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私の「定番」が見つかるまで

3年くらい通勤に使っていたバッグの紐が切れかけていたので、修理してもらうことにした。
買い替えてもよかったが、わりと気に入っていたし、買い替えるのもめんどくさかった。
ネットで探しても、いいな~と思うバッグは10万円くらいする。通勤バッグは消耗品だと考えているので、手が伸びない。
また、そこまで気に入るものもなかった。

家の近くに修理屋があったので、とりあえず行ってみた。
年季の入ったお店で、愛想のいい店員さんが「いらしゃいませえ!」と迎えてくれた。バッグを見せて、修理できるか聞いてみた。
「んー!こことここの修理ですね。直ります!ただ、少し珍しい縫製やから、ちょっとお時間もらいます。あと、全く同じデザインの紐があるわけじゃないですから、少し印象は変わりますね。」
「なるほど。そんなに急いでいるわけではないんですけど、どれくらいかかりますかね?」
「んー!1か月くらいですかね。それより早く仕上げられれば、連絡させてもらいます。あと、少し珍しい縫製なんで、だいたいこれくらいお値段かかります。」

そう言って、店員さんは電卓でお値段を見せてきた。
なかなか予想外だった。高い。びっくりした。
ああ…意外とお値段するなあ。。でも、新しく買うよりは安いか…

そう思って、お直しをすることに決めた。縫製とか布のことはよく分からないので、店員さんにお任せである。

けれど、お直しをして長く使うのも、いい気がしてきた。
少し前なら、壊れたらよしきたか!とばかりに新しいバッグを買いに走っただろう。
いや、今でも新しいものは欲しい。あのブランドの新作とか、このブランドの限定色とか。欲しいものなら沢山ある。

けど、今は長く使えることが何よりも大事なのだ。
3年もの間、私と通勤を共にしてきたバッグは既に私の身体に馴染んでいる。それに、急いで新しく購入したものは、すぐに気に入らなくなって使わなくなることもあるのだ。これぞ「もったいない」と思う。

あー私、年取ったな。と思った。
けど、年を取ってよかった。
自分の「定番」が分かったから。

今までは、自分の定番が分からないから、新しいものを買いあさっていたのだろう。新しいものを買うことは悪いことではないが、やみくもに買うのはよろしくない。
今までは、新しいものを買うことによって生まれる爽快感みたいなものを求めていたのかもしれない。
本当にそれが必要かどうかは重要ではなかったのだ。

思えば長年使っていたものを修理に出したのは、初めての経験だった。
つまり、そういうことだったのだろう。

わたし、大人になってよかった。

バッグが修理から帰ってくるのは来月になる。
待ち遠しいな。
バッグが帰ってきたら「おかえりなさい」と、温かく迎えてあげよう。


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