メキシコペソ 4月2週目 ペソは限界突破も有事で後退

とうとうドル円152円のラインを越えて為替介入ラインに入ったようです。ちなみに介入なら金曜日の夕刻が怪しいかなと12日金曜日の16時頃にちょっとだけショートをいれてみたのですが、違う意味でお小遣いになりました。

財務大臣は「行き過ぎた(投機の)動きに対してはあらゆる手段を排除することなしに適切に対応を取っていきたい」と述べていますが、今のドル円は投機でなく円需要のないファンダメンタル的な動きとしか思えません。恐らく多くの人が日銀介入後のドル円ロングを狙っていると思いますが、私もその一人です。
政府は日経ETFやドル買いで儲けた何十兆円もの資金を(食糧エネルギー物価安定の為に)ここで使わないとどうするんだと思いながらも、そういう主張よりは自分のこづかい稼ぎのために流れについていきたいと思っています。

エクアドルとの外交問題

メキシコ政府は、キトのメキシコ大使館と外交官への暴力行為について公的謝罪を表明しない限り、エクアドルを国連から資格停止するよう求めました。
具体的なメキシコーエクアドルの貿易は、2023年の
 輸出総額・・・約6億ドル(医療品、化粧品、機械、自動車)
 輸入総額・・・約2.3億ドル(食料品、カカオ豆)
と輸出総額6000億ドル、輸入総額6000億ドルなので比較価値もなく、断交したところでたいした損害なさそうです。事の是非については双方言い分あると思いますが、大使館攻撃の愚行はラテンアメリカ内でもエクアドル擁護は厳しそうです。
一方、ミサイル攻撃で死亡者まで出しているイスラエルによるイラン大使館攻撃に(国連)全会一致で非難決議できないのは何故なのでしょうか?

有事はペソ売り

今週のメキシコペソの動きは、ペソと関わってきた中でも特に印象的でした。抵抗線と呼ばれる16.40突破。どのアナリストも予想しなかった16.30突破の最終的に16.25。

ペソ高要因は、
・ドルとの安定的な金利差
・メキシコ経済とアメリカ経済の底堅さ
・国際緊張の小休止
と言われています。メキシコペソのマイナス要素は顕著化していないので下手すれば16割れも現実化してきたように思います。

ところが10日ぐらいから一転、11日金曜日夜からイランの暴発懸念拡大から市場は有事モード。ここで有事のペソ買いみたいなパラダイムシフトはなく普通に下落したのである意味安心しました。
イランの報復がどのくらいの規模でどこを目指しているのかが話題になっていますが、長期目線では報復しない(できない)のが一番危険と思っています。

次回金融政策会合

今週議会に中銀セハ総裁が出席したようですが、基本バスケット価格の上昇とインフレ急騰リスクについての質問に終始したようです。セハ総裁はインフレ再燃を否定しつつもインフレ対策第一であり引き続き慎重に金融の舵取りをしていくと発言しました。

次回5月の利下げについて、市場予測は32行中20行が連続利下げには否定的で、年末政策金利も10.00ぐらいまで修正しているアナリストも多くなったようです。世間的には インフレ>景気対策(利下げ) の論調です。
有事でない限りペソ高方向は続きそうですが、有事のペソ安は反発する可能性が高いので狙い所かもと思っています。日本の証券会社のペソ円10円越えはポジショントークの行き過ぎですが、今ドルペソが16割ると景気のいいことを吹聴するメキシコのアナリストがいないことは気になります。

トピック

通貨:
先週16.45から週末は16.64
メキシコ・アメリカ経済の堅調さからペソ高
財務大臣は財政赤字削減の理由でペソ高を歓迎
週末イラン暴発危機上昇で有事の新興国売り

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.20

メキシコ株:
週末株価は58.1から56.6

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は5月9日
3月21日の政策金利会合は4対1で0.25利下げ
年末金利予測は9.5%で1.50%、0.25%の利下げ6回分を予測
(次回5,6,8,9,11,12月の全月)
セハ総裁は利下げは慎重に行うと市場に念押し
次回の利下げ予測は32行中12行で連続利下げには否定的

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.7%・・・IMF
2.5%・・・OECD
2.4%・・・メキシコ中銀
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:

消費者物価指数:
3月の年間インフレ率は4.42%、前月4.40%より0.02悪化
3月の年間コアインフレ率は4.55%、前月4.64%より0.09改善
エネルギー価格、鶏卵、観光サービスがインフレを牽引
サービスは5.30%から5.37%で高止まり

メキシコ中銀:年末年間インフレ率を3.6%と予測

貿易収支・経常収支:
貿易収支 2月:-5.8億ドル、1月:-43.2億ドル、12月:42.4億ドル
輸入額 2月:513.1億ドル、1月:462.7億ドル、12月:450.1億ドル
輸出額 2月:507.2億ドル、1月:419.6億ドル、12月:492.5億ドル
2月自動車輸出が反転好調、石油輸出増、輸入減が顕著な傾向
輸入は投資財が牽引で市場から好印象

シティは2024年の送金総額を670億ドルと予想
BBVAは2024年の送金総額を前年633億ドル割れすると予想
2月送金額は45.1億ドル 前年同月より3.8%増加

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
3月の消費者信頼感指数は47.3で楽観的
INEGI:2023年通年のメキシコ個人消費は4.39%増加

雇用・失業率:
INEGI:2月失業率は過去最低の2.58%、前月より就業人口が49.2万人増加
非正規雇用が54.5%で高止まり
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
3月の輸出台数は28.6万台で年間累積82.5万台で前年同期比11.3%増加
3月の生産台数は30.2万台で年間累積92.8万台で前年同期比0.1%増加
自動車産業は2024年の生産台数を400万以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定
ボルボ、2026年稼働に向け大型車両工場建設を発表

INEGI:2月の産業活動は0.1%低迷、製造業が増加も建設・鉱業が減少
3月の製造業受注指数は52.9で好調を継続
3月の景況感は前年同月比54.3%で好況を維持

財務省:2024年から3ヶ月で310億ドルの海外直接投資発表
財務省:2024年の外国直接投資20%増加、400億ドルを期待

食品:
干魃、水不足で農業部門は不安

エネルギー:
メキシコバスケットは79.65から78.62
AMLOはPEMEXの石油輸出を削減し国内需要に対応すると声明
中東危機で再び原油が高騰

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
メキシコ政府は鉄鋼アルミの中国迂回貿易回避のため製錬鋳造の産地情報のより厳格な監視をアメリカ政府と協議

USMCA以外:
エクアドルの大使館乱入に猛抗議中

観光業:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?