メキシコペソ 4月3週目 中東有事に関係なくともペソは暴落

イスラエルによるシリア国内のイラン大使館攻撃の報復がどうなるのか気になっていましたが、ゴラン高原への無人機攻撃と言うことで、イスラエル本土ではなく、大量殺人を意図した報復でもないので正直安心しました。
日経平均も2回下がったのでそろそろとロングしたら金曜日のイスラエルの攻撃でやられました。イスファハーンって軍事施設、原発研究所があるのでそれなりの対空設備を持っているはずなので、無人攻撃機3機ぐらいは打ち落とすだろう程度のイスラエルの意図かと思うのですが、市場の反応は過激でした。
今はほどよいレンジで少額でコツコツやっているのですが、こういうドカーンは最悪、反省です。サウジがイスラエルとの国境正常化に向けてアメリカへイスラエルのパレスチナ承認と原子力技術の民生利用を要求しているようですが、下落していた石油価格の上昇とあわせて動向が気になります。

個人的な話ですがインティファーダの時代にイスラエルをさまよったことがあります。普通に石のドームと死海をみたいという程度だったのですが、何故かパレスティナ人地区に紛れ込んでしまいました。何故かそこの学生と話してみると、社会保障、医療、安全・財産が保証されない、地元では仕事がないなどの話を聞いた記憶が残っています。今はどうなっているのは分かりませんが、イスラエル政府も同国居住のパレスティナ人に同じ人権、社会保障を認めれば、もっと違う世界があるような気がします。イスラエルでも反政府デモが起こっているようですが、多くのユダヤ人も平和を求めていると思います。

ペソはジェットコースター

El peso mexicano se subió a una montaña rusa(ペソはジェットコースターに
メキシコシティ時間午後7時頃、イスラエルとイラン間の緊張に関する最初の報道が入るやいなや、メキシコ通貨は対ドルで急速に下落し始めた。メキシコ通貨は、1ドル=17.30単位、17.60単位、17.80単位を経て、数秒間1ドル=18単位に達した後、1ドル=17.50ペソの水準に戻った。メキシコ・ペソは、24時間365日ペソの売り買いが可能なため、新興国で最も取引されている通貨のひとつであるが、投資家の強いリスク回避志向に苦しめられ、ドルや日本円、スイス・フランなど、より安全な市場に避難し始めたとの記事がありました。
チャートでは17.54が最安値なので瞬間的にはすごいことになっていたのかと。

水色は他国要素の暴落
紫色はメキシコ起因の暴落

ペソが下落してもたいがいの場合すぐに戻っているし、今回も戻ると思っているのですが、ひょっとすればネタニヤフ政権が倒れて穏健派に変わるまで不安が続くのかもしれません。今のところどのような形で収束するのかわからないのでギャンブル好き以外の人には投資環境にないのかもしれません。
紛争のたびに石油価格下落危機から利益を得ているサウジ、西側ともBRICsとも距離を置いているインド、世界情勢と関係ない中南米、この辺りが勝ち組の気がしてなりません。

利下げは先延ばし

17日バノルテのインタビューにて、中銀ヒース副総裁は「FRBが9月までに利下げしないのであれば、何らかの形でメキシコ中銀の判断に余地を与える」こと、「このインフレの持続を説明するものと思われる多くの問題が依然として発生しており、非常に用心深く、十分な忍耐力を持ち、インフレ正常化の決定的なサイクルを時期尚早に開始しないことが非常に重要であると考えている」と述べました。
また19日IMFの会合にて「5月利下げの可能性について議論するつもりはない、3月の利下げ決定はむしろ調整であり、必ずしも利下げサイクルの始まりではない」と説明しました。ペソ高については16.3は行き過ぎで持続可能で安定的な17.00が好ましいとも述べました。

同様に、17日銀行会合にてボルハ副総裁も「インフレ率は低下しているが仕事はまだ終わっていない。商品やサービス価格は高止まりしたままだ」と述べました。
早期の利下げから投資拡大を狙っている銀行協会すら年末政策金利予測は利下げ6回分の9.50%から4回分の10.00%とトーンダウン、現実的には2回分の10.50%止まりという考えもあるようです。

