僕が一人で卓球を練習しに行くお店が仲御徒町にあります。
そこはマシンが置いてあるので一人で練習できるんです。
 
でも、たまにマシンじゃなくてコーチと練習してる人を見ます。
 
時間料金をもらってその人の課題に合わせてコーチングをしてくれる人がいるわけです。
 
そこでよく見る若い男性コーチがなかなかの鬼コーチで、
 
「今どこを見てたんですか!」
「そんなことを聞いてません!」
「なぜそうなるんですか!」
 
といったかなり強い声が、しょっちゅう聞こえてきます。
 
 
でも、結構人気があってリピーターも多いみたいで。
 
なんでだろうなぁ、と思ってこの間聞き耳を立ててたんです(笑)
 
そしたら面白いことが分かりました。
 
例えばこんなやり取りがあるんですよ。
 
 
コーチ
「今打球をするときに何を意識してましたか?」
 
生徒
「体重移動です」
 
コーチ
「体重移動とはなんですか?」
 
生徒
「体重を移動することです」
 
コーチ
「体重をどこからどこに移動することですか?」
 
生徒
「体重を右足から左足に移動することです」
 
コーチ
「それをするにはどういうふうに動いたらいいんですか?」
 
生徒
「まず右足の膝を曲げてうんぬんかんぬん」
 
 
と、
本人が曖昧にしか認識できていなかったことを、
全て本人に言語化させてたんですね。
 
 
で、こういう話をすると、
 
「そんな意地悪しないで、こうやってやるんですよ、って教えてあげればいいじゃん」
 
っていう反応は一定数出ると思うんです。
 
でもですね、体重移動はどうするか、なんていう知識自体は、
本でもネットでもいくらでも載ってるんですよ。
 
なんならYouTubeでご丁寧に無料で教えてくれる人までいます。
 
じゃあ、
「こうやってやるんですよ」
って教えてもらったり読んだり見たりしたら、
それでできるようになるのかって言ったら、
まあそんな甘い話じゃないですよね。
 
それでできたらみんな張本ですよ(笑)
チョレーーーイって(笑)
 
 
大事なのは、
何ができてて何ができていないのかを
客観的に説明できるレベルまで理解(言語化)して、
それを自分の感覚に落とし込み、
本当にできてるのかできてないのかを客観的に見て、
「わかってる」を「できた!」に変えることなんですよね。
 
それを見事に実践してるコーチなんだなぁ、ということに気づいて、僕はビックリしました。
 
 
コーチ
「打球する位置はどこですか?」
 
生徒
「右斜め前です」
 
コーチ
「なんの右斜め前ですか?」
 
生徒
「右腕の右斜め前です」
 
コーチ
「右腕は動いてるでしょ?その斜め前で打ってどういうこと?そんなのできるわけないじゃん。右斜め前はなんの右斜め前ですか?」
 
みたいなやり取りがあったり。
 
 
これもよくネットや本では
「右斜め前で打つ」
って書いてあるんですよ。
 
でも、それじゃわかったつもり、知ってるつもりになってるだけで、
実際にできるようにはならないわけです。
 
鬼コーチっぽいけど、
闇雲に球を打つことより
きちんとその人の視点、その人の感覚、その人の経験に定着させるコーチングができる、
素晴らしいコーチだなぁ、
って思いました。
 
実際、球打ってる時間より、
そうやって言語化させてる時間の方が長いと思う。
 
打つだけの反復練習なら、マシンがあれば一人でできますしね。
 
うん、素晴らしいコーチだ。


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