奇襲

ベロベロのいいおっさん2名とチャラ男1名と美女2名で
カラオケバーBEATへ。
「貸切にしてるから何人でも呼んでいいぞ」
70歳のマスターは今日も元気だ。

新郎広沢くんの遠方からの友人2名と新郎新婦も合流して
マスターも含め合計10名で4次会が進む
ここで存在感を見せたのが意外にも奈津美ちゃんだった
普段はクールでおとなしめのコなのにマイクを握ると豹変
難しい曲を次々に歌い上げていく
特にAdoの「うっせぇわ」は圧巻だった

俺の方はと言うと、ミミちゃん、奈津美ちゃんと距離をとって
なぜか新郎広沢くんと一緒にミスチルの
「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」を歌うことになった。

恋なんていわばエゴとエゴのシーソーゲーム・・・
友人の評価はイマイチでもshe so cute・・・
美菜子のことを引きずっていると想像したのか広沢くんの選曲だった
気持ちよく歌って切り替えていこうと思えたその時だった

マスターが手招きして俺を呼んだ

「なんか美菜子が大ちゃんに話があるから今から来たいって連絡きたんだけどどうする?断る?」

大事な麗子と広沢くんのお祝いの場だし、断ったほうが賢明なんだろうけど
「マスターに任せますよ!俺はどっちでもいいんで!」
と答えた。

すると数分後、初対面の時に一緒にいた黒髪と共に美菜子はBEATに突撃してきたのだ。

「ちょっと外で話せる?」

完全な場違いと承知した上での来店
まさに奇襲である

自分が主役の場に登場した部外者に麗子は不機嫌‥
そっちの顔色をうかがいつつ、美菜子の話を聞いた

なぜ別れを切り出したときに止めてくれなかったのか
せっかく出会ったのだからもう少しお互いを知るための友達期間が必要だと思う

との話だった。

別に友達が欲しいわけじゃなかったし、来るもの拒まず去るもの追わずを通すこともできた
広沢くんはまだしも麗子の機嫌を損ねて、色々面倒くさいことになるのも想像できてはいた

俺は美菜子の提案を受け入れてもう一度友達からやり直すことにしたのだった

この選択がこれから先の自分の運命をこうも変えてしまうとは思いもよらなかった

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