メキシコペソ 1月4週目 インフレ再燃は天候次第

5週連続物価は上昇

今週、1月の中間CPIが発表されましたが、年間インフレ率4.9%で11月4.32%、12月4.66%から想定以上に上昇しています。INEGIのサイトは事実の羅列ですが、フィナンシャリオでは野菜と果物の価格指数が2002年以来の4.95上昇が原因のようです。ただし、コアインフレが横ばいのようなので政策金利利下げの影響は微妙なようです。
それと今後テキサスの寒波が悪化するとさらなる食糧とエネルギー価格の上昇でインフレ再燃を招くとも報じています。また、メキシコ中銀前総裁のカルステンス氏は利下げを時期尚早に行うとインフレが復活すると警告しています。

来週FOMCですが、現状では、
・サービス価格の高止まり
・中東情勢
・テキサス湾岸寒波によるエネルギー、食糧価格への影響
等々で「注視」で終わるしかないと思います。サプライズがあるとすれば数人が利上げについて言及するとか。為替の値幅もそれほど動かないと思っています。

次回2月8日のメキシコCPI発表が重要で、万一ここで上昇継続なら、2月13日の米国CPIもメキシコと連動する可能性が高く、米国利下げスケジュール見直し、債券高、ドル高株安に向かう気がします。まだ円安目線のポジションを継続した方が良さそうに思っています。

ANTADの報告書

ANTAD(メキシコの小売業協会)の12月報告書からです。
ANTAD加入店舗は47.3万店。2023年の年間成長率は既存店で5.4%、全店ベースでは8.4%の小売り増加、62万人の正規雇用の創出という結果でした。2024年は加盟店で20億ドル程度の投資見込み、小売売上は既存店で4.8%で全店ベースで7.8%と予想しています。

また、2024年に悪影響を与える要因として
1.治安悪化と法支配の欠如
2.大統領選挙
3. 地下経済、不正取引
4. インフレ再開
を上げていました。治安・法が問題のようですが、実際のことは想像もつきません。アメリカが治安が厳しく店舗がドンドン廃業しているという噂がありますが、小売りが地下経済に吸収されたり、雇用に影響しないか疑問です。ニアショアリングで投資が増えていると言っても、それが反映されるまで2~3年かかると思うので、小売り指標は重要だと思っています。

日銀は注視

何もないとは思いながらも、植田総裁会見を見ていましたが、特に何もないという感じでした。記者からの質問に円安対策がなかったように思えましたが、記者視点でドル円=145円程度がスタンダードになったならちょっと残念です。相変わらずに春闘賃上げ期待のようですが、マクロ的には正しいとは思いますが、社会格差とか政治的に考えると疑問です。
個人的には難しいことは抜きにして流れに乗ることだけを考えたいと思います。

トピック

通貨:
先週17.09から週末は17.16
トランプ大統領候補の動向で乱高下
メキシコ中銀は2024年のドルペソを18.53前後と予想
シティは2024年のドルペソを19.00前後と予想

メキシコ株:
週末株価は55.5から56.9
ゲーム事業の発表より株価2.5%上昇したテレビサが牽引

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は2月8日
12月14日の政策金利会合は全員一致で据置
年末金利予測は9.5%で1.75%、0.25%の利下げ7回分を予測(メキシコ中銀の政策金利会合は年8回なので2月を飛ばすと3月から毎回?)
外貨準備高は12月15日時点で2109億ドル、1995年来の最高水準を更新
2023年の税収額は4.5兆ペソで前年同時期より0.7兆ペソ、12.3%増収

INEGI:11月の経済成長は月次で0.4%、最終的には3.4~3.5%を予想

メキシコ年末経済成長率予想
3.6%・・・JPモルガン
3.5%・・・ムーディーズ、パリバ、メキシコ財務省
3.4%・・・XP、シティ、ゴールドマンサックス、BBVA
3.3%・・・OECD、メキシコ中銀
3.2%・・・バークレイズ、BoA、IMF
3.1%・・・フィッチ

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
11月までの銀行利益が2367億ペソ、前年同期16.9%増加で過去最高を更新中
銀行は高金利で記録的な利益を継続

消費者物価指数:
12月の年間インフレ率は4.66%、前月4.32%より0.34悪化
12月の年間コアインフレ率は5.09%、前月5.30%より0.21改善
1月中間の年間インフレ率は4.90%
1月中間の年間コアインフレ率は5.24%

貿易収支・経常収支:
貿易収支 12月:42.4億ドル、11月:6.3億ドル、10月:-2.5億ドル
輸入額 12月:450.1億ドル、11月:496.2億ドル、10月:519.7億ドル
輸出額 12月:492.5億ドル、11月:502.5億ドル、10月:522.3億ドル
2023年度貿易収支は54.6億ドルの赤字、2022年度の268.8億ドル赤字と比べ80%縮小。

11月送金額は49.8億ドル 送金額累計は578.0億ドルで前年同時期より8.7%増加

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTADの12月までの累計売上は1兆5367億ペソ、前年比の名目成長率は既存店ベースで5.2%、全店ベースで8.5%
12月の消費者信頼感指数は46.8、前月比0.4%減少

雇用・失業率:
INEGI:12月失業率は2.6%、2023年全体で平均2.8%、18年間で最低
12月末の就業者数は5915万人

製造業・自動車:
12月までの累計輸出台数は330.8万台で前年同期比15%増加
12月までの累計生産台数は377.9万台で前年同期比14%増加
INEGI:10月の総固定投資は118.5ポイントで前月比1.9%上昇、鉄道と非住宅建設が牽引。前年同月比24.7%増加
INEGI:11月の鉱工業生産は8ヶ月上昇後の月次1.0%減少。前年比は3.0%増加
12月の景況感は前年同月比54.6%で好況を維持
2023年建設業の生産は前年比39.5%増加

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは69.27から72.71
紅海緊張と米国寒波による供給懸念から原油価格が上昇
パナマ運河干ばつでエネルギー食糧に悪影響

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカーメキシコ間の鉄鋼アルミニウム貿易の透明性を協議

USMCA以外:
紅海が緊張状態

観光業:
2024年のインバウンドは260億ドル、前年比0.3%増加を予測
2023年の外国人観光客は4000万人を突破

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