メキシコペソ 2月1週目 米国地銀危機の再燃はカンベンして

米地銀株急落

何故かあおぞら銀行がストップ安連続しているので気になってよく見てみるとオフィスビル需要減からの米国地銀経営危機。
FOMCと同日にニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)が2023年10~12月期決算発表、最終損益は2億5200万ドル(約370億円)の赤字で、株価が38%急落。業績悪化の主因は商業用不動産向け融資を中心とする保有資産の急速な劣化。これにつられて地方銀行の株価が急落で、米KBW地方銀行株指数は6%下落とのこと。

コロナ以降、サプライチェーンの再構築、北米製造復活もあり、虚業が衰退しているので流れとしては当然かと思っています。去年のシリコンバレー銀行の再来かどうかは現時点ではわからないので静観が正解の気がします。これに中国恒大もからんでくるので、昔だったら危機の円買一択なのですが、今は正直どう転ぶのかわかりません。こういうときは新興国下げでペソ安になりますが、ドル高円高ペソ安なら短期狙いのペソ円買いも有りかもしれないと思っています。

FOMC

今回のFOMCパウエル発言をテレビで見ていましたが、結論は利下げ開始時期は未定。金融アナリストの情報では「これ以上の利上げはない」との記述を目にしますが議事録を見るまでは疑わしいと思っています。もし、2月8日メキシコCPIが悪ければ、2月14日の米国CPIもリンクすると思うので来週のこの指標は非常に注目しています。インフレと紛争、いろいろな不安定要因満載で大統領選後まで利下げできないかもと思ってしまいます。

来週8日、メキシコ中銀政策金利会合がありますが利下げなしとして、どのような発言があるのかは気になります。ブラジルは12月に利下げに踏み込みましたが、表面上メキシコ経済は上手く回っているので米国利下げまでは利下げできないと想像しています。あと半年ぐらい今のスワップが維持できれば個人的には万々歳です。

年末に経済成長率が急失速

去年は景気のいい話の連続で、年初は2.1%ぐらいの成長予測から11月はメキシコ中銀でさえ3.5%の可能性有りと息巻いていたのですが、INEGIによると第4四半期は月次で0.1%、年率で2.4%(予想は3.0%)で流れが失速、最終的に2023年の年率経済成長率は3.1%で終わる見込みのようです。減速の原因についてバンコベースのアナリストは「景気後退は現実化しなかったが、年末にかけて米国の景気減速がメキシコを襲った」と述べています。ただし、S&Pは、もともとが2.0%ぐらいの見込みが3.0%を越えているのだから概してマクロ経済は安定しており堅調な内需と緩やかなインフレを背景に新政権発足に向けた準備が整ったと報じています。

個人的には、経済指標の発表時は目を疑いました。これにつられてドルペソ暴落かもと思っていたら全然平穏なので、そっちの方はビックリでした。考えてみれば、アメリカから見てメキシコペソに投機するぐらいなら他の銘柄を選ぶはずなので、為替は実需中心なのでしょう。

トピック

通貨:
先週17.16から週末は17.13
米国労働市場の好調より若干ドル高
メキシコ中銀は2024年のドルペソを18.53前後と予想
シティは2024年のドルペソを19.00前後と予想

メキシコ株:
週末株価は56.9から58.0
米国株価につられて58.0の壁を突破

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は2月8日
12月14日の政策金利会合は全員一致で据置
年末金利予測は9.5%で1.75%、0.25%の利下げ7回分を予測
(メキシコ中銀の政策金利会合は年8回なので2月を飛ばすと3月から毎回?)
2023年の税収額は4.5兆ペソで前年同時期より0.7兆ペソ、12.3%増収

INEGI:2023年の暫定経済成長率は3.1%(ハリケーンと内需減速が影響)

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.7%・・・IMF
2.4%・・・メキシコ中銀
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
11月までの銀行利益が2367億ペソ、前年同期16.9%増加で過去最高を更新中
サンタンデール、BBVAは2023年度は過去最高益を記録

消費者物価指数:
12月の年間インフレ率は4.66%、前月4.32%より0.34悪化
12月の年間コアインフレ率は5.09%、前月5.30%より0.21改善
1月中間の年間インフレ率は4.90%
1月中間の年間コアインフレ率は5.24%

貿易収支・経常収支:
貿易収支 12月:42.4億ドル、11月:6.3億ドル、10月:-2.5億ドル
輸入額 12月:450.1億ドル、11月:496.2億ドル、10月:519.7億ドル
輸出額 12月:492.5億ドル、11月:502.5億ドル、10月:522.3億ドル
2023年度貿易収支は54.6億ドルの赤字、2022年度の268.8億ドル赤字と比べ80%縮小。

12月送金額は54.9億ドル 送金額累計は626.5億ドルで前年同時期より12.1%増加。過去最高と更新。

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTADの12月までの累計売上は1兆5367億ペソ、前年比の名目成長率は既存店ベースで5.2%、全店ベースで8.5%
12月の消費者信頼感指数は46.8、前月比0.4%減少

雇用・失業率:
INEGI:12月失業率は2.6%、2023年全体で平均2.8%、18年間で最低
12月末の就業者数は5915万人

製造業・自動車:
12月までの累計輸出台数は330.8万台で前年同期比15%増加
12月までの累計生産台数は377.9万台で前年同期比14%増加

1月の製造受注指標は50.5
INEGI:11月の鉱工業生産は8ヶ月上昇後の月次1.0%減少。前年比は3.0%増加
12月の景況感は前年同月比54.6%で好況を維持

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは72.71から69.17
紅海緊張と米国寒波による供給懸念もサウジ方向転換から原油価格が安定
パナマ運河干ばつでエネルギー食糧に悪影響

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカーメキシコ間の鉄鋼アルミニウム貿易の透明性を協議

USMCA以外:
紅海、アメリカとイランが緊張悪化

観光業:
2024年のインバウンドは260億ドル、前年比0.3%増加を予測
2023年の外国人観光客は4000万人を突破

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