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〈蛇の星〉-9 〈終〉
〈蛇の星〉-8
-9- 朝が来た。陽の光に照らされて、〈八番目の理想郷〉はどこも真っ白に輝いていた。水路を流れる水は透き通っていた。清浄な空気は冷たく香っていた。
エキシは今年で六歳になる。今日はエキシら〈第十八番学校〉三期生の、待ちに待った〈卒業の日〉だった。
〈第十八番学校〉の講堂には、みな同じように髪の毛を剃り上げた百五十人の子供達が並んで座っていた。壇上の〈校長〉が言った。
「みなさ
スケッチ - 赤いボタン
駅と駅の間で止まったままになっているこの古い高架モノレールの窓からは、朝日に輝く緑青の海が見えていた。昨晩の焚き火跡は落書きだらけの車内にまだ焦げ臭く香っており、陽の光は車内に長い影を作っていた。照明は切れていた。単に電球が切れているのか、それとも何かが故障してしまっているのかは、カアスにはわからなかった。彼は赤紫色の薄い綿の座席に腰を深く座り直すと、がたつく窓を開けた。潮風が車内の空気と彼の短
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