麗子と広沢くん

突然だけど、男女間の友情は信じますか?

俺はどちらかといったら否定派で学生時代ならまだしも、いい大人が仲が深まればどちらかが恋愛感情に発展してしまうものだと思っていたからだ。

そんな考えをぶち破った大人になってから唯一親友と呼べる女性
それが麗子だった。

麗子はチャラ男と同時期に知り合ったスポーツ観戦仲間で
歳は4つ下でお世辞にも美人とは言えないけど、ノリの良さ、頭の良さ、アホなくせに常識人という点で俺と気が合った。麗子は一人っ子の我がまま系だけど、兄弟が多い俺は我がままを許容できるレベルが高かったことも良かったのか、お互いの恋愛事情とか結構なんでも話せる感じで10年間友人として仲良くしてきた。

俺が離婚した時、その後ちょっと気になったコに振られた時、優しく慰めてくれる感じではなく、ただ黙って酒に付き合ってくれたり、やったことないテニスに無理やり連れ出してくれたり、男友達みたいな付き合い方をしてきた奴だ。

男っぽい性格とか飽き性もあって麗子自身の恋愛もなかなかうまくいってなかったのだが、2年くらい付き合っていた彼氏と結婚することになった。
イケメンばかり追いかけていた麗子が最後に選んだのは
ただただ優しい男だった。

これは本当に我がことのように嬉しかった。

お相手の広沢君は俺と同い年でスポーツ関係の会社で働くナイスガイ。
もちろん麗子の親友の俺とも仲良くしてくれて
俺は披露宴で唯一「新郎新婦友人」という肩書で
結婚式に出席することになっていた。

俺にとっての大事な二人の結婚式の日
まさかあんな事件が起きるなんてこの時は想像もしていなかった。



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