銀行会合

今週87回目を迎える銀行会合(Convención Bancaria 2024)が開催され、AMLOと与野党次期大統領候補者、ABM(メキシコ銀行協会)のフリオ・カランサ会長、そして52の銀行トップが集まったようです。
冒頭でカランサ会長は「AMLOが就任後最初の3年間は銀行規制を変更しないと約束したことで、銀行業務の確実性が確保され、金融機関の投資がこれまで以上に増えた」と賛辞を述べましたがこれの意味するところはわかりませんが、
・USMCA
・コロナウィルス
・インフレ危機
この対応に銀行協会はAMLOに感謝しているようです。またより良い雇用、所得配分、国の成長という目標に(与野党の)誰が大統領になっても共有できるものと述べています。

また銀行トップの主張を一言でまとめると以下の通りでした。
ボナルテ:金融システムは堅調で投資が継続するためには安定が必要不可欠
スコシア:継続的な成長を維持するために銀行は多様性包括性の擁護者であるべき
アステカ:PEMEXの問題解決が次政権の鍵
HSBC:世界的サプライチェーン再編成はメキシコに恩恵
Actinver:米中対立でアメリカの主要パートナーとして地位強化
BBVA:公的・民間投資が貧困を改善しさらなる成長をもたらす
CITI:投資は重要であるが誘致のためには法の支配が必要

トピック

通貨:
先週16.64から週末は17.10
イスラエルのイラン攻撃で瞬間的に18.20までペソは5%以上の大暴落
緊張がエスカレートしないという決定的な証拠が見つかるまでは不確実性が支配的

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.20
メキシコ株:
週末株価は56.6から55.9

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は5月9日
3月21日の政策金利会合は4対1で0.25利下げ
メキシコ中銀:5月利下げは議題にならない
ヒース副総裁:年末政策金利は10.00~10.50%の予想
INEGI:3月の経済成長率は年率2.1%、月次で0.2%

メキシコ2024年末経済成長率予想
3.0%・・・メキシコ財務省
2.9%・・・BBVA
2.5%・・・OECD
2.4%・・・メキシコ中銀、IMF
2.3%・・・ムーディーズ
2.2%・・・シティ

金融:
1~2月の銀行利益は483.7億ペソで前年同期比12.8%増加

消費者物価指数:
3月の年間インフレ率は4.42%、前月4.40%より0.02悪化
3月の年間コアインフレ率は4.55%、前月4.64%より0.09改善
エネルギー価格、鶏卵、観光サービスがインフレを牽引
サービスは5.30%から5.37%で高止まり
メキシコ中銀:年末年間インフレ率を3.6%と予測

貿易収支・経常収支:
貿易収支 2月:-5.8億ドル、1月:-43.2億ドル、12月:42.4億ドル
輸入額 2月:513.1億ドル、1月:462.7億ドル、12月:450.1億ドル
輸出額 2月:507.2億ドル、1月:419.6億ドル、12月:492.5億ドル
2月自動車輸出が反転好調、石油輸出増、輸入減が顕著な傾向
輸入は投資財が牽引で市場から好印象
シティは2024年の送金総額を670億ドルと予想
BBVAは2024年の送金総額を前年633億ドル割れすると予想
2月送金額は45.1億ドル 前年同月より3.8%増加

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
3月の消費者信頼感指数は47.3で楽観的
INEGI:2023年通年のメキシコ個人消費は4.39%増加

雇用・失業率:
INEGI:2月失業率は過去最低の2.58%、前月より就業人口が49.2万人増加
非正規雇用が54.5%で高止まり
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
3月の輸出台数は28.6万台で年間累積82.5万台で前年同期比11.3%増加
3月の生産台数は30.2万台で年間累積92.8万台で前年同期比0.1%増加
自動車産業は2024年の生産台数を400万以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定
ボルボ、2026年稼働に向け大型車両工場建設を発表
INEGI:2月の産業活動は0.1%低迷、製造業が増加も建設・鉱業が減少
3月の製造業受注指数は52.9で好調を継続
3月の景況感は前年同月比54.3%で好況を維持

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは78.62から76.9
中東危機で原油が高騰も自産自消のメキシコ原油は安定

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
メキシコ政府は鉄鋼アルミの中国迂回貿易回避のため製錬鋳造の産地情報のより厳格な監視をアメリカ政府と協議

USMCA以外:
イランーイスラエル報復合戦で世界経済混乱

観光業:


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