メキシコペソ 3月3週目 来週はどっちに転ぶんだろ

先週、米国CPI鈍化から一時的に円高になると予想していたのが見事に大ハズレ。月曜日の朝一に147.0円でドル円ショートしたポジションも指標発表で諦め速攻8000円で損切り。損失額は全然たいしたことないのですが、懺悔の山歩き(京都一周トレイル;出町柳~鞍馬)をしてきました。

ペソ円ホルダーにとっては来週の日本、メキシコ両方の金利会合はおそらく重要なポイントになると思います。ペソに関してはリスク選好、ドル安傾向から考えるとドルペソ16.62の最近5年間の最高値をブレイク、米国利下げが実施されるまでペソ高が続くかもしれません。

反対にメキシコ中銀が利下げ実施しても、直近はドルペソ17台のレベルで劇的には下がらないと思います。ただ当初予定していた年末目標政策金利9.50%までの連続利下げが予想されるので、年末のドルペソはメキシコ中銀が想定している18.53前後の可能性も強くなると思います。

ペソ円9.0円の可能性

ラホルナダのセペダ記者の引用になりますが、「投資家はまだ世界的な利下げプロセスを注視しているが、経済活動の冷え込みが緩やかなペースであることに安心しているようで、リスク選好が再開している」とのことでペソがかなり強くなって16.6まで上がり、ドル円も148円レベルで停滞、ペソ円は8.9をタッチしました。

来週
・マイナス金利解除もYCCで一定制限し景気を刺激したくない日銀
・「今金利を下げなくても世間の大半は困らない」メキシコ中銀
両方とも決断を一呼吸送らせる気がしているのでペソ円9.0タッチする可能性があると思います。
先日、バイデン大統領の利下げ発言について、メキシコではAMLOですらそれを言う勇気ないとの論評でした。バイデン大統領は選挙戦に向け住宅供給力拡大をアピールしたかったようですが、利下げ慎重派にとって住宅価格の押し上げからインフレ再燃と一番懸念しているど真ん中をズバッときたので驚きました。この発言で利下げしづらくなったように思います。

中国の経済侵略

ネットの中ではよく中国はメキシコへ進出してアメリカとの迂回貿易の中継地になっているとの話があります。統計上ですが、2006年からの海外直接投資額の総計は5565億ドル、そのうち中国の投資は24.5億ドル。ちなみにアメリカは2322億ドル、スペイン572億ドル、カナダ500億ドル、日本292億ドルとなっています。ところがUNAM(メキシコ国立自治大学)のメキシコ中国研修センターのピータース氏によれば、少なくとも210億ドル。中国企業でもアメリカに本社を構えていた場合は当然アメリカからの出資となるらしく統計上の差異が出ているとのこと。また、今後2年間に限ればアメリカは420億ドルの投資に対して中国は131億ドルを予定しているようです。表に裏を足しても中国がアメリカを越えるとは思えません。

中国関係でよく目にするのがUSMCAの迂回貿易問題で、毎週のようにアメリカはメキシコにプレッシャーをかけ続けています。事実、中国製造のアンフェタミンがメキシコを通過してアメリカへ渡っているので汚職議員、役人は一杯いると思います。繊維、履き物はオンライン販売などの影響で密輸されることもあり、業界団体は政府介入を要求しています。
鉄鋼・アルミや自動車みたいな船舶輸送しかないものは港湾税関でスルーできるものではないと思いますが、これが対米で最重要問題になっていることが理解できません。

財務省は現在でも中国との自由貿易協定を締結してなく、輸出入の割合が1:11を非常に不均等、かつ納税の問題は是正しなければならないと述べています。政府レベルで中国とメキシコが蜜月なんてことはないと思います。

トピック

通貨:
先週16.81から週末は16.72
米国CPIからドル安傾向、リスク選好よりペソ買い
3月利下げがなければドルペソ16.62の抵抗線突破も
メキシコ中銀は2024年のドルペソを18.53前後と予想
シティは2024年末のドルペソを18.00前後と修正

メキシコ株:
週末株価は55.5から56.2

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は3月21日
2月8日の政策金利会合は全員一致で据置
年末金利予測は9.5%で1.75%、0.25%の利下げ7回分を予測
(メキシコ中銀の政策金利会合は年8回なので3月から毎回連続)
3月利下げは反対1、反対寄り1、中立1、賛成寄り2の予想

2023年の経済成長率は年率3.2%
1月の経済成長率は年率0.1%

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.8%・・・メキシコ中銀
2.7%・・・IMF
2.5%・・・OECD、BBVA
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
2023年メキシコで営業する銀行の利益は2718億ペソで過去最高を更新

消費者物価指数:
2月の年間インフレ率は4.40%、前月4.88%より0.48改善
2月の年間コアインフレ率は4.64%、前月4.76%より0.12改善

貿易収支・経常収支:
貿易収支 1月:-43.2億ドル、12月:42.4億ドル、11月:6.3億ドル
輸入額 1月:462.7億ドル、12月:450.1億ドル、11月:496.2億ドル
輸出額 1月:419.6億ドル、12月:492.5億ドル、11月:502.5億ドル
1月は製造品、特に自動車の輸出が不調
輸入は(高給)消費財と投資財が牽引

2023年も米国からの送金は好調で最高更新の633億ドル
シティは2024年の送金総額を670億ドルと予想
1月送金額は45.8億ドル 前年同月より3.1%増加、前月より1.8%減少

小売り売上:
メキシコ中銀:メキシコの消費者信用総額1.36兆ペソ、実質年率13.5%増加
ANTAD:2月までの累計売上2398億ペソ、前年同期比9.2%増加
1月の消費者信頼感指数は47.1、過去20年で5番目に楽観的
INEGI:2023年通年のメキシコ個人消費は4.39%増加

雇用・失業率:
INEGI:1月失業率は2.8%、2023年全体で平均2.8%、18年間で最低
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ
AMLOはインフレ率以上に最低賃金を上昇するよう憲法改定を提案

製造業・自動車:
2月の輸出台数は28.2万台で年間累積53.6万台で前年同期比14.6%増加
2月の生産台数は31.8万台で年間累積62.6万台で前年同期比8.6%増加
自動車産業は2024年の生産台数を400万以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定

1月の製造受注指標は50.5
1月の景況感は前年同月比54.4%で好況を維持も限月より0.1%低下

2023年海外直接投資は361億ドルで前年353億ドルから過去最高
財務省:2024年初2ヶ月で258億ドルの海外直接投資発表
財務省:2024年の外国直接投資20%増加、400億ドルを期待

食品:
米国で穀物価格が値崩れ

エネルギー:
メキシコバスケットは73.55から75.89
OPEC減産を6月まで延長

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカーメキシコ間の鉄鋼アルミニウム貿易の透明性を協議
メキシコ経由の中国製造車の監視強化を要請
1月の対米貿易総額は645億ドルでカナダ597億ドル、中国479億ドルを引き離す

USMCA以外:
中国産建設用鉄鋼に暫定割り当て制限

観光業:
1月のインバウンドは31.4億ドルで前年同月比4.7%増加


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