでいません。「素人に毛が生えたレベル」というのは僕のことを言うんだと思います。ただ、仕事としてやるからには、プロとしての責任はしっかり持ってやっています。
僕の根本は、おそらく、「人の役に立ちたい、チームに貢献したい。組織やユーザーに貢献したい」みたいなところであり、そのために今必要なことやっているという感じです(なんか文字にしてみると大袈裟ですが)。そして、その中で自分の価値を最大限発揮出来れば良いと思っています。
自分が今、やりたいこと・好きなこと・価値を発揮できそうなことは、ソフトウェアエンジニアリングの領域、マーケの領域の両方です。
なので、叶うのであれば両方を突き詰めて混ぜていきたいと思いますし、それを武器としていきたいなとも思います。そこにとどまらず、更に発展して、他の領域も掛け合わせていければ面白いかなと思います。
これらが応援されるような自分でありたいし
それが認められるような組織、会社であってほしいなとも思います。
それを実現できるよう、チャレンジできる土壌を作りたいし、周囲に自ら働きかけていければな、というのが今のところの感覚です。
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