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秘密主義者たる所以

ネットの世界を巡っていると

「ざっきーさんっておいくつですか?」

と言う質問をしばしばされることがあります。

現実世界で聞かれることがあれば、話の一つの切り口として「いくつに見えますか?」とか「私、こう見えて○○歳なんです」などと言う切り返しをすることが多いです。
けれども、ネットではあまり実年齢を公開する気になれない。誕生日や出身地、職種なども同じく。
もちろん、コミュニケーションの一環として仲良くなりたい人には教えたりもしますよ。
でも、現実世界ほどポンポン教えたりはしない。

貴方は秘密主義者ですか?

私がこの手の情報開示に積極的でない理由の一つとしてラジオをやってきたと言うことが挙げられます。

秘密主義者には、秘密主義者たる所以があるのです。

それと言うのも、自分の話をバイアスがかかった状態で聴いて欲しくないと言うある種のエゴがあるのです。製作者の意図なんて関係ないじゃないかと言う人もいるでしょう。
しかし、想像以上に素人の話と言うものは簡単に耳を傾けてもらえる程甘くは無いのです。

例えば、年齢を重ねた大人の人は余裕があると思っている人に対して「そんなことはないさ。年を食うだけ食っていて、中身が伴っていない大人なんていっぱいいるよ。自分が過去にモテていただとか、あの頃の自分は人並み以上に苦労をしていただとか、昔は喧嘩が強くてやんちゃしていた等と言う武勇伝を披露するような大人なんて、大人のように見えて実は余裕がないように思わない?」などと言う話をしてみる。

こんな日常であり得る何気ない話であっても、話し手が年若いというだけで話として受け入れてもらえないこともあるのではないでしょうか。

「貴方はまだ若いからさ。」
「貴方はまだ学生だからさ。」
「貴方は職種が違うからさ。」
「貴方は経験が浅いからさ。」
「貴方は男の人だからさ。」
「貴方は都会を知らないからさ。」

話し手の持つ固有のステータスだけで伝えたいことがシャットアウトされてしまうと言う事態が生じることが大いにあり得るのです。
何人かに一人はそう言う言葉でもって、折角のコミュニケーションを遮断してしまう人がいらっしゃるのも事実です。

日本社会は特に属性を重んじる。それが時として窮屈になることがあります。
年が1つ上と言うだけで敬語を使う場面が多くなるし、その逆として年下と分かった途端に馴れ馴れしく接されたりする。ジェンダーでの価値観の相違を全面に押し出している人もいる。上司と言うだけで飲みの誘いを頻繁にしてきたり…セクハラ、パワハラの温床にも繋がるような属性に応じた取り扱い。例えを言い出したらキリがありません。

以上のようなバイアスがかかった状態で自分の言葉に耳を傾けて欲しくないなと言う気持ちがあるが故に自分自身あまり個を語らない。そう言うスタイルに落ち着いている次第であります。

個人の“個”は、人それぞれ。

個々人が生を受けてから、どのような人生を歩み、その人生の中での様々な出来事から経験を積むも積まないも、100人の人が居たら100通りの人生があり、それに伴う経験がある訳です。
生まれてから1秒単位で全く同じ人生を歩んでいると言う人はおそらくいないのだと思います。その人が持つ個の思考や個の表現も同じでしょう。

そのようなバイアスによってコミュニケーションを阻害されてしまうことが悲しいし、虚しい。
だからこそ、自分は個を語ることをせず表現したいな。年齢や職種、性別等と言ったもので線引きせず、個が放った言葉を素直に受け入れてくれる人が増えると嬉しいなと思っています。

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