メキシコペソ 4月1週目 危機のペソ高の可能性

ちまたでは原油高でメキシコペソがつられて上昇するという意見を耳にします。経済的な理由で原油高になればそういうこともあるかもしれませんが、騒乱の場合は危機の新興国通貨安で一旦下落することの方が多いと思っています。何にしても平和が一番です。

イラン大使館攻撃

4月1日のイスラエルによるシリア国内のイラン大使館攻撃は最悪なことになるかもしれません。
CNNの報道では「イスラエルへの報復望むイラン 限られた選択肢を検証」の見出しがあるのですが、政権維持のためにイランは必ず何かのアクションを起こすと思います。
安保理、イラン大使館攻撃非難で一致できず 米など慎重姿勢」とのことですが、国連でイスラエル非難すらできないことには失望です。
順当ならイスラエルの米国大使館かアメリカのイスラエル大使館ですが、可能なら今までにやったでしょう。モスクワみたいな無差別テロをニューヨークですることは世論的にヤバすぎで、メキシコのイスラエル大使館を攻撃するのは可能だとしてもイランにとって中立のメキシコをわざわざ敵に回すメリットはありません。イランのメンツが保てる範囲の穏便な報復で終わることを望むばかりです。

スペールペソはいつまで

ドルペソが2015年以来の水準まで高値更新していますが、大多数のアナリストはこの好調には懐疑的で、持続可能ではないと考えているようです。少なくとも年末16台でドルペソが終了すると予想している金融機関はありません。中東騒動による危機の新興国安でペソが暴落する可能性が低くないと思っていますが、反対にペソ高に振れるようなら時代が変わるかもしれないです。
ペソが強いといわれる要因は次の通りです。
・米国との政策金利差が5%以上
・米国への輸出が中国を引き離した1位で、米国の工場としての立場を確立
・海外からの産業投資が絶好調
自動車産業が生産、輸出ともに好調
・送金額はドルペースで増加中
・観光収入もコロナ前を回復
並べてみると世界レベルの危機かトランプ危機でもない限り、ペソが16台をキープしそうな気がします 。

送金は46ヶ月連続増加中

2月の送金額も45.1億ドルと前年同月比3.75%増加、1月より0.7億ドル減少も46ヶ月前年同月より増加と好調継続中です。

ここからが問題で、ドル安ペソ高によってペソベースでは8.8%の下落で、出稼ぎしてドルベースの賃金は上昇も実質賃金は低下です。
去年ドルペソが高値更新したときは「出稼ぎする中下流層=AMLOの支持者」との考えから為替介入が思い浮かんだのですが、AMLOは「ドル建て借金を考えるとペソ高は好ましい」と声明しました。おそらく次の政権になっても、たとえ野党候補のガルベス氏が勝ってもペソ高は恩恵と為替介入の可能性は皆無です。16.64の抵抗線を割っているだけにどこまで行くのか読めません。

トピック

通貨:
先週16.56から週末は16.45
バンコベースのアナリストは、米国の強い労働市場はメキシコの持続的な経済成長と相関関係があり、それが輸出を通じて成長を押し上げる可能性があるため、ペソは上昇していると分析

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.20

メキシコ株:
週末株価は56.6から58.1

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は5月9日
3月21日の政策金利会合は4対1で0.25利下げ
年末金利予測は9.5%で1.50%、0.25%の利下げ6回分を予測
(次回5,6,8,9,11,12月の全月)
セハ総裁は利下げは慎重に行うと市場に念押し
次回の利下げ予測は32行中12行で連続利下げには否定的

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.7%・・・IMF
2.5%・・・OECD
2.4%・・・メキシコ中銀
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:

消費者物価指数:
2月の年間インフレ率は4.40%、前月4.88%より0.48改善
2月の年間コアインフレ率は4.64%、前月4.76%より0.12改善
3月中間の年間インフレ率は4.48%
3月中間の年間コアインフレ率は4.69%
イースターの観光サービスがインフレを牽引

メキシコ中銀:年末年間インフレ率を3.6%と予測

貿易収支・経常収支:
貿易収支 2月:-5.8億ドル、1月:-43.2億ドル、12月:42.4億ドル
輸入額 2月:513.1億ドル、1月:462.7億ドル、12月:450.1億ドル
輸出額 2月:507.2億ドル、1月:419.6億ドル、12月:492.5億ドル
2月自動車輸出が反転好調、石油輸出増、輸入減が顕著な傾向
輸入は投資財が牽引で市場から好印象

シティは2024年の送金総額を670億ドルと予想
BBVAは2024年の送金総額を前年633億ドル割れすると予想
2月送金額は45.1億ドル 前年同月より3.8%増加

小売り売上:
ANTAD:1月の売上1252億ペソ、前年同月比6.7%
3月の消費者信頼感指数は47.3で楽観的
INEGI:2023年通年のメキシコ個人消費は4.39%増加

雇用・失業率:
INEGI:2月失業率は過去最低の2.58%、前月より就業人口が49.2万人増加
非正規雇用が54.5%で高止まり
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
3月の輸出台数は28.6万台で年間累積82.5万台で前年同期比11.3%増加
3月の生産台数は30.2万台で年間累積92.8万台で前年同期比0.1%増加
自動車産業は2024年の生産台数を400万以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

3月の製造業受注指数は52.9で好調を継続
3月の景況感は前年同月比54.3%で好況を維持

財務省:2024年から3ヶ月で310億ドルの海外直接投資発表
財務省:2024年の外国直接投資20%増加、400億ドルを期待

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは76.50から79.65
AMLOはPEMEXの石油輸出を削減し国内需要に対応すると声明
中東危機で再び原油が高騰

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
2月の対米貿易総額は670億ドル(16.3%)で中国(10.7%)を6%引き離す
テキサス州警察に不法移民疑惑者を逮捕、強制送還の権限付与施行容認の米最高裁にメキシコ与野党ともに大抗議

USMCA以外:
中国産建設用鉄鋼に暫定割り当て制限
犯罪者引き渡しでイスラエルを批難

観光業:

